ロシアの三重奏2011-01-21

今週末のカフコンス「ロシアの三重奏」で演奏するのはハチャトゥリアンの「三重奏曲」とストラヴィンスキーの「兵士の物語」組曲です。

カフカス(コーカサス)出身のハチャトゥリアンは民族音楽の中で育ち、19歳から西洋音楽を学び始めました。本人が「民族的なものを持ち続けて創造を発展させることができた」と語っている通り、モスクワ音楽院在学中に書かれたこの「三重奏曲」も民族色豊かな独創的な作品です。

それぞれの楽章は自由な変奏の形式がとられ、一楽章はアルメニア風(アラビア風?)、二楽章はトゥリーナ作品かと思うほどスペイン風(古くにカフカスからスペインに移住した民族がバスク人の祖となったという説もあるそうですが、スペイン音楽のルーツもカフカスなのでしょうか...?)、三楽章はウズベク風、と、この1曲だけでカフカスの民謡の多彩さを想像できます。またヴァイオリン・クラリネット・ピアノという編成は、民族楽器ケマンチェ(ヴァイオリンの源)・ドゥドゥーク(ダブルリード)・ドール等(打楽器)を想定していると言われ、随所に独特の節回しが現れます。

一方ストラヴィンスキーはロシア風?(といっても「ロシア」も「タンゴ」も「ラグ」もストラヴィンスキー流ですが)。「兵士の物語」はロシア民話をもとにした舞台作品で、今回は作曲者自身による抜粋・編曲版を演奏します。

組曲にチョイスされた5曲は、それぞれ

1.兵士が歩いていました
2.小川のほとりでヴァイオリンを弾きました
3.王宮でヴァイオリンを弾きました
4.王女様の前でヴァイオリンを弾きました
5.ヴァイオリンを弾いて悪魔を倒しました

というシーン。ヴァイオリンを弾いてばかりです。ヴァイオリン奏者が大変です。(原曲ではこの間に悪魔に魂を売ったり買い戻したり、王女様と結ばれた後に衝撃のどんでん返しもありますが、組曲版はお話と関係なく音楽だけ楽しむのが吉かも。)

聴きどころはやはりヴァイオリン全編ですが、カフコンス的には敢えて「小演奏会」の中間部(※写真参照)をおすすめ。ストラヴィンスキーの「結婚」の終盤とも共通するような、ロシアの村の宴がたけなわとなって酔っぱらいも登場するような雰囲気です。一瞬なのでお聴き逃しなく。

というわけで今週末の「ロシアの三重奏」は東洋的三重奏とロシア的三重奏が楽しめておトクです!「兵士の物語」では二つを求めると悪魔に呪われますが...(;゜Д゜))


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今月の演奏メニュー

1月23日(日)11時〜 於:笹塚Blue-T(中国茶つき1,500円)
ヴァイオリン・クラリネット・ピアノによるロシアの三重奏

ハチャトゥリアン「三重奏曲」
ストラヴィンスキー「"兵士の物語"組曲」

島崎祐子(ヴァイオリン)
大橋裕子(クラリネット)
川北祥子(ピアノ)

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