シックリーとファゴット2015-06-13

シックリーの楽譜の裏表紙に、作曲者がファゴットを始めた時のエピソードが紹介されています。

『12歳か13歳のころ、母親が大学生のときに使っていた古いクラリネットを自己流で吹き始めたが、そのうち飽きてしまった。大学でクラリネットを教え、コミュニティー・オーケストラで演奏をしているクラリネット奏者と会うことになり、彼の前でクラリネットを吹いた。彼は、私の演奏を少し聴くと、「ピーター、君は悪い癖がつきすぎてしまっているから、違う楽器を新たに始めるほうが良いかもしれない」と言った。そして、私にファゴットを薦めてきた。彼に別の思惑があったことを知ったのは、ずいぶん後になってからだった。このコミュニティー・オーケストラにはファゴット奏者がいなかったのだ。このようにして私はコミュニティー・オーケストラ唯一のファゴット奏者となった。1~2年後には高校の同級生が加わり、一人ではなくなった。我々はできるかぎりの感情を込めて演奏した。ご存じのとおり、ファゴットはオーケストラの中でも頭より上に突き出ている数少ない楽器のひとつだ。指揮者はついに、頼むからそんなに体を揺り動かさないでくれと我々に言わなければならなかった。せわしなく動くファゴットセクションは観客の目についたらしい。悪い意味で。』

そのあと、マーチングバンドが嫌だったという話、ジュリアード時代の話が続き、作曲者が54歳のとき、大好きなファゴットに初めて書いたソロ曲である、このsummer serenadeを書き上げたと記されています。

「夢」は冒頭部分は爽やかで、中間部はシックリーらしい面白さがあります。楽しんで頂ければ幸いです。 (E)

suitecase


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明日の演奏メニュー

2015年6月14日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第115回
旅への誘い vol.2 〜 ヴァカンス

ダマーズ「ヴァカンス」 fg,pf
ミヨー「夏の旅」第1曲〜第8曲 sop,pf
シックリー「夏の小夜曲」より「夢」 fg,pf
ミヨー「夏の旅」第9曲〜終曲 sop,pf
シャブリエ「旅への誘い」 sop,fg,pf

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:江草智子(ファゴット)

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