魚たちのカフェ(カフコンス第163回)2024-02-23


*曲目

ドビュッシー「金色の魚」
バーナーズ卿「金色の魚」
Claude Debussy (1862-1918)
Poissons d’or (1907)
Lord Berners (1883-1950)
Le poisson d’or (1915)
*ピアノ

アーン「魚獲り」/ケックラン「魚獲り」
プーランク「鯉」/デュレ「鯉」
Reynaldo Hahn (1874-1947)
La pêche (1899頃)
Charles Koechlin (1867-1950)
La pêche (1897)
Francis Poulenc (1899-1963)
La carpe (1919)
Louis Durey (1888-1979)
La carpe (1919)
*ソプラノ・ピアノ

ルデレジール「歌う魚 1」
ディック「魚は跳ねる」
Christian Le Délézir (1958-)
Poissons chantants 1 (2006)
Robert Dick (1950-)
Fish are jumping (1999)
*フルート

グリニョン「魚の修道院」
サティ「夢みる魚」
Ricard Lamote de Grignon (1899-1962)
El convent dels peixos (1940年代)
Eric Satie (1866-1925)
Le poisson rêveur (1900-01)
*ピアノ

ヴィエネル「イワシ」「カワカマス」「ゼラニウム」「ラベンダー」
コスマ「お気楽な魚」
Jean Wiener (1896-1982)
La sardine / La brochet (1954-5)
La geranium / La lavande (1957)
Joseph Kosma (1905-69)
Le poisson sans souci (1967)
*ソプラノ・ピアノ

ボイド「夏の雨の中の金魚」
Anne Boyd (1946-)
Goldfish through summer rain (1979)
*フルート・ピアノ


*出演

石橋美時(フルート)
渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 本日は金魚坂での最後のカフコンスということで、「魚たちのカフェ」と題し、金魚や魚の曲を集めて演奏します。

 「金色の魚」はドビュッシーが持っていた蒔絵の箱に描かれた鯉から着想されました。イギリスの男爵バーナーズ卿の「金色の魚」は孤独な金魚が美しい恋人を思い描く詩を添えてストラヴィンスキーに贈られています。

 アーンとケックランの「魚獲り」は19世紀の、プーランクとデュレの「鯉」は20世紀のフランス歌曲。同じ詩に書かれていても、アーンは波を、ケックランは水しぶきを感じさせます。フランス六人組のプーランクとデュレの競作もお聴き比べください。

 フランスのルデレジールは「歌う魚」という写真展を開いたり、楽譜にも魚の絵を描いています。アメリカのディックはフルートの特殊奏法のテキストの著者でもあり、特殊奏法を駆使した「魚は跳ねる」はタイトルから連想する通りのブルース調です。

 スペインのグリニョンの「魚の修道院」はドビュッシーの「金色の魚」と同じく「映像」という曲集に収められています。サティは「夢みる魚」の作曲中にドビュッシーに相談し、ドビュッシーはのちに「金色の魚」でサティの音型を引用しました。

 ヴィエネルとコスマの5曲は、言葉遊びが楽しいデスノスの詩に書かれた歌曲の中から、魚のタイトルを持つ「イワシ」「カワカマス」「お気楽な魚」と、歌詞に赤い魚が登場する「ゼラニウム」、青い魚が登場する「ラベンダー」を選びました。

 ボイドは日本やインドネシアの音楽に強い影響を受けた作曲家で、「夏の雨の中の金魚」はオーストラリアの作品と思えないほどの純日本風です。金魚坂でのカフコンス最後の曲、雨の日の金魚坂を思い出しながらお聴きいただけたらと思います。


*歌詞大意

「魚獲り」(バンヴィル)

釣り人は網を空けながら
ロワール川の金の魚を見る
ひれは銀色に光り
小姓より立派に着飾っている

太陽とモアレのような流れの
燃えるような反射でまだ染まっている
釣り人は網を空けながら
ロワール川の金の魚を見る

美しい獲物、彼らを讃えよう
彼らは黒々とした大地に光輝く
 (※ケックランでは「打ち上がっている」)
勝利に歓喜して
黄色、緋色、紫
釣り人は網を空ける

「鯉」(アポリネール)

いけすの中で 池の中で
鯉よ、お前たちはなんと長く生きることか!
死はお前たちを忘れてしまったのだろうか
憂いの魚よ

「イワシ」(デスノス)

ロワイヤンのイワシが
ジロンド川で泳いでいた
空は広く 地球は丸い
僕はロワイヤンに泳ぎに行く
イワシと一緒に
ジロンドで
船乗り万歳!
皆様に敬礼!

