旅への誘い(同名異曲)2011-04-29

すばらしい詩には多くの曲が書かれるもので、ボードレールの「旅への誘い」はその好例。一番有名なのはデュパルクかと思いますが、今回はシャブリエとゴダール作曲の「旅への誘い」を演奏します。

「旅への誘い」は「恋人とオランダで暮らすことを思い描いた」詩とされ、詩の中でも「運河に船が〜」と語られます。そこで、3曲の「旅への誘い」の運河の表現を比べてみることにしました。

デュパルク作

↑デュパルクの音型は静かに揺れる水面や細かい光の反射を思わせ、物憂げな雰囲気。退廃的と捉えれば、薬物による「トリップ」への誘いではないか、とまで解釈されるのも頷けます。なおデュパルクとシャブリエは同じ1870年の作で(ボードレールの死後の「悪の華」3版出版の翌年)、原詩の1節と3節を用い、曲は2番(3節)の後半が変化する(夕陽バージョンに)、という構成も一致。

シャブリエ作

↑シャブリエは波紋が広がるような音型で、甘美な雰囲気。この頃のシャブリエはまだ公務員で、コテコテのワグネリアンだったようです。ファゴットが加わる編成も特異。なぜファゴットが使われたのかは演奏してみてから考えます(^^;

ゴダール作

↑ゴダールは少しはしゃいだ雰囲気で、水流も速め。演奏テンポ次第では水しぶきもあがりそうな音型です。(オランダというよりヴェニス?)作曲年は不明。歌詞は1節で3節を挟んだ形で、有名なリフレイン「そこには秩序と美〜」はカットorz そのくせ「妹よ〜」はコーダを含めて3回も歌います...まあゴダールですし。

*5月5日追記。今回は、シャブリエは30代、ゴダールは10代、(デュパルクは40代?)のつもりで演奏してみようと思います。


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カフコンスへの誘い

5月15日(日)11時〜 於:笹塚Blue-T(中国茶つき1,500円)
旅への誘い

シャブリエ「旅への誘い」sop.fg.pf.
ゴダール「旅への誘い」sop.pf.
タンスマン「ミニアチュア世界一周」より pf.
ミニョーネ「街角のワルツ」ほか fg.
ミヨー「夏の旅」より sop.pf.

渡辺有里香(ソプラノ)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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