Geistの訳語がよくわからない件2017-08-16

今回のホラー特集はドイツの秘曲中心のプログラムですが、ファゴットソロではフランスの有名な管弦楽曲、サンサーンスの「死の舞踏」とグノーの「操り人形の葬送行進曲」を選びました。

「死の舞踏」とは、真夜中の鐘を聞いて墓から出てきた骸骨たちが夜明けの鶏が鳴くまで踊り続ける、という中世からの題材で、サンサーンスはまずカツァリスの詩に歌曲を作曲し、後に交響詩と、交響詩のヴァイオリン編や2台ピアノ編を書き、さらに「動物の謝肉祭」でも引用しています。骸骨がヴァイオリンを弾いている設定のため、本人以外の編曲でも弦楽器版が多い中、今回はガリボルディがサロン用小品として編曲した管楽器版を演奏します。

レーヴェの歌曲「霊の生活」も真夜中に墓を抜け出して夜明けの鶏で墓に戻るのですが、「死の舞踏」がみんなで大騒ぎなのに対して、こちらは一人寂しく徘徊するバージョン。骨だけではなく人間の姿か、または透明度が高いか魂のみと思われます(勝手な想像)。

ちなみにタイトル「Geisterleben」のGeist(ghost)は、幽霊や亡霊など、どの語にあたるのか辞書でもよくわからず、なんとなくのイメージで「霊」にしてみましたが、どうもghostは広義でそういうもの全般を指し、狭義としては比較的実体のあるもの(phantomは文字通り幻や実体のないもの)を指すために、幅広く各種ghostが存在しているようです。この曲や幽霊船、死のファゴットのGeistも広義でしょうか。

この所こんなテキストばかり書いているせいか、そうでない文章でも時々「霊を挙げれば」などと変換されてギョッとします(泣)


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今週末の演奏メニュー

2017年8月20日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第128回
ホーンテッド・カフェ〜19世紀のホラー

グノー「操り人形の葬送行進曲」fg.
マルシュナー オペラ「吸血鬼」より 吸血鬼のアリア bar.
サンサーンス(ガリボルディ編)「死の舞踏」fg.
レーヴェ「霊の生活/魔王」 bar.
タウジヒ「幽霊船」pf.
クロイツァー「死のファゴット」bar.fg.pf.

藪内俊弥(バリトン)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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アンコール予告(歌がHa!で始まりHa!で終わる件)2017-08-18

納涼ホラー大会、いよいよ明後日になりました。もう1曲のファゴットソロは、グノーの「あやつり人形の葬送行進曲」です。

楽譜の5箇所に「あやつり人形は壊れた!」「同僚たちの哀悼のつぶやき」「葬列」「ここでは登場人物たちが休憩(と宴?)をとる」「帰路」との記載があり、その他に「操り人形は劇場と争って殺された」「道すがら同僚たちは口々に彼の思い出話をする(フーガ風の箇所?)」とも言われているようです。

劇場と争って、というあたり、もしかしたら実は裏に本当に怖い話があるのかと思ったら、そんなことはなく、元々はヘンリー・チョーリーという評論家のユニークな性格を表したものだったとの事。グノーは彼に贈るピアノ組曲を構想していたものの、チョーリーの死によってそれを破棄し、この1曲だけ新たに「あやつり人形の葬送行進曲」と名付けて完成させたそうです(が、チョーリーの葬送行進曲でもあるんでしょうか)。ヒッチコック劇場のテーマ曲として知られる、ちょっとユーモラスでもあるこの曲を、今回のテーマ曲として最初に演奏したいと思います。

そしてアンコールのヒントは
・プログラムはグノーで始まるので...?
・歌はHa!で始まるので...?

なお、歌曲は字幕つきで演奏します。ご来場お待ちいたしております!