「カワカマス」(デスノス)

カワカマスが 計画する
見に行くんだ と彼は言った
ガンジス川 ナイル川
テージョ川 テベレ川
それから揚子江へ
行くんだ 暇つぶしに

じゃあ 月は?
月は見に行かないの?
旅するカワカマス
意地悪なカワカマス
幸運なカワカマス

「ゼラニウム」(デスノス)

植木鉢のゼラニウム
金魚鉢の魚
ゼラニウムと金魚
動いたら
ラム酒はおあずけ
ゼラニウムと金魚

「ラベンダー」(デスノス)

洗濯する娘さん!
川を泳ぐ
青い魚を見なかったかい?
その魚は君に持ってきてくれる
青いラベンダーの花束を
青い魚 ラベンダーの花 青い魚

「お気楽な魚」(デスノス)

* お気楽な魚
こんにちは、こんばんは、という
ああ 彼は優しく礼儀正しい
お気楽な魚

彼は四月を恐れない
漁師には残念なことだ
さようなら餌よ、さようなら釣り糸よ
それからバターで焼かれた魚よ

クフランやシュレンヌやシャラントンで
彼が食前酒を飲むとき
カーディフの石炭で燃えているタグボートは
この品の良い酒飲みには気にも止まらない

なぜなら彼は鉛管の中で旅したから
蛇口の水の子守歌で
流し台の石材の上で寝入る前に
なぜなら小瓶の中でも旅したから
人気のない河岸に向かって流された
難破した友人への別れとともに

* お気楽な魚 〜
心配事のないキンセンカ
ソワソンのないポワシー
重さのないソーセージ
心配事のない魚

* お気楽な魚 〜


*ブログ

2024-03-01 ご来場ありがとうございました
2024-02-23 魚たちのカフェ(カフコンス第163回) 2024-02-22 魚たちのカフェ&金魚坂お別れコンサート・明日開催です!
2024-02-21 魚たちのカフェ&金魚坂お別れコンサート・2日後に開催です!
2024-02-20 魚たちのカフェ&金魚坂お別れコンサート・3日後に開催です!
2024-02-16 歌う魚と跳ねる魚と金魚
2024-02-12 鯉と鰯と魳
2024-02-08 金色の魚たち
2024-01-27 「魚たちのカフェ」と「お別れコンサート」
2024-01-13 魚たちのカフェ(金魚坂休業のお知らせ)
2024-01-03 謹賀新年

民謡紀行vol.9〜クリスマス編(カフコンス第162回)2023-12-03

*曲目

カントルーブ「フランスのクリスマスの歌」*ソプラノ・ピアノ
Joseph Canteloube (1879-1957)
Noëls populaires français (1949)
  1. Voici que les pâtres カタルーニャ地方とルシヨン地方のノエル
  2. Venez, venez vite! ギュイエンヌ地方ルエルグのノエル
  3. Il sommeillait, le pauvre pâtre 低地オーヴェルニュ地方のノエル
  4. Dans une humble masure ラングドック地方のノエル
  5. Allons écouter l'aubade ラングドック地方のノエル
  6. La Vierge Marie va à Bethléem フランドル地方のノエル
  7. Là où qu'tu cours donc si vite? ブルゴーニュ地方のノエル

クラリ「ハンガリーのクリスマスの歌」より *フルート・ピアノ
Laszlo Kiraly (1954-)
Magyar Karácsonyi dalok (2007)
  5. Szaporán keljetek föl, bojtárok! 急いで起きて、羊飼いの少年よ
  24. Halljátok ti, kik a porban laktok 聞け、塵の中に住む者よ

ニン「10のスペインのクリスマスの歌」*ソプラノ・ピアノ
Joaquín Nin (1879-1949)
10 Villancicos Españoles (1932)
  1. Villancico Asturiano アストゥリアスのキャロル
  2. Villancico Gallego ガリシアのキャロル
  3. Villancico Vasco バスクのキャロル
  4. Villancico Castellano カスティーリャのキャロル
  5. Villancico de Córdoba コルドバのキャロル
  6. Villancico Murciano ムルシアのキャロル
  7. Villancico Aragonés アラゴンのキャロル
  8. Segundo Villancico Catalan カタルーニャのキャロル
  9. Jesús de Nazareth (Villancico) ナザレのイエス
  10. Villancico Andaluz アンダルシアのキャロル

ショッカー「5つのクリスマスの歌」より *フルート・ピアノ
Gary Schocker (1959-)
5 Carols for Christmas (2011)
  4. Roumanian Karol ルーマニアのキャロル

タルクマン「クリスマスの歌」より *ソプラノ・フルート・ピアノ
Andreas N Tarkmann (1956-)
Chants de Noël (1996)
  1. God rest you merry, Gentleman 神は安らぎをくださる
  2. A vinticinc de desembre 12月25日に
  5. Wach, Nachtigall, wach auf! ナイチンゲールよ 目覚めなさい

