音で演じる2023-07-11

今月のカフコンスは4本の管楽器とピアノによる「ブレーメンの音楽隊」。この曲のユニークな点は5つの楽器がそれぞれの役を演じることです。演じると言ってもセリフや動きがあるわけではなく、演奏している見た目は(?)普通の五重奏なのですが。

たとえば、ロバが犬と出会ってブレーメンに誘う会話:

ロバの上に犬、猫、鶏が順番に乗っていくところ:

一斉に叫んで泥棒を追い出すところ:

このような楽譜に込められたアイディアを奏者が音に表し、お客様が物語を想像していただけたら、この曲の副題「Was Töne vermögen(音が成しうること)」を成し遂げたことになるのだと思います。お立ち会いいただければ幸いです!


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今月の演奏メニュー

2023年7月23日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第157回
音で演じるブレーメンの音楽隊

ティッシュハウザー「ブレーメンの音楽隊」
ほか

オンドリ:中村淳(フルート)
ネコ  :荒木良太(オーボエ)
イヌ  :石田理雄(クラリネット)
ロバ  :江草智子(ファゴット)
泥棒たち:川北祥子(ピアノ)

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ブレーメンの音楽隊(1分で読めるあらすじ)2023-07-17

7/23のカフコンスは「音で演じるブレーメンの音楽隊」。この曲にはナレーションが入るバージョンも用意されていますが、今回は音だけで、大げさにいえば「音から何が見えるか?」にチャレンジしたいと思います。

が、「ブレーメンの音楽隊」ってどんなお話だったっけ?という方もいらっしゃると思うので、1分で読めるあらすじを作成してみました。

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あるところに、年老いて餌をもらえなくなったロバがいました。
ロバは逃げ出し、音楽隊に入ろうと決意してブレーメンを目指します。
途中に出会った、似た境遇の犬、猫、雄鶏も仲間に加わりました。

一日中歩いてもまだブレーメンには着きません。
疲れて日も暮れたので、森で野宿する場所を探していると、
雄鶏が明かりのついた家をみつけました。

近づいて窓からのぞくと、泥棒たちがごちそうを食べていました。
動物たちは、泥棒たちを追い出そうと相談して、
ロバの上に犬、その上に猫、その上に雄鶏が乗って一斉に叫びました。

泥棒たちはびっくりして森へ逃げ、
動物たちはごちそうをお腹いっぱい食べて眠りました。

真夜中になると、泥棒の1人が様子を見に戻ってきました。
家の中は静かで真っ暗だったので、泥棒は明かりをつけようとして、
光っている猫の目を火と間違えて近づきました。

猫はひっかき、犬はかみつき、ロバは蹴り、雄鶏は大声で叫んだので、
泥棒は逃げ帰って「あの家には化け物がいる」と仲間たちに話しました。
泥棒たちは遠くへ逃げていき、二度と戻ってきませんでした。

動物たちはこの家が気に入って、ずっとここで暮らしました。

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こんなお話が約25分の一続きの曲として作曲されています。
みなさまの想像の中で動物たちと泥棒が動き始めますように!


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今週末の演奏メニュー

2023年7月23日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第157回
音で演じるブレーメンの音楽隊

ティッシュハウザー「ブレーメンの音楽隊」
ほか

オンドリ:中村淳(フルート)
ネコ  :荒木良太(オーボエ)
イヌ  :石田理雄(クラリネット)
ロバ  :江草智子(ファゴット)
泥棒たち:川北祥子(ピアノ)

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配役2023-07-20

今回は「配役の決まっている曲」2曲を演奏することになりました。1曲目はホフマイスターの3重奏曲「オンドリ、カッコウ、ロバ」の第1楽章。ホフマイスターはモーツァルトやベートーヴェンとも親交のあったドイツの作曲家です。この曲では3つのパートにそれぞれオンドリ、カッコウ、ロバの鳴き声を模した音型が出てくるのでご注目ください。配役は次の通りです:

オンドリ:中村淳 (フルート)
カッコウ:荒木良太(オーボエ)
ロバ  :石田理雄(クラリネット)

2曲目のティッシュハウザー「ブレーメンの音楽隊」はこんな配役です:

ロバ  :江草智子(ファゴット)
イヌ  :石田理雄(クラリネット)
ネコ  :荒木良太(オーボエ)
オンドリ:中村淳 (フルート)
泥棒たち:川北祥子(ピアノ)

ティッシュハウザーは現代スイスの作曲家。ホフマイスターから200年後の20世紀の作品なので、動物たちの鳴き声も「鳴き声を模した音型」ではなく、特殊奏法でリアルなものになっています。どんな奏法なのか、奏者のコメントもどうぞ:

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ロバ「この曲はファゴットによるロバの鳴き声から始まるのですが、息を吸って吐いて、鳴き声というより苦しげな呼吸音のような感じで、実際、この曲を初演した奏者が探し出したという、ちょうど音がちゃんと鳴らない指づかいで音を出しています。最初は、本当にこれはロバの鳴き声なの?と思いましたが、YouTubeでロバを見たら本当にこんな鳴き方をしていて、絶妙に再現されているなと感心しました。」

イヌ「各管楽器で、一風変わった奏法でそれぞれに当てがわれた動物の鳴き声を表現しますが、クラリネットはA管の下半分を使うという今まで自分自身も出会ってきたことのない奏法が出てきます。練習してみるとこれまたちゃんと犬の鳴き声に聞こえるというのが非常に面白いです。」

ネコ「ネコの登場の際には楽器からリードを外して演奏する指示があります。普段リードのみの音を聞くことはあまりないと思いますがそれを猫の鳴き声に見立てたところから始まるのが今回のオーボエパートの中で特徴的です。」

オンドリ「フルートという楽器はバロック以前から鳥の鳴き声に例えられるのですが、この曲ではオンドリが登場する時、フルートの頭部管のみで鳴き声を奏でます。よくサイレンのモノマネとしてこの奏法を演奏していたのですが、鳥の鳴き声として使用するのは今回初めてです。早業の持ち替えも注目ポイントです。ぜひ僕が楽器を構え始めたら見ていて下さい。」
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そしてこの「ブレーメンの音楽隊」では、ホフマイスターのように「鳴き声が出てくる」だけでなく、1曲を通して1つの楽器が1つの登場人物を演じます。たとえばファゴットは1曲の間ずっとロバ役として、飼い主に虐待されて嘆き、逃げ、音楽隊に入ろうと思いついてブレーメンを目指して歩き出し、途中で出会った動物たちを仲間に誘い、皆を先導し… という、心情や台詞、行動を表し続けます。このように5人の奏者がそれぞれの登場人物を演じる事で、1つの物語=1曲の5重奏曲が完成するのです。

このユニークな5重奏をぜひ今週末のカフコンスでお楽しみください!


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今週末の演奏メニュー

2023年7月23日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第157回
音で演じるブレーメンの音楽隊

ホフマイスター「オンドリ・カッコウ・ロバ」より第1楽章
 オンドリ:中村淳 (フルート)
 カッコウ:荒木良太(オーボエ)
 ロバ  :石田理雄(クラリネット)

ティッシュハウザー「ブレーメンの音楽隊」
 オンドリ:中村淳(フルート)
 ネコ  :荒木良太(オーボエ)
 イヌ  :石田理雄(クラリネット)
 ロバ  :江草智子(ファゴット)
 泥棒たち:川北祥子(ピアノ)

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