ギリシャとオーヴェルニュの歌(カフコンス第35回)2007-02-25

協賛:キリンMCダノンウォーターズ株式会社


*サンデー毎日2007年3月25日号・名曲喫茶特集ページにて
ミニヨンが紹介され、演奏写真も掲載されました。
サンデー毎日3月25日号

*曲目

ラヴェル「5つのギリシャ民謡」
Maurice Ravel (1875-1937)
Cinq Mélodies populaires Grecques (1904-6)
  1.Le réveil de la mariée 花嫁の目覚め
  2.Là-bas, vers l'église 向こうの教会へ
  3.Quel galant m'est comparable おれのような伊達男が
  4.Chanson des cuilleuses de lentisques 乳香樹を摘む女たちの歌
  5.Tout gai! 何と愉快だ!
(ソプラノ・ピアノ)

同「ハバネラ形式の小品」
Pièce en forme de habanera (1907) (オーボエ・ピアノ)

カントルーブ「オーヴェルニュの歌 第2集」
Joseph Canteloube (1879-1957)
Chants d'Auvergne 2e série (1923)
  1.Pastourelle 羊飼いの娘
  2.L'Antouèno アントゥエノ
  3.La Pastrouletta è lou chibaliè 羊飼いの少女と紳士
  4.La deläissádo 捨てられた娘*
  5.Bourées 2つのブーレ**
    a)N'aï pas iéu de mîo 僕には恋人がいない
    b)Lo calhé うずら
(ソプラノ・ピアノ +*コールアングレ/**オーボエ)

(ラロ「ブルターニュの歌」ソプラノ・オーボエ・ピアノ)


*出演

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:福井貴子(オーボエ/コールアングレ)


*プログラムコメント

 フランスでは18世紀から既に民謡への関心が高まっていたが、19世紀後半からは国をあげて民謡の調査収集が行われ、多くの作曲家がフランス各地の民謡に着目するようになり、また諸外国の民謡の編曲も流行した。
 「オーヴェルニュの歌」は民謡収集活動の中心人物の一人であったカントルーブが、故郷の民謡を採取し伴奏付けを施した曲集。彼自身が「民謡の周りの自然や大地の雰囲気を喚起するもの」と語るように、その伴奏は単なる「和声付け」に留まらず、大胆に変化し展開していく。
 「5つのギリシャ民謡」は、ギリシャ系の批評家カルヴォコレッシがギリシャ民謡への伴奏付けを友人ラヴェルに依頼したもので、歌詞もカルヴォコレッシによる仏語訳が用いられている。「ハバネラ形式の小品」は「スペインの時」「スペイン狂詩曲」と同年に「ヴォカリーズエチュード」として書かれたが、様々な楽器で「小品」としても演奏される。(「ボレロ」の作曲者としても有名なラヴェルが母方にスペインの血を引く事も付記するべきだろう。)


*歌詞大意

「5つのギリシャ民謡」

1.花嫁の目覚め

起きてごらん、かわいらしいやまうずらよ
朝日につばさを広げて
三つのほくろが僕の心を燃やす!

僕が君に持ってきた金のリボンをごらん
これで君の髪を結うんだよ
もしよかったら、かわいい人よ、僕ら結婚しようよ!
二人の家族、すべてうまくいくよ!

2.向こうの教会へ

向こうの、聖シデロの教会へ、
おお聖母様、聖コスタンディーノの教会へ

彼らは集まり、また群となって集まってきた
世界中の、おお聖母様、一番勇敢な者たちが!

3.おれのような伊達男が

おれのような伊達男が
 通りすぎていくやつらの中にいるか、
ヴァシリキの奥さん?

見てごらん、
 おれのベルトにぶらさがっている拳銃と鋭い剣を
おれが愛しているのはあんただよ!

4.乳香樹を摘む女たちの歌

おお、私の魂の喜び、心の喜び、いとしい宝よ
魂と心の喜び、私が心から深く愛するおまえ
おまえはもっと美しい、天使よりももっと

おお、おまえが現れると、私たちの眼の前に
 とてもやさしい天使が現れたようだ
陽の光の下の美しい金髪の天使のようだ
ああ、私たちの憐れな心はため息をつく!

5.なんと愉快だ!

なんと愉快だ!ああ、愉快だ!
踊る美しい足、ティルリ、
食器も踊る、トゥララララ!

「オーヴェルニュの歌 第2集」

1.羊飼いの娘

「おーい、僕のそばにおいで! 川を渡って!
 さあ、こちらへおいで、話すことがあるんだ
 そのあとは愛を語り合おう!」

「でもいけないわ!どうやったら行けるのかしら?
 川を渡る舟もなければ橋もないのだもの
 私のことを真剣に愛してくれる羊飼いがいないみたいに」

「君がきれいだったらすぐに舟が手に入るのに!
 橋も、お墓まで君に忠実な羊飼いも手に入るのにね!」

2.アントゥエノ

私たちが市場へ行く時は!
ふたりで行くのよ、アントゥエノ!

雌牛を買うのよ!
ふたりで買うのよ、アントゥエノ!

でもその牛は私のものよ!
あなたには角をあげるわ、アントゥエノ! 

3.羊飼いの少女と紳士

「羊飼いの恋人がほしいのかい、羊飼いの娘さん?」
「いいえ、一人で羊番できるもの、旦那様」

「木陰に座らないかい、羊飼いの娘さん?」
「木陰は露で湿っているわ、旦那様」

「向こうのシダは乾いているよ、羊飼いの娘さん?」
「それじゃちょっとそこで過ごしましょう、旦那様」

4.捨てられた娘

ある羊飼いの娘が、待っている、
 あの丘の高いところで
愛する人を、でも彼はやってこない!

「彼は私を見捨てたのね!
  愛する人にもう会えないのね
 愛されていると信じていたし、
  こんなにも彼を愛しているのに!」

星が出て、星が夜を告げても
憐れな羊飼いの娘は一人っきりで泣き続ける…

5.2つのブーレ

a) 僕には恋人がいない

僕には恋人がいない、ただの羊飼いだから
もし恋人がいたら大切にするのに
それにもし恋人が僕を愛してくれたら
花とくちづけで包み込んでやるのに!

エントライゴの橋の上に二羽の鳥がいて
恋人達のために歌う
それが本当なら鳥たちはやがて
僕のそばにいるいとしい彼女のために歌ってくれるだろう!

エンドゥンの野原に美しい花が咲いている
青や赤やいろんな色の花が
僕は花を摘みに行って
恋人に持ってきてあげよう!

b) うずら

「教えて、うずらよ、巣はどこなの?」
「バスティドの山にある川のそばよ!」

「教えて、うずらよ、巣は何でできているの?」
「野ウサギと飼いウサギの毛よ!」

「教えて、うずらよ、巣の中には何があるの?」
「他のと似ているけどもっときれいな卵よ!」

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