(グレインジャー「Sussex mummers' Christmas carol 」)


*出演

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:周藤典子(フルート)


*歌詞大意

カントルーブ『フランスのクリスマスの歌』
1.「カタルーニャ地方とルシヨン地方のノエル」

  *牧人と羊飼いがクリスマスの夜に
  飛び跳ねて踊っています
マリアのために寝床を整えてください
赤ちゃんが生まれたのだから!
  *牧人と〜
赤ちゃんが泣くから寝かせてください
眠らないからゆすってください
  *牧人と〜
とうとう赤ちゃんが生まれると
赤ちゃんは悲しくなって泣き出します
  *牧人と〜
お母さんは赤ちゃんをなぐさめ
優しくうたってあげる
  *牧人と〜
大切なお母さん、泣かないで
私を悲しませるから
  *牧人と〜

2.「ギュイエンヌ地方ルエルグのノエル」

急いでいこう! 子どもが生まれたよ!
ベツレヘムにいこう 父さんのロバに乗って
トロロロ…

3.「低地オーヴェルニュ地方のノエル」

あわれな羊飼い、眠っていた
小さな小屋で、ひとりきりで
眠っている間に 角笛が鳴り響く
天使が彼を起こす:羊飼いよ、さあ目覚めなさい!

4.「ラングドック地方のノエル」

みすぼらしく屋根もないあばら家で天の王は生まれた
彼は選ぶことができた 屋根のある部屋を
もっと美しいベッドを もっと豪華な城を

5.「ラングドック地方のノエル」

鳴りはじめたオーバードを聞きに行こう
金のラッパが告げている 王子が生まれたと
ひとつがタララ・・・と鳴ると他のが応える タララ・・・ 
赤ちゃんがやってきた

6.「フランドル地方のノエル」

聖母マリアがベツレヘムへ行く クリスマスの前日に
聖ヨゼフが付き添う 道を示すために
ようやく彼らは 吹きさらしの馬小屋を見つけた
それが主イエスの生まれたところ 私たちの神が!

7.「ブルゴーニュ地方のノエル」

ピエロ、帽子もかぶらずに急いでどこへ行くの?
ああ、ナネット、羊の群れを置いて急いで!

この牧場に羊たちを眠らせて
僕が話した奇跡を見においで!

神様が授けてくれた救い主が 今夜
お生まれになったんだ! 藁の上で、あばら家で!

空に舞う天使たちの群れが
美しい賛美の歌を歌い始めた

ピエロは育てたウサギの肉を
ジャコは雌ヤギ、トワノは子ヤギを持っていた

ジャンは新鮮なクリームチーズを
他のみんなも僕も、同じようにした!

ニン『スペインのクリスマスの歌』
1.「アストゥリアスのキャロル」

これほど素晴らしいことがあろうか 一時に
ゆりかごの中の幼子を見に行くことほど
真夜中にベツレヘムの戸外で生まれた
キリストを探しに行くことほど

2.「ガリシアのキャロル」

栄光の小さな天使たちが喜びを歌い
地上では小鳥たちが希望を歌う
静かに歌い踊ろう 幼子が目を覚まさぬように

3.「バスクのキャロル」

息子よ帰っておいで 柔らかい栗を食べに
クリスマスの夜を祝いに 父親も母親も喜ぶから

4.「カスティーリャのキャロル」

聖ヨゼフは大工だった ああ!
処女マリアは洗濯婦だった ああ!
幼子は天から降りてきた 月明かりの夜に
聖ヨゼフは大工だった ああ!

5.「コルドバのキャロル」

戸口に立った母親が 百合の花より美しい子を
白いリネンでくるんで抱き 震えていた
この子を火のそばで暖まらせてやってください
ああ! この地上に慈悲はない

6.「ムルシアのキャロル」

今夜はクリスマスイブ 歌うにふさわしい夜
処女マリアは身ごもり 真夜中に御子を産む
今夜 御子を産む聖なる処女に栄光あれ ああ!
父に栄光 子に栄光 処女マリアに栄光あれ ああ!

7.「アラゴンのキャロル」

私の祈りをお聞きください 大いなる喜びをもって
聖なる誕生を賛美しに参ります
今夜 わらと干し草の中で幼子が生まれた
美しい幼子よ 誰がベルベットを着せてやれるだろう

8.「カタルーニャのキャロル」

今夜は聖なる夜 御子が処女から生まれ
皆が見守る晴れやかな夜 主よ憐れみたまえ

9.「ナザレのイエス」

ああ! 幼子が花から生まれる 一身に愛をまとって
彼は花の中の花 そして愛の中の愛
主の主 そして愛の花 ああ!

