昆虫館(ランゴー)2013-04-09

フランスの昆虫館に続き、デンマークの作曲家ルーズ・ランゴー(1893-1952)のピアノ小品集「昆虫館」からは、「シバンムシ」「蚊」などを演奏する予定です。

ランゴーもまたユニークな人物。実験的だけど前衛的ではなく、現代的だけど古くさく、ブッ飛んでるけど大真面目で...

「昆虫館」でも、シバンムシが柱に頭を打ち付ける音を、拳でピアノの蓋を叩いて表してみたり(シバンムシには多くの種類があり、音を立てるのはヨーロッパ種だそうです)、
死番虫

蚊の羽音をこんな風に模してみたり(蚊は日本でも同じ音程で飛んでいる気が)、
蚊

リアクションに困る大真面目さです(苦笑)。

なお、この「昆虫館(1917)」とちょうど同時期に、有名な「天球の音楽(1916-8)」が書かれているので、ランゴーのミクロとマクロの世界を聴き比べてみるのも面白いかもしれません。

さてピアノによる「虫のカタログ」は、以上3曲(アルカン、フランセ、ランゴー)です。次回ブログではイギリスの昆虫館になっていたかもしれないブリテンのオーボエ作品「2つの昆虫の小品」をご紹介したいと思います。


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今月の演奏メニュー

2013年4月28日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第101回
虫のカタログ

ゴダール「ミツバチ」
マスネ「セミ」
サンサーンス「テントウムシ/トンボ」
ヴィエネル「カタツムリ/アリ/ホタル」
マヌーキアン「ハエ」
アルカン(生誕200年)「コオロギ」
フランセ「ムカデ/甲虫」
ランゴー「シバンムシ/大蚊/蚊」
ファイン(生誕100年)「蜘蛛」
ブリテン(生誕100年)「バッタ/スズメバチ」
ほか予定

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:
山本葵(フルート)
若木麻有(オーボエ)

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バッタ/スズメバチ(ブリテン)2013-04-14

今月のカフコンス、ソプラノとピアノによる「虫のカタログ」では、ゲストにフルートとオーボエを迎え、今年が生誕100年にあたるファインとブリテンの作品もご紹介します。

ブリテン(1913-1978)の「2つの昆虫の小品(バッタ/スズメバチ)」はオーボエとピアノのための2曲組で、友人のオーボエ奏者シルヴィア・スペンサーのために1935年4月に作曲、同月に私的初演、2人の没後1979年にスペンサーの追悼演奏会で公的初演されました。

ブリテンは当初オーボエと弦楽オーケストラのための数曲(5曲?)組を構想しており、ピアノ伴奏版はそのスケッチだったため、公的初演も生前に行われなかったようです。もし完成していたらイギリスの「昆虫館」になっていたかもしれませんね。断片はいくつか残されているようなので、他にどんな虫が登場していたのかだけでも知りたい所です。

さて、2曲は、バッタのジャンプや、
バッタ

スズメバチの飛び回る様子など、
スズメバチ

こんなモティーフの組み合わせでできているのがユニーク、その上で1曲ごとにきちんと「三部形式の楽曲」に仕立てられているのもユニークです。そういう律儀な所(?)も未完の理由な気がしますが...

ちなみに、曲というよりアイディアのスケッチのようなランゴーの「昆虫館」は1曲が1分未満、虫でも何でもいつも自分のスタイルのフランセの「昆虫館」は普段通り1曲1〜2分。三部形式を採ったブリテンは2曲計5〜6分で、虫の世界としては比較的規模の大きい器楽作品と言っていいのではないでしょうか(笑)


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今月の演奏メニュー

2013年4月28日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第101回
虫のカタログ

ゴダール「ミツバチ」
シャブリエ「セミ」※曲目を変更しました(4/13)
ヴィエネル「カタツムリ/アリ/ホタル」
マヌーキアン「ハエ」
サンサーンス「テントウムシ/トンボ」
アルカン(生誕200年)「コオロギ」
フランセ「ムカデ/甲虫」
ランゴー「シバンムシ/大蚊/蚊」
ファイン(生誕100年)「蜘蛛」
ブリテン(生誕100年)「バッタ/スズメバチ」
ほか予定

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:
山本葵(フルート)
若木麻有(オーボエ)

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蜘蛛(ファイン)/ハエ(マヌーキアン)2013-04-18

「虫のカタログ」で取り上げる19世紀から21世紀の「虫」作品のうち最も新しい2曲は、いずれもエミリー・ディキンソンの詩にちなんだアメリカ作品です。

蜘蛛
ブリテンと同い年で今年生誕100年のヴィヴィアン・ファイン(1913-2000)はアメリカの女性作曲家。フルートとピアノのための「エミリーのイメージ(1987)」は、器楽曲ながら「エミリー・ディキンソンの詩の最初の行にインスパイアされた」7曲組で、今回は1曲目の「夜、蜘蛛は縫う A Spider sewed at Night」を演奏します。

ハエ
もう1曲は、現存のアメリカの作曲家ジェフ・マヌーキアン(1953-)の歌曲集「エミリー・ディキンソンの詩による8つの歌(2005)」から「あなたのハエより Yours, Fly」。春になって蜂を待ちわびるハエが書いた「あなたを待っているのよ」という手紙の歌です。(虫の世界ではどうやって手紙を出すんでしょう?ポストに投函するわけではないでしょうし...)

どちらも約1分、あっという間の小品ですが、写実的(?)な現代作品らしさの中に詩的な雰囲気も感じていただけたら幸いです。


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今月の演奏メニュー

2013年4月28日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第101回
虫のカタログ

アルカン(生誕200年)「コオロギ」pf.
ゴダール「ミツバチ」/シャブリエ「セミ」sop.
フランセ「ムカデ/甲虫」pf.
ヴィエネル「カタツムリ/アリ/蝶*/ホタル」sop.※追加(4/17)
ランゴー「シバンムシ/大蚊/蚊」pf.
ブリテン(生誕100年)「バッタ/スズメバチ」ob.
ファイン(生誕100年)「蜘蛛」fl.
マヌーキアン「ハエ」sop.
サンサーンス「テントウムシ/トンボ」sop.
ほか予定

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:
山本葵(フルート)
若木麻有(オーボエ)

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