カウエルのクラスターと内部奏法2023-09-01

9/10の「カフェコンセールの歌姫vol.8」は題名の通り歌姫が主役なのですが、お客様のK様からリクエストと楽譜をいただき、ヘンリー・カウエル(1987-1965)のピアノ曲コーナーを設けました。

富士山の白雪
「富士山の白雪(1924)」は全編がクラスターで書かれています。クラスターとはある範囲内の音を全部を鳴らす奏法で、普段は派手な箇所で衝撃的な効果音のように使われることが多いのですが(7月の「ブレーメンの音楽隊」で泥棒が必死に逃げるところや8月の「セダクションダンス」の最後など)、この曲は右手がずっとクラスターのみで演奏するという試みで、手のひらや肘で、しかし綺麗なメロディーを弾きます(左手は単音またはオクターブを弾くことで音程感を補います)。

エオリアンハープ
「エオリアンハープ(1923)」も、当時の実験的な試みであるにもかかわらず、出てくる音はとても綺麗です。ピアノ内部の弦をかき鳴らすことと、音を出さずに鍵盤を押さえることを組み合わせて、特定の和音だけを響かせる、というアイディアで書かれています。

バンシー
「バンシー(1925)」は内部奏法のみによる作品で、奏者も鍵盤側(左側)でなく、右側から演奏します。説明書きに従って弦をかき鳴らしたり、こすったり、引っ掻いたり、はじいたり。もはやピアノ奏者である必要もありません。音響はホラーです…

以上3曲、ピアノという楽器にこんな音の出し方があるんだ!という面白さを純粋に楽しみつつ、ふと、自分は一体なにと戦っているのか?という気持ちになったりしながら練習中です。<川北>


--------------------------------------------------

今月の演奏メニュー

2023年9月10日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第159回
カフェコンセールの歌姫vol.8

ドリング「色の組曲」より「ブルーエア」 *pf solo
同「ベッジュマン歌曲集」より「ナイトクラブの女主人の歌」
イベール「青髭」より「メルポメーネの2つの歌」
同「鉄の騎士」より「フロリンドの嘆き/ガリアーヌの子守歌」
カウエル「富士山の白雪/エオリアンハープ/バンシー」*pf solo
同「3つのアンチモダニストの歌」
予定

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

--------------------------------------------------

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログのタイトルにもなっているカフェコンサートの名前は?(カタカナ5文字でお答えください。)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://cafconc.asablo.jp/blog/2023/09/01/9614295/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。