旅への誘いvol.2〜ヴァカンス(カフコンス第115回)2015-06-14

*曲目

ダマーズ「ヴァカンス」*ファゴット・ピアノ
Jean-Michel Damase (1928-2013)
Vacances (1990)

ミヨー「夏の旅」*ソプラノ・ピアノ
Darius Milhaud (1892-1974)
Le voyage d'été (1940)
  1.Modestes vacances つつましい休暇
  2.Les deux hôtels ふたつのホテル
  3.Le boulanger パン屋
  4.La maison inachevée 未完成の家
  5.Monsieur le Curé 神父さま
  6.Les trois peupliers 三本のポプラ
  7.Paresse のんびり
  8.Les conscrits 新米兵士

シックリー「夏の小夜曲」より *ファゴット・ピアノ
Peter Schickele (1935-)
Summer serenade (1983)
  1.Dreams 夢

ミヨー「夏の旅」*ソプラノ・ピアノ
  9.Le château シャトー
  10.L'horizon 地平線
  11.Le pêcheur 釣りびと
  12.Le ruisseau 小川
  13.La petite bergère 牛飼いの少女
  14.Les champignons きのこ
  15.Le retour 帰り

シャブリエ「旅への誘い」*ソプラノ・ ファゴット・ピアノ
Emmanuel Chabrier (1841-94)
L'invitation au voyage (1870)


*出演

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:江草智子(ファゴット)


*歌詞大意

「夏の旅」(カミーユ・パリアール)

1.つつましい休暇
私たちは坂道を選び、平地を避けて行く
小さな車は怒ったように突進する
小さな車よ、落ち着いて
坂が二時間続き、二百のカーブがあるのは
よく知っているでしょう
がけは左側に窪み、突然右側へ移る
青々と茂る斜面には白い牛たちが
この一年動かずにいる
木のない高原では荒々しい風が私たちと戦っている
なんていい空気!
目を閉じてゆっくりと吸わせておくれ
でももう栗の木や
突き出た屋根の低い家々がせまってくる
松の木が開けて私たちを通し
後ろでまた閉じる
きらめく野原の間に大きなカーブ
すると突然、ほら私たちの夢の国

2.ふたつのホテル
村にはふたつのホテルがある
ひとつはバラ色で教会の裏の野原に面している
もうひとつは大通りにあり、両隣から離れている
旅した遠距離バスがそこに止まり
村中から頼まれた品をそこに預ける
まるで駅の替わりで、重要な場所になっている
お昼に運送屋が入口の前にすわり
配達の前にため息をつきながら額の汗をぬぐう

3.パン屋
村にはやせこけた小さな男がいる
彼には背の高い美しい妻がいて
金髪で巻き毛の小さな子供たちがいる
薄暗い部屋の奥には赤く輝くオーブンもある
これが地元のパン屋
ドアの前を通ると、焼き立てのパンと火の匂いが
来年までつきまとう

4.未完成の家
坂になった野原に
完成していない家がある
そこには大きくて美しい
学校が建つと思われていた
しかし森から水が流れ込むことがわかり
石工たちも二階でやめてしまった
それ以来そのままになっている

5.神父さま
神父さまは探せばすぐに会える
彼は教会か、そうでなければ庭にいる
小さな子供たちに教理を教えたり
野菜に水をやったりする時は
いつも善良なやさしいほほえみと一緒
この世で神を愛してもう八十年だ

6.三本のポプラ
三本のポプラたちが野原の真ん中で
重々しく話し合っている
身動きもせず
真面目に長い間…一体何について?
きっと哲学のことに違いない
しかし少しでも風が吹くと全身の葉を震わせる

7.のんびり
狭い谷に横たわって何も考えないでいる
自分の上には海のように澄んだ空
両手の下には水のようにひんやりとした草
そしてどこか遠くで羊飼いの鈴の音が響く

8.新米兵士
太鼓が鳴り響く
新米兵士たちだ
彼らはワインの匂いをちょっと嗅いだだけで
ちっともまっすぐに行進しない
でもワインは兵士には必需品
しかもここにいるあどけない娘たちは
心の中で彼らを尊敬しているのだ

9.シャトー
道路を走るドライバーたちが
その館を見て思わず漏らす
美しい!
速度を緩め、また目をむけて
バラ園と素晴らしい館に感心する
でもここの人々は見慣れていて
特に注意も払わない
ただ金髪の女教師だけが
立ち止まる、夢心地に
暑い最中なのに
館主人の息子を見ようと
長方形の大きなプールで泳ぐ彼を

10.地平線
窪みの少ない谷のうしろに
慣れ親しんだ丘のうしろに
地平線の長い線が空のふちに沿って伸びる
私の魂よ、お前と隣り合うゆるやかな曲線を見捨てて
未知の国、お前の故郷へ船出しなさい

11.釣りびと
金髪でやさしい酷い釣りびとよ
じめじめした隠れ家でこそこそしているマスを
追いかけている釣りびとよ
つまらない獲物しか捕れませんように
お前の美しい恋人たちがお前をあざ笑い
あっさりと別れを告げるような獲物しか
夕暮れ時に、柳の枝で編んだカゴから
どんな刺激的な人生もすり抜けていくように

12.小川
橋の上で顔を出したら
動かない暗い鏡が見える
そして逆さまの橋のアーチと
逆さまの自分の顔が見える
でも日当たりの良い野原に下りたら
それが生き生きと楽しげに流れる小川なのに気付く
多くのへまをやらかして
ウインクしながら枝の下を流れていく

13.牛飼いの少女
彼女はノミのように小さいが
大きな牛を指揮する
その筋のコツには長けているのだ
チェックのエプロンに、手にはバゲット
きつく編んだ三つ編み
時には腰掛けて歌う
彼女は施設の子供
歌え、歌え、お嬢ちゃん
空の下で芝生に座って
そのうちお前の楽しみは取り上げられてしまうから

14.きのこ
九月初めての雨がやんで
太陽が戻って来たとき
私たちは一群となってきのこを探しに出かける
でも私は空中を見上げて
他の人が見ていない美しいものを見ている
ところが夜になって
みんなが大理石のテーブルの上に宝物を並べると
私はあまりの恥ずかしさにうなだれる

15.帰り
門の前には再び小さな車
ブレーキの点検をしてみて
ああ!もう上らずに下るしかない
村のこどもたちが私たちの前に並ぶ
夜までに戻るにはもう出発しなければ
さようなら美しい女主人
さようなら神父さま、すぐにおたよりします
用意はできた?忘れ物はないかしら
バイオリンにつりざお、大きなゴム長靴
さあ、最後のロープを切りましょう
きらめく牧場の合間に再びしなやかなカーブ
開けた松の林は行きとは逆側に見える
やせた高原は絶え間なくうなり声をあげている
なぜお前は私の胸を揺さぶるのでしょう
その悲しみは何なのでしょう?
休暇が一年も続かないことは分かっているでしょう
ほらもう坂は様子が変わってきた
花開いたヒースは秋の訪れを知らせる
私たちの後ろに太陽が隠れ
最後にもう一度振り返ってみる
ああ、そこには私の冬の糧がある
お前を持って帰ろう
今や目の前には平野が広がるばかり
そして、もやに包まれた日々の生活が
私たちを待っている

「旅への誘い」(シャルル・ボードレール)

わが子よ 妹よ 思い描いてごらん
かの地へ行き共に生きる甘美を!
思うままに愛し そして死ぬのだ
お前に似た かの国で!
曇った空で 潤む太陽は
私の心を魅惑する
これほど神秘的に
涙の中に輝く お前の偽りの瞳のように
 かの地には ただ秩序と美
 豪奢 静寂 そして逸楽

ごらん 運河の上に眠る船は
放浪の心を持って
お前の小さな望みを かなえるため
世界の果てからやって来るのだ
ー 沈む太陽は 野を
運河を 町じゅうを
ヒヤシンス色と金色に染め
世界は眠りにおちる 熱い光の中で
 かの地には ただ秩序と美
 豪奢 静寂 そして逸楽


*ブログ

2015-06-14 ご来場ありがとうございました
2015-06-14 旅への誘いvol.2〜ヴァカンス(カフコンス第115回)
2015-06-13 シックリーとファゴット
2015-06-12 夏の旅の思い出(エビフライカレー編)
2015-06-11 夏の旅の思い出(ブルートレイン編)
2015-06-07 L'invitation au voyage / Vacance
2015-06-04 Summer serenade
2015-05-24 Le voyage d'été
2015-05-14 6〜7月のDMハガキができました!
2015-05-11 梅雨逃避作戦

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