イベールの物語と台詞と総括2023-09-07

今回演奏する曲のトピックは2つあります。

まず、イベールの4曲は物語(放送オペラと劇音楽)の中の断片的に残された曲だということ。そのうち2曲はヨーロッパに伝わる「青ひげ」が主人公の物語で、残りの2曲はアラブ占領時代のスペインが舞台の「鉄の騎士」という物語です。やはり役があるからか、詩人の作品に曲をつけたいわゆる歌曲とどこか違い、かといってオペラアリアのようでもないところが面白いです。

2つ目は、ドリングとイベールの曲にセリフが、カウエルの曲にシュプレッヒシュティンメ(Sprechstimme 歌と語りの中間の歌唱法)があるところです。セリフは特に音符はないので、なんとか歌詞の意味合いから自由に雰囲気を出せますが、シュプレッヒシュティンメのところは音符でリズムと大体の高低の指示があるので不思議なことになります。かの有名なシェーンベルクはシュプレッヒシュティンメについて「歌を思わせてはならない」と言っているそうですが、修業が足りなくて、ただ音感の悪い人が歌っているようになってしまう…なんとか様になるようにしたいです。

上記のトピックは「歌姫シリーズ」ならではだと思います。また、物語の一部のイベールの曲の他、ドリングは歌曲集の中のキャバレーソング風の曲、カウエルは新聞記事をもとにした詩につけた曲で、「歌姫シリーズ」にぴったりです。

「歌姫シリーズ」は今回でもう8回目。いつも言葉(発音・意味ともに)と艶っぽい雰囲気に悪戦苦闘しますが、なかなか演奏しないので貴重な機会です。 <渡辺>


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今週末の演奏メニュー

2023年9月10日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第159回
カフェコンセールの歌姫vol.8

ドリング「色の組曲」より「ブルーエア」 *pf solo
同「ベッジュマン歌曲集」より「ナイトクラブの女主人の歌」
イベール「青髭」より「メルポメーヌの2つの歌」
同「鉄の騎士」より「ガリアーヌの子守歌/フロランドの嘆き」
カウエル「富士山の白雪/エオリアンハープ/バンシー」*pf solo
同「3つのアンチモダニストの歌」

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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