配役2023-07-20

今回は「配役の決まっている曲」2曲を演奏することになりました。1曲目はホフマイスターの3重奏曲「オンドリ、カッコウ、ロバ」の第1楽章。ホフマイスターはモーツァルトやベートーヴェンとも親交のあったドイツの作曲家です。この曲では3つのパートにそれぞれオンドリ、カッコウ、ロバの鳴き声を模した音型が出てくるのでご注目ください。配役は次の通りです:

オンドリ:中村淳 (フルート)
カッコウ:荒木良太(オーボエ)
ロバ  :石田理雄(クラリネット)

2曲目のティッシュハウザー「ブレーメンの音楽隊」はこんな配役です:

ロバ  :江草智子(ファゴット)
イヌ  :石田理雄(クラリネット)
ネコ  :荒木良太(オーボエ)
オンドリ:中村淳 (フルート)
泥棒たち:川北祥子(ピアノ)

ティッシュハウザーは現代スイスの作曲家。ホフマイスターから200年後の20世紀の作品なので、動物たちの鳴き声も「鳴き声を模した音型」ではなく、特殊奏法でリアルなものになっています。どんな奏法なのか、奏者のコメントもどうぞ:

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ロバ「この曲はファゴットによるロバの鳴き声から始まるのですが、息を吸って吐いて、鳴き声というより苦しげな呼吸音のような感じで、実際、この曲を初演した奏者が探し出したという、ちょうど音がちゃんと鳴らない指づかいで音を出しています。最初は、本当にこれはロバの鳴き声なの?と思いましたが、YouTubeでロバを見たら本当にこんな鳴き方をしていて、絶妙に再現されているなと感心しました。」

イヌ「各管楽器で、一風変わった奏法でそれぞれに当てがわれた動物の鳴き声を表現しますが、クラリネットはA管の下半分を使うという今まで自分自身も出会ってきたことのない奏法が出てきます。練習してみるとこれまたちゃんと犬の鳴き声に聞こえるというのが非常に面白いです。」

ネコ「ネコの登場の際には楽器からリードを外して演奏する指示があります。普段リードのみの音を聞くことはあまりないと思いますがそれを猫の鳴き声に見立てたところから始まるのが今回のオーボエパートの中で特徴的です。」

オンドリ「フルートという楽器はバロック以前から鳥の鳴き声に例えられるのですが、この曲ではオンドリが登場する時、フルートの頭部管のみで鳴き声を奏でます。よくサイレンのモノマネとしてこの奏法を演奏していたのですが、鳥の鳴き声として使用するのは今回初めてです。早業の持ち替えも注目ポイントです。ぜひ僕が楽器を構え始めたら見ていて下さい。」
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そしてこの「ブレーメンの音楽隊」では、ホフマイスターのように「鳴き声が出てくる」だけでなく、1曲を通して1つの楽器が1つの登場人物を演じます。たとえばファゴットは1曲の間ずっとロバ役として、飼い主に虐待されて嘆き、逃げ、音楽隊に入ろうと思いついてブレーメンを目指して歩き出し、途中で出会った動物たちを仲間に誘い、皆を先導し… という、心情や台詞、行動を表し続けます。このように5人の奏者がそれぞれの登場人物を演じる事で、1つの物語=1曲の5重奏曲が完成するのです。

このユニークな5重奏をぜひ今週末のカフコンスでお楽しみください!


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今週末の演奏メニュー

2023年7月23日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第157回
音で演じるブレーメンの音楽隊

ホフマイスター「オンドリ・カッコウ・ロバ」より第1楽章
 オンドリ:中村淳 (フルート)
 カッコウ:荒木良太(オーボエ)
 ロバ  :石田理雄(クラリネット)

ティッシュハウザー「ブレーメンの音楽隊」
 オンドリ:中村淳(フルート)
 ネコ  :荒木良太(オーボエ)
 イヌ  :石田理雄(クラリネット)
 ロバ  :江草智子(ファゴット)
 泥棒たち:川北祥子(ピアノ)

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