10.「アンダルシアのキャロル」

鐘が響く また一つ響く
あの窓から見てみよう 飼い葉桶の幼子を
  *ベツレヘムの鐘 天使が鳴らす鐘よ
  どんな知らせを運んでくれるだろう
群れを集めてどこへ行くの? 羊飼いさん
馬小屋へ チーズとバターをワインを持って
  *ベツレヘムの鐘〜

鐘が響く また二つ響く
あの窓を見てみよう 神様が生まれるから
  *ベツレヘムの鐘〜
真夜中にどこへ行くの? 羊飼いさん
神として生まれた幼子のところへ 私の心を持って
  *ベツレヘムの鐘〜

タルクマン『クリスマスの歌』より
1.「神は安らぎをくださる」

神は安らぎをくださる 恐れることはない
救い主イエス・キリストは今日この日に生まれた
迷える私たちを悪魔から救うために
  ああ 安らぎと喜びの知らせ

ベツレヘムで 祝福された御子が生まれ
この祝福された朝 飼い葉桶に横たわり
聖母マリアは敬われる
  ああ 安らぎと喜びの知らせ

天の父である神から 祝福された天使が遣わされ
羊飼いたちに同じ知らせを届けた
主の名によりベツレヘムでいかに神の子が生まれたか
  ああ 安らぎと喜びの知らせ

今こそ主を讃えて 皆で歌おう
まことの愛で 互いに抱き合おう
何よりも勝る この聖なるクリスマスの知らせに
  ああ 安らぎと喜びの知らせ

2.「12月25日に」

12月25日に 小さなブロンドの美しい幼子が生まれた
処女マリアの息子が馬小屋で生まれた フムフムフム

誰がいちばんのほらを吹くだろう 親方は答えた
ひとっ飛びで一万歩を歩くと フムフムフム

12月25日は クリスマスの一番大切な日
私たちは朝 美味しいご馳走をつくる フムフムフム

5.「ナイチンゲールよ 目覚めなさい」

ナイチンゲールよ 目覚めなさい!
あの緑の小枝の上の美しい小さな鳥よ
急いで目覚めなさい!
今日生まれた 凍えそうな
選ばれた赤ん坊 か弱いイエスに歌いなさい!

飼葉桶に飛んできなさい!
愛らしい妹よ かわいらしいくちばしを鳴らして
ナイチンゲールよ 美しく歌いなさい!
赤ん坊に向かって奏で 彩り 祝い
か弱いイエスに歌いなさい!

ナイチンゲールよ 声を合わせて!
羽で拍子を取り 小さな翼も楽しげに揺らして
首を伸ばして!
造り主は一人の人を遣わすのだ この地上で
身振りをつけて か弱いイエスに歌いなさい!

ナイチンゲールよ 永遠に歌いなさい!
何千回も無数にこの赤ん坊をたたえ
歌を送りなさい!
赤ん坊に栄光を示しほめたたえ 賑やかに
そしてかすかに か弱いイエスに歌いなさい!


*ブログ

2023-12-10 ご来場ありがとうございました
2023-12-03 民謡紀行vol.9〜クリスマス編(カフコンス第162回)
2023-12-02 明日開催です!
2023-12-01 民謡編曲
2023-11-30 クリスマス編
2023-11-28 民謡紀行vol.9

クラリネットカフェvol.5(カフコンス第161回)2023-11-26

*曲目

エンドレセン「木管楽器のお祭り騒ぎ」
Raymond Milford Endresen (1897-1980)
Woodwind Revels

フンメル「三重奏曲」
JaJoseph Friedrich Hummel (1841-1919)
Trio für 3 Klarinetten

ドヴィエンヌ「六つの二重奏曲」より
François Devienne (1759-1803)
6 Duos op.74
  1. Allegretto, Rondo Allegro
  2. Allegro moderato, Menuetto
  6. Allegro, Rondo

モーツァルト「ディヴェルティメント 第三番」
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-91)
Divertimento K.439b(Anh.229)-3
  1. Allegro
  2. Menuetto
  3. Adagio
  4. Menuetto
  5. Rondo, Allegro assai

(シューベルト「ワルツ D365 Nr.33」)


*出演

大橋裕子(クラリネット)
飯田真弓(クラリネット)
中島香織(クラリネット)


*ブログ

2023-11-27 ご来場ありがとうございました
2023-11-26 クラリネットカフェvol.5(カフコンス第161回)
2023-11-25 明日開催です!
2023-11-24 明後日開催です!
2023-11-22 クラリネットカフェ
2023-11-01 年内のカフコンス