ブレーメンの音楽隊・おはなし2011-08-02

「お話を表す音楽」は珍しくありませんが、ティッシュハウザーの五重奏曲「ブレーメンの音楽隊」にはとてもユニークな点があります。それは、5つの楽器がそれぞれ役を受け持つ(配役)こと。約25分の演奏の間、ファゴットはずっとロバを、ピアノはずっと泥棒(*1)を演じ、台詞や動き、心情などを、すべて音で表していきます。

たとえば冒頭はロバ(ファゴット)のソロ。鳴き声(*2)、嘆きの音楽、逃走の音型の後、音楽家になろうと思いつくと明るい2拍子になり、ブレーメンに向かって歩き始めると行進曲風の「Muss i' denn」になります。そして、犬(クラリネット)と出会うと、2本のかけ合いで会話がかわされ、2匹が一緒に歩き出すと、今度は二重奏の「Muss i' denn」になります。こんな風に、音楽でお話を再現していくのです。音だけでわかるかしら?と心配な方のために、字幕も用意いたしました!

壁に文字が浮かび上がります。といってもベルシャザールの饗宴ではありません。

(*1)
正確には泥棒「たち」。泥棒一人の時は音を同時に1コしか鳴らさない、という凝りよう!
(*2)
ホフマイスターは「鳴き声を模した音型」ですが、「ブレーメン」では特殊奏法でリアルに鳴きますのでお楽しみに!

ところで、4匹は結局ブレーメンには行かず、森のおうちで幸せに暮らすんですね。音楽家になりたいんじゃなかったんでしょうか?そういえば、この五重奏曲の副題も「音が成し遂げること」で、「音楽が」ではないようです...

