ゆく年くる年~ショスタコーヴィチ生誕100年/グリーグ没後100年(カフコンス第33回)2006-12-03

*曲目

シューマン「幻想小曲集」より
Robert Schumann (1810-56)
Fantasiestücke op.88 (1842/49)
  1.Romanze ロマンツェ
  4.Finale(Im Marsch-Tempo) 終曲(行進曲のテンポで)

グリーグ「アンダンテ・コン・モート」
Edvard Grieg (1843-1907)
Andante con moto (1878)

ショスタコーヴィチ「三重奏曲 第1番」
Dmitri Shostakovich (1906-75)
Trio op.8 (1923)

(シベリウス「ロヴィサ・トリオ より 第2楽章」)


*出演

島﨑祐子(ヴァイオリン)
船田裕子(チェロ)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 「ゆく年」2006年は何といってもモーツァルト生誕250年に話題が集中したが、ショスタコーヴィチ生誕100年、シューマン没後150年も忘れてはならないだろう。
 ショスタコーヴィチの「三重奏曲第1番」は17歳の作品で、結核の療養先のクリミアで書かれ、そこで出会った同い年の女性に捧げられた。当初のタイトルは「ポエム」又は「ロマンス」で、苦学生だった彼は無声映画伴奏のアルバイト先の映画館で練習と試演を兼ねてこの自作を初演したという。20年後の第2番は国家賞も得ることになるのだが、第1番は時代に翻弄された天才がまだ純粋に天才でいられた時代の秀作と言っていいのではないだろうか。
 シューマンの「幻想小曲集op.88」は、最初の「三重奏曲」として、有名な「ピアノ五重奏曲op.44」などと同じ「室内楽の年」1842年に作曲されたが、後に改訂、改題してから初めて発表された。性格的小品の特徴が強く、第四曲は室内楽には珍しい行進曲で締めくくられる。
 「くる年」2007年からは没後100年のグリーグを取り上げてみた。同一の音型が繰り返されるグリーグらしい構成の「アンダンテ・コン・モート」は「三重奏曲」の緩徐楽章として書かれたが、他の楽章は完成せず、唯一のピアノ三重奏作品となった。この頃のグリーグは田舎に作曲小屋を構え、ますますノルウェー農民歌などに傾倒していく時期で、他に計画していた室内楽も未完に終わっている。
 2007年はグリーグの他にもコルンゴルト、シベリウス、エルガー、レオンカヴァッロ、グリンカらの記念イヤーにあたるのだが、誰が話題を集めるのだろうか。