ラヴェル「子供と魔法」 ― 1993-08-26

主催:ストラヴィンスキーアンサンブル・ACC(財)荒川区地域振興公社
共催:荒川区
*演目
「子供と魔法」(2部からなる叙情的幻想劇)
作曲:ラヴェル/台本:コレット
L'enfant et les sortilèges (1920-25)
Fantaisie lyrique en deux parties
par Maurice RAVEL (1875-1937)
Poeme de COLETTE
*スタッフ・キャスト
演出/振付 小川こういち
美術 岩月真由子
照明 滝山浩二
舞台監督 小山嘉文
演出助手/朗読 佐藤幾美
舞台監督助手 田村円
衣装助手 滝沢しのぶ
指揮 鈴木織衛
子供 砂畑直子
母親/羊飼の少年 小川明子
安楽椅子/りす 泉地香子
肘掛椅子/木 鎌田直純(特別出演)
時計/雄猫 吉川誠二
カップ 浦野妙子
ポット/かえる 二渡唯次
火/うぐいす 柳沢亜紀
羊飼の少女/子りす 川田亜希子
お姫さま 米田賀津子
算術老人 岡本泰寛
雌猫 戸畑リオ
とんぼ 神田彩
こうもり 石橋香緒里
ふくろう 須賀愛子
椅子の合唱・かえるの合唱・動物の合唱
阿部早希子 喜谷麻衣子 田中詩乃 吉田奈巳子 泉寛子
羊飼いの合唱・樹木の合唱・かえるの合唱・動物の合唱
稲田昭徳 遠藤桂一郎 高田正人 渥美史生 安蔵博 川野名康夫 桧山宗夫
羊飼いの合唱・数字の合唱
Voce del Cuore ヴォーチェ・デル・クオーレ(友情出演)
浅見七恵 浅見八重 新井喜代美 石川和子 岡部洋子 小川明子 小川廸子
潟田礼子 川田亜希子 小島栄子 須賀愛子 丹羽朋美 野口喜美子 野口正江
町野幸子 三友里美 山内千紗子 菱沼洋子
フルート 田中典子
オーボエ 和久井仁
クラリネット 大成雅志
チェロ 船田裕子
ピアノ/編曲 川北祥子
*あらすじ(砂畑直子)
◆第1景◆
フランスのノルマンディーの古風な家の一室。
この物語の主人公、6、7才の坊やは、いたずらや悪さが絶えない。母親は宿題もしないで反抗的な態度の子供を叱るが、ひとり部屋に残された子供はヒステリーをおこして、あたりかまわず物を投げたり壊したり、部屋中メチャクチャにしてしまう。
子供に壊され、傷つけられ、いじめられた、物や動物達の抗議が始まる。
子供が椅子に座ろうとすると、肘掛椅子は動きだし、安楽椅子と踊り出す。椅子達は「いたずらものの子供はもうご免だ!」と歌う。
子供に振り子をもぎ取られた大時計は、仕事ができなくなった惨めな自分の姿を嘆き、子供に恨みごとを歌う。
ティーポットはボクシングの格好をしながら仏語と英語のチャンポンで歌い、支那茶碗は中国なまりで、「雪舟、早川」などとわけのわからぬ言葉で歌いながらダンスを踊る。
暖炉の中からは火があらわれ、「よい子は暖めるが、悪い子は燃やしてしまう」と子供に飛びかかり、恐ろしい笑い声を残し去っていく。
子供が引き裂いた壁掛けの絵の中から、羊や山羊、そして羊飼いの少年、少女達があらわれ、子供のおかげで「あっち」と「こっち」に引き裂かれ、二度と一緒になることはできないと悲しみに満ちて歌う。
子供が大好きな絵本の中のお姫さまがあらわれ、子供が本を破いてしまったことを嘆き、闇へと消えてしまう。ひとり残された子供は「あなたは薔薇の心、百合の香り...」とお姫さまへの想いを歌う。
子供が嫌いな「算数」が、わけのわからない問題をまくしたてながらやって来て、デタラメな計算を口走り、頭の狂った数字達と歌い踊り、子供はすっかり打ちのめされる。
なぜかすごく大きくなった白猫と黒猫は、じゃれたり騒いだり、怪しげな声で歌い去っていく。
◆第2景◆
お庭。そよ風、昆虫やかえる、こうもり、鶯の奏でる音楽が聞こえる。
子供がナイフで傷つけた樹は、揺れながら「傷が痛い」と唸る。
とんぼがやって来て、仲間を返してほしいと訴える。捕まえたとんぼをピンで壁に刺してしまった子供は許しをこうが、とんぼは嘆き、去る。
子供が棒で叩き落としたこうもりの仲間は、「巣では、子供たちがお前に殺されたお母さんを待っている」と迫る。
小さい池から、かえる達が這い上がり、思い思いに戯れ、庭は動物達の楽園となる。
かえる達の楽しい遊戯が終わると、子供に籠に閉じ込められいじめられたリスが、一匹の雨がえるに「籠には注意しろ!」と忠告をする。子供は、よく観察するためだったと弁解するが、リスは自由を失いどんなに悲しかったかと歌う。
庭には次々と動物達が集まる。彼らは互いに愛し合い、幸せな様子。みんなに忘れられ淋しくなった子供は「ママ!」と叫ぶ。
恐ろしい叫び声とともに、子供にいじめられた動物達が「団結しよう!」と子供を取り囲み攻撃を始める。巻き添えをくって一匹のリスが怪我をして倒れてしまう。子供は、リスの怪我をした足を縛って血を止めてやり、力尽きて再び倒れてしまう。
子供が手当てをしてやったとびっくりした動物達は、子供を助けようとするが、何にもできない。彼らはさっき子供が叫んだ「ママ!」という言葉を思い出し、子供の家の方へ向かって「ママ!、ママ!」と大きな声で呼ぶ。
家の窓辺に明かりが灯り、動物達は「彼はよいこです、ほんとうにお利口です...」と優しく歌い始める。みんなの愛に包まれて気を取り戻した子供は、母親の姿を見つけ、両手をのばして言う。「ママ!」
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