※8/19追記 金魚坂さんにはゴーストでなく某(GO)モンスターが出るそうです。トレーナーさんも是非カフコンスにお立ち寄りくださいませ。


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明後日の演奏メニュー

2017年8月20日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第128回
ホーンテッド・カフェ〜19世紀のホラー

グノー「あやつり人形の葬送行進曲」fg.
マルシュナー オペラ「吸血鬼」より 吸血鬼のアリア bar.
サンサーンス(ガリボルディ編)「死の舞踏」fg.
レーヴェ「霊の生活/魔王」 bar.
タウジヒ「幽霊船」pf.
クロイツァー「死のファゴット」bar.fg.pf.

藪内俊弥(バリトン)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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ホーンテッド・カフェ〜19世紀のホラー(カフコンス第128回)2017-08-20


*曲目

グノー「あやつり人形の葬送行進曲」 ファゴット・ピアノ
Charles Gounod (1818-93)
Marche funèbre d'une marionnette (1872)

マルシュナー「吸血鬼」より
何という悦び!(ルートフェン卿のアリア) バリトン・ピアノ
Heinrich Marschner (1795-1861)
Der Vampyr (1827)
Ha, welche Lust!

サンサーンス「死の舞踏」(ガリボルディ編曲) ファゴット・ピアノ
Camille Saint-Saëns (1835-1921)
Danse macabre (1874)

レーヴェ「霊の生活/魔王」 バリトン・ピアノ
Carl Loewe (1796-1869)
Geisterleben (1819)
Erlkönig (1818)

タウジヒ「幽霊船」 ピアノ
Carl Tausig (1841-71)
Das Geisterschiff (1860)

クロイツァー「死のファゴット」 バリトン・ ファゴット・ ピアノ
Conradin Kreutzer (1780-1849)
Der todte Fagott

(グノー「ファウスト」より メフィストフェレスのセレナード)


*出演

藪内俊弥(バリトン)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

字幕制作・操作:カフコンス


*ストーリー

各曲の簡単なあらすじは次の通りです。
なお、声楽作品は字幕つきで演奏いたします。

「あやつり人形の葬送行進曲」 あやつり人形が壊れてしまった。仲間の人形たちは彼を悼み、思い出話をしながら亡骸を教会へ運び、帰路につく。

「吸血鬼」 ポリドリ原作によるオペラ。吸血鬼ルートフェン卿は、吸血鬼の王から「明日の真夜中までに三人の花嫁の生き血を吸え」と命令され…

「死の舞踏」 中世の題材による交響詩からの編曲。真夜中の鐘が鳴ると骸骨たちは墓から出て、死神のヴァイオリンに合わせ、夜明けの鶏が鳴くまで踊る。

「霊の生活」 ウーラントの詩による歌曲。真夜中、死者は墓から出てさまよう。丘や谷、庭や扉を抜けて…そして夜明けの鶏が鳴くと、墓へ戻っていく。

「魔王」 ゲーテのバラード詩による歌曲。夜、病気の息子を抱いた父が馬を走らせている。息子は魔王がいると怯えるが、父には霧や樹しか見えない…

「幽霊船」 シュトラハヴィッツのバラード詩による交響詩からの編曲。夜の嵐の海に、乗組員のいないヴァイキングの黒い幽霊船が現れ、水夫の歌が響く…

「死のファゴット」 作詞者不詳。二人組の騎士を倒した城主は、彼らのファゴットを没収して館に飾ったが、吹き手のいないファゴットが突然鳴り出し…


*ブログ

2017-08-23 ご来場ありがとうございました
2017-08-20 ホーンテッド・カフェ〜19世紀のホラー(カフコンス第128回)
2017-08-18 アンコール予告(歌がHa!で始まりHa!で終わる件)
2017-08-16 Geistの訳語がよくわからない件
2017-08-14 吸血鬼がドン・ジョヴァンニにもオランダ人にもちょっと似てる件
2017-08-11 死のファゴットがドン・ジョヴァンニにそっくりな件
2017-07-30 魔王が子供に身バレしてる件
2017-07-26 幽霊の日