ドニゼッティ兄2015-07-01

今月のカフコンスは当初4月に予定していた「ドニゼッティアーナ・カフェ」です。延期のお詫びにドニゼッティの兄の小品を1曲追加しました。

ジュゼッペ・ドニゼッティ(1788-1856)は弟ガエタノ・ドニゼッティと同じく作曲家ですが、彼の名を検索すると、イスタンブールにある「パラッツォ・ドニゼッティ」というホテルや「ジュゼッペ・ドニゼッティ・コーヒー」というカフェがヒットしてきます (・ω・)?

実はジュゼッペはトルコ(オスマン帝国)で西洋音楽の発展に尽くし「パシャ」の称号も授かったという人物。彼は、西洋音楽を導入し始めたばかりのトルコ軍楽隊の初代総監督としてトルコへ招かれ、作曲家・音楽教師として活躍した他、オペラ上演や演奏会のプロデュースにも携わり、西洋から招いた著名な音楽家達のホストも務めました。リストが1847年にトルコで演奏した際のプログラムには、リスト編曲による、ジュゼッペ作曲の戴冠式用行進曲(オスマン帝国国家にも採用)のパラフレーズや、ガエタノの「ルチア」のパラフレーズが並んでいます。

1828年にトルコへ渡り1856年に同地で没したジュゼッペはイスタンブールの大聖堂に葬られているそうで、文字通りこの地に骨をうずめたイタリア人の名士の名が街のホテルやカフェにも残っているのですね。

ところでネットで「ジュゼッペ・ドニゼッティ・コーヒー」のメニューを覗いてみたら、普通のエスプレッソが5.50(ドル?)のところ、「ドニゼッティ・コーヒー」と「ドニゼッティ・フラッペ」は13.00でした! どんなスペシャルコーヒーなのかとても気になりますが、「ドニゼッティアーナ・カフェ」のメニューに登場するジュゼッペの小品も、なかなか聴けないという点では、弟作品5.50に対して兄作品13.00くらいの希少価値があるかもしれません!(笑)


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今月の演奏メニュー

2015年7月26日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第116回
ドニゼッティアーナ・カフェ

ドニゼッティ「三重奏曲」fl,fg,pf
ドニゼッティ兄「アンダンテ」fl,fg ←new
タールベルク「ルチアの六重唱による変奏曲」pf
トリアーニ「ルチアの主題による嬉遊曲」fg,pf
ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」より「狂乱の場」sop,fl,pf

柳沢亜紀(ソプラノ)
山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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7月26日は幽霊の日2015-07-11

今月のカフコンスの開催日、7月26日は「幽霊の日」。「東海道四谷怪談」が初演された日に因むのだそうです。そして、今回取り上げる「ランメルモールのルチア」にも幽霊(を見た話)が登場します。

「ルチア」のストーリーは、恋人と引き裂かれ別の男と政略結婚させられることになったルチアが、結婚式の日に錯乱して花婿を刺してしまう...というもので、花婿を刺したルチアが、泉のほとりで恋人と結ばれる幻影を見ながら息を引き取る...というシーンが「狂乱の場」です。その泉はかつて二人が結婚を誓った場所で、オペラの序盤でルチアが「嫉妬で殺された女の幽霊が現れて、水面が血に染まるのを見た」と語った場所でもありました。「狂乱の場」のト書きには「(ルチアは)青白くて幽霊のよう」と書かれています。

7月26日の「幽霊の日」のカフコンスでは、その「狂乱の場」と、ルチアの旋律による器楽曲を中心に、プログラム前半にはドニゼッティと兄ジュゼッペの室内楽曲を演奏します。ルチアいろいろ、ドニゼッティいろいろの「ドニゼッティアーナ・カフェ」へぜひお出かけください!


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今月の演奏メニュー

2015年7月26日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第116回
ドニゼッティアーナ・カフェ

ドニゼッティ「三重奏曲」fl,fg,pf
ドニゼッティ兄「アンダンテ」fl,fg
タールベルク「ルチアの六重唱による変奏曲」pf
ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」より「狂乱の場」sop,fl,pf
トリアーニ「ルチアの主題による嬉遊曲」fg,pf

柳沢亜紀(ソプラノ)
山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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7月26日はルチア特集2015-07-13

一昨日のブログに幽霊のことを書いたら「お祓いした?」と言われてしまいました ((;゜Д゜)ガクブル
でもルチアの悲劇は幽霊のせいではないし、ルチアが幽霊になるわけでもないので大丈夫ですよね...

さて、今回のメインはもちろんフルートとソプラノが豪華に競演する「狂乱の場」なのですが、カフコンスではもう一捻りして、ピアノの「ルチアのアンダンテ・フィナーレによる変奏曲」とファゴットの「ルチアの主題によるディヴェルティメント」を前後に配置してお聴きいただくことにしました。この2曲は「オペラ・トランスクリプション(編曲)」と呼ばれるジャンルの演奏会用器楽曲で、リストのライバルとされたピアニストのタールベルクと、スカラ座のファゴット奏者だったトリアーニによるものです。

ルチアは兄が細工した偽の手紙を読まされ、恋人に裏切られたと思い込んで、政略結婚の署名をしてしまいます。その場へ乗り込んできた恋人もまた、結婚の署名を見せられて、ルチアに裏切られたと思い込みます(そう、幽霊のせいじゃなく、お兄ちゃんが悪いんですよ!)。タールベルクの「ルチアのアンダンテ・フィナーレによる変奏曲」は、この結婚のシーンで一堂に会した登場人物がそれぞれの思いを歌う六重唱「Chi mi frena in tal momento」のピアノ用編曲。リストもこの名場面を編曲していて、トルコを訪れた際にはドニゼッティの兄ジュゼッペの前で演奏しました

そして、裏切られてもまだ恋人を愛していたルチアが錯乱して花婿を刺し、恋人との結婚式の幻を見るのが「狂乱の場 Il dolce suono」ですが、恋人のほうも自分を裏切ったルチアをまだ愛していて、ルチアのいない(他の男と結婚してしまった)世界は砂漠のようだ、と、辞世の名アリア「Fra poco a me ricovero」を歌います。トリアーニの「ルチアの主題によるディヴェルティメント」ではファゴットがこのテノールのアリアをシンプルに原曲通り歌い上げるのが一番の聴きどころ!もちろん他の箇所は名人芸満載で、男声シーン中心なのも低音楽器ならではです。ちなみに構成は

1. ルチアの兄がルチアに政略結婚を認めさせるシーン:序奏
2. 辞世のアリア:原曲通り(カデンツァ以外は装飾なし!)
3. ルチアが恋人を待ちながら「彼は私の光」と歌うシーン:経過部
4. そこへ現れた恋人とルチアが愛を誓う二重唱:変奏曲
5. 辞世のアリアの後、ルチアが錯乱して死んだ事を知るシーン:終結部

となっていて、1を悲劇の元凶、3と4を回想だと思えば、「狂乱の場」の後の恋人に焦点が当てられたものとも言えるので、敢えて最後に演奏します。

以上3曲、出演者4人総力をあげての濃厚な「ルチア」特集にどうぞご期待ください!

「幽霊の日」特集ではないことを強調しておきます... (>_<)


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今月の演奏メニュー

2015年7月26日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第116回
ドニゼッティアーナ・カフェ

ドニゼッティ「三重奏曲」fl,fg,pf
ドニゼッティ兄「アンダンテ」fl,fg
タールベルク「ルチアのアンダンテ・フィナーレによる変奏」pf
ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」より「狂乱の場」sop,fl,pf
トリアーニ「ルチアの主題によるディヴェルティメント」fg,pf

柳沢亜紀(ソプラノ)
山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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