トーキョーの週末2023-08-06

1週間後のカフコンス「トリオのひととき」のメインは、フルート(ピッコロ、アルトフルート持ち替え)・オーボエ(イングリッシュホルン持ち替え)・ピアノによる三重奏曲「東京の週末(2006)」です。イタリアの現存の作曲家サリエッティさんは1957年生まれで、ホルン奏者として1977年からイタリア国立放送交響楽団団員、1990年から同首席、またソロや室内楽で活躍、その傍ら1986には作曲の学位を取得、ブラスを中心に多数の作品があり、国際的な賞も受賞しているそうです。

トーキョーの週末

楽譜の表紙はこんな感じでちょっと心配になりますが、曲は渋谷の交差点から始まる21世紀の風景。作曲者によれば「東京で過ごした数日の思い出を形作る、心に残るイメージと印象」との事で、各曲にも短い説明がつけられています。

1. 渋谷(part 1:交差点の人々)
 - 交差点では人の川がほぼ機械的に流れ、みな自分の方向へ進む
2. 明治神宮(神道の神社での婚礼)
 - 緑に包まれた寺で上品な婚礼衣装をまとった男女が行列の先頭を歩く
3. 渋谷へ戻る(part 2:さらに多くの人々)
  - 私は人ごみの中心に戻る
4. 水道橋(橋の下を流れる水)
 - 水は橋の下を穏やかに流れ、周りを気にとめない
5. 渋谷と間奏曲(part 3:ロマンティックな出会い)
 - 人ごみの中から着物を着たとても美しい女性が現れる
6. 増上寺(仏教徒の儀式)
 - 寺の儀式では小さな高音の鐘と深い響きの大太鼓が僧侶の歌に加わる
7. 東京ドームシティ
 - 遊園地の気ままな娯楽

全7曲は、渋谷と東京ドームの4つのアレグロ楽章の間に3つの緩徐楽章、という構成。人々が行き交うスクランブル交差点を様々な音型の重なりで表す渋谷を始め、どの場所も魅力的に描かれていて東京在住者として嬉しくなります。個人的には真ん中の水道橋のステキさに市ヶ谷〜御茶ノ水あたりの水辺の風情を再認識、また対称に置かれた明治神宮と増上寺の描写の違いや、ドームシティの景色の一部ともいえる「アレ」のアイディアに感嘆、さらに一見それぞれ個性的な曲が実は共通の音型で書かれていることに驚嘆させられます。

普段は(同じく8/13に演奏する「セダクションダンス」のように)楽譜から未知のリズムや土地を想像することのほうが多く、勝手知ったる東京を演奏するのはとても新鮮に感じます。みなさまもご一緒に新東京紀行はいかがですか?


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今月の演奏メニュー

2023年8月13日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第158回
東京の週末〜トリオのひととき

ドリング「三重奏曲」
  Allegro con brio/Andante semplice/Allegro giocoso
サリエッティ「東京の週末」
  渋谷/明治神宮/渋谷へ戻る/水道橋/渋谷と間奏曲/
  増上寺/東京ドームシティ
アギーラ「セダクションダンス」
  Con nostalgia 〜 Allegro

中村淳(フルート・ピッコロ・アルトフルート)
荒木良太(オーボエ・イングリッシュホルン)
川北祥子(ピアノ)

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