桜・糸杉・棕櫚・山査子2014-02-20

アイアランド(1879−1962)のピアノ小品集「緑の道」(1937)は、桜の木/糸杉/棕櫚と山査子、の3曲から成り、それぞれの曲にはイギリスの詩の一節が書き添えられています。

花の盛りを見るのに50回の春では足りない
だから林へ行こう 雪をまとった桜を見に
 〜 ハウスマン

来たれ 死よ
そして悲しい糸杉の中に私を横たえておくれ
 〜 シェイクスピア

棕櫚や山査子は 村の家々を賑わす
 〜 ナッシュ

いずれも有名な詩で、数えきれないほどの歌曲が作曲されていますが、器楽曲にはまた別の世界があります。詩を歌う旋律と伴奏という図式でないのももちろんですが、詩の全部を語る歌曲と違って、器楽曲は詩の進行にとらわれない構成であったり、端的であったりもします。また例えば「糸杉」は四分音符5つのモティーフによる5拍子で、「Come away, come away, death」という言葉のリズムで歌われる歌曲にはない発想だという事にもあらためて気づかされます。

詩の引用は上に載せた通りほんの一部のみで、詩のタイトルは書かれておらず、標題の出典を記しただけなのかもしれませんし、演奏や鑑賞のために詩の全文を読む必要があるとは感じませんが、言葉によらない器楽曲に詩の一部が書き添えられている事で楽しみ方は広がるのではないでしょうか。


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今月の演奏メニュー

2014年2月23日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第107回
樹木のカタログ

アイアランド「緑の道」
  桜の木/糸杉/棕櫚と山査子 (pf)
ウィリアムズ「聖なる木」より
  来世の樫/魔女の木 (fg)
ヴォーンウィリアムス「リンデンリー」(sop)
グレインジャー「タイムの小枝」(sop)
クィルター「フューシャの木」(sop)
シベリウス「樹の組曲 op.75」より
  白樺 (pf)/楡 (fg)
ドリング「柳の歌」「緑の木陰で」(sop)

江草智子(ファゴット)
渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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