虫のカタログ(カフコンス第101回) ― 2013-04-28
*曲目
アルカン「コオロギ(夜想曲第4番)」 *ピアノ
Charles-Valentin Alkan (1813-88)
Le grillon (1859)
ゴダール「ミツバチ」 *ソプラノ
Benjamin Godard (1849-95)
L'abeille (ca1878)
ショーソン「セミ」 *ソプラノ
Ernest Chausson (1855-99)
La cigale (1885-7)
フランセ「甲虫/ムカデ」 *ピアノ
Jean Françaix (1912-97)
Le scarabée
La scolopendre
〜「昆虫館」L'insectarium (1953) より
ヴィエネル「カタツムリ/アリ/蝶/ホタル」 *ソプラノ
Jean Wiener (1896-1982)
L’escargot
La fourmi
Le papillon
Ver luisant
〜「おはなしのうた」Chantefables (1954-5) より
ランゴー「大蚊/ヤスデ/シバンムシ/蚊」 *ピアノ
Rued Langgaard (1893-1952)
Tipula Oleraca
Julus Terrestis
Anobium Pertinax
Culex Pipens
〜「昆虫館」Insektarium (1917) より
ブリテン「バッタ/スズメバチ」 *オーボエ
Benjamin Britten (1913-76)
The grasshopper
The wasp
〜「2つの昆虫の小品」2 insect Pieces (1935)
ファイン「夜 蜘蛛は縫う」 *フルート
Vivian Fine (1913-2000)
A spider sewed at night
〜「エミリーのイメージ」Emily's images (1987) より
マヌーキアン「あなたのハエより」 *ソプラノ
Jeff Manookian (1953-)
Yours, Fly
〜「8つの歌」8 songs (2005) より
リムスキーコルサコフ「熊蜂の飛行」 *フルート&ソプラノ
Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov (1844-1908)
Flight of the bumblebee
〜「サルタン王」Tsar Saltan (1900) より
サンサーンス「テントウムシ/トンボ」 *ソプラノ
Camille Saint-Saëns (1835-1921)
La coccinelle (1868)
La libellule (1893)
(ビッリ「コオロギは歌う」 *全員)
*出演
渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:
山本葵(フルート)
若木麻有(オーボエ)
*歌詞大意
*ミツバチ(オーギュスト・ド・シャティヨン)
ぶんぶんうなれ 軽やかなミツバチよ
庭の花の上で
花やぶどう棚の上で
毎朝おまえを見ている
ぶんぶんうなれ 軽やかなミツバチよ
庭の花の上で
かごの中にまでおいで
ジャスミンの蜜を取りに
ぶんぶんうなれ 軽やかなミツバチよ
こんにちは! ちいさな奇跡さん
おまえは収穫した蜜をこねている
おまえには夜明けを、私には目覚めを
この先も歌いましょう…
ぶんぶんうなれ 軽やかなミツバチよ
庭の花の上で
赤いすぐりの実の方へおいで
ユリやタイムの方へ
ぶんぶんうなれ 軽やかなミツバチよ
*セミ(ルコント・ド・リール)
セミよ 晴れた日に生まれ
緑の小枝の上で、朝になるとすぐに
わずかな露を吸うのに満足し
王のように歌い続ける
おだやかに策略もなくすべてに無邪気で
陽気な農夫は柏の木の木陰で
遠くから夏の知らせを聞く
アポロンはミューズほどにおまえをあがめ
ゼウスはおまえに不滅を捧げる!
ようこそ 古代の大地の賢い子よ
その歌は目を閉じさせ
おまえはアッティカの激しい暑さのもと
肉も血もない 神のようなものよ
*カタツムリ(ロベール・デスノス)
「お天気はいい?」と
カタツムリが聞きました
「だって いいお天気は
嫌いなの
私は雨降りが好き
そういう体質なの」
輝く太陽が嫌い なんていう
殻のない人はいるかしら
隠れてる?
出てくるわよ(※原語では「炒める」の意もある)
カタツムリ?
食べちゃうわよ
*アリ(ロベール・デスノス)
18メートルのアリ
頭に帽子をかぶってる
ありえない!
荷車を引っ張るアリ
荷台にはペンギンとアヒルがいっぱい
ありえない!
フランス語を話すアリ
ラテン語やジャワ語も
ありえない… どうかな?
*蝶(ロベール・デスノス)
三億匹の蝶が
シャティヨンに着いた
スープを飲むために
シャティヨン シュル ロワール
シャティヨン シュル マルヌ
シャティヨン シュル セーヌ
シャティヨンの人々はかわいそう!
もうスープは見えない
見えるのは何百万匹の蝶だけ
シャティヨン シュル ロワール
シャティヨン シュル マルヌ
シャティヨン シュル セーヌ
(※ミリオン パピヨン シャティヨン ブイヨン等の言葉遊び)
*ホタル(ロベール・デスノス)
ホタル おまえは真夜中に光る
星の下で明かりを灯し
皆が眠る時 月に忍び込んで
髄をかじる
月 蛍の巣は
空の径を行き
子供たちに振り撒く
眠っている良い子たち 皆に
夢の雫を
*夜 蜘蛛は縫う(エミリー・ディキンソン)
蜘蛛は縫う 夜に
光もなく
白い弧の上で
御婦人の襟なのか
小人の衣なのかは
彼自身が決めること
不滅の
彼の戦略は
観相術
(※詩の冒頭の1行にインスパイアされた作品ですが
参考に全文大意を掲載しました)
*あなたのハエより(エミリー・ディキンソン)
蜂さん あなたを待っているわ!
昨日も知り合いと
話していたのよ
もう来る頃だって
蛙たちは先週 帰宅して
仕事に就いた
小鳥たちもほとんど戻り
クローバーは生い茂っている
17日までには この手紙が
届くでしょう お返事ください
でなければ会いにきて
ー あなたのハエより
*熊蜂の飛行
(アレクサンドル・プーシキン/ウラディミール・ベルスキー)
さあ熊蜂よ 急ぎなさい
海に出たあの船に追いつきなさい
デッキに身を潜ませ
安全な隠れ家を見つけるのです
さようなら グィード王
さあ早く
でもあまり長くとどまらないように
*テントウムシ(ヴィクトル・ユゴー)
彼女は言った
「なんだか気分がよくないわ」
僕は雪のように白い彼女の首を見た
するとそこに小さな赤い虫がいた
彼女にキスしておけばよかった
(でも、賢くも愚かで
内気な16歳だった)
首にとまった虫なんかに気をとられずに
それは貝のようだ
赤い背中と黒い点
鳥たちは僕らを見つめる
葉蔭で身をかがめながら
そこには彼女の清らかなくちびる
僕は彼女の方に体を傾け
テントウムシを取った
でもキスするチャンスは去ってしまった
「若者よ 私の名から学びなさい!」
青空で虫が言った
「虫は神のもの
愚かさは人間のもの」
(※テントウムシには bête à bon Dieu 神の虫 という異名がある)
* トンボ(カミーユ・サンサーンス)
池のそばで トクサの上で
欲望にいらだちながら飛べ
はかなげな肢体のトンボ
捕らえるのも叶わない
これは妄想か 夢か
黄金の光を通り抜けるのは
ふいに彼女は止める
輝やける飛行を
飛び始めては 止まり
閃光の中に姿を見せる
また飛び去り薔薇を退ける
冷たく澄んだ蓮のために
力強く自由に飛ぶ
風の姉妹 天の娘よ
彼女の羽は震える
大天使アリエルのリュートのように
輝きながら彼女は遊ぶ
半ば開いた蓮の上で
緑の瞳をした水の精ナイアードの頬に
口づけるように
移ろいやすく 透き通り
青空と闇夜から作られ
彼女はまるでさまよう魂のようだ
影にきらめく水の上で
池のそばで トクサの上で
欲望にいらだちながら飛べ
はかなげな肢体のトンボ
捕らえるのも叶わない
彼女は何を探しているのだろう? それは獲物
彼女の信念は残虐
虐殺することこそ歓び
それが彼女の徹底的な美しさなのだ
*ブログ
2013-04-29 ご来場ありがとうございました
2013-04-28 虫のカタログ(カフコンス第101回)
2013-04-27 アンコール予告
2013-04-26 テントウムシ/トンボ(サンサーンス)
2013-04-25 カタツムリ/アリ/蝶/ホタル(ヴィエネル)
2013-04-23 ミツバチ(ゴダール)/セミ(ショーソン)
2013-04-21 熊蜂の飛行(リムスキーコルサコフ)
2013-04-18 蜘蛛(ファイン)/ハエ(マヌーキアン)
2013-04-14 バッタ/スズメバチ(ブリテン)
2013-04-09 昆虫館(ランゴー)
2013-03-29 昆虫館(フランセ)
2013-03-26 コオロギ(アルカン)
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