チェロソナタと無言歌2013-09-21

「チェロソナタ第1番op.45」の書かれた1838年はメンデルスゾーンの「室内楽の年」と呼ばれます。

フェリックスは当時、日曜演奏会時代以来の室内楽作品を一揃い書くつもりだと語り、また35年に指揮者として就任したゲヴァントハウス管弦楽団でもアンサンブル強化のために室内楽を推奨していたと言われます。37〜9年には弦楽四重奏曲3曲、ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ1番、ピアノ三重奏曲1番が、43〜5年にはチェロソナタ2番、ピアノ三重奏曲2番、弦楽五重奏曲が作曲されました。(この周期でいくと50年頃に3番が書かれたはずですが...)

チェロソナタ1番は弟パウルに捧げられ、2番も初演者ピアッティとともにパウルが助言者として名を連ねています(献呈はロシア伯爵)。パウルは既にビジネスの勉強を終えて銀行業務に就いており、ソナタを演奏したかは定かでありませんが、フェリックスは単なる家族の助言としてではなく、チェロ奏者としての彼の意見を尊重していたようです。パウルはその後、兄のマネージャーも務め、兄の死後は書簡や手稿の整理も手がけました。

チェロのための「無言歌op.109(1845)」は、同年デビューしフェリックスと共演した若い女性チェロ奏者クリスティアーニに捧げられた小品。無言歌とは、姉ファニーの発案による、歌のような旋律と伴奏から成る器楽曲で、ファニーとフェリックスによるピアノのための無言歌集は全8巻に及びます。「無言歌op.109」は生前に出版されておらず、フェリックスは二重奏のための無言歌集も書き溜めるつもりだったのかもしれません。

...という所で公演日が明日に迫ってしまいましたので、曲については演奏をお聴きいただけたら幸いです(笑)ご来場お待ちいたしております!


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明日の演奏メニュー

2013年9月22日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第104回
デュオの楽しみ~メンデルスゾーン兄弟の二重奏

メンデルスゾーン「無言歌 ニ長調 op.109」
同「チェロソナタ第1番 変ロ長調 op.45」

船田裕子(チェロ)
江口久美子(ピアノ)

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コメント

_ 釈千手 ― 2013-09-22 15:32

前回が開演ぎりぎりの到着になってしまったので次回は早めに、と思ったら開場の20分前にカフェに到着してしまいました。看板は準備中となっていて、室内からは最後の調整・演奏の音が聴こえてきたためにしばらく近所を散歩して時間を潰しました。外はちょっと暑かったです!

メンデルスゾーン家が日曜日に開いていたサロンコンサートを想像しながら楽しいひとときを過ごすことができました。
船田さん、江口さん、今日は素敵な演奏と解説、ありがとうございました!

_ 船田裕子 ― 2013-09-24 00:21

釈千手様

昨日は連休の中日にもかかわらず、暑い中、足をお運びくださってありがとうございました。
メンデルスゾーンのソナタは今回初めて取り組みましたが、とてもやりがいがありました。ほかにもメンデルスゾーンにはきれいな曲がたくさんありますね。
金魚坂で楽しいひとときを過ごしていただけたとのこと、私たちもうれしいです。
これからもカフコンスの応援よろしくお願いいたします。

Vc.船田裕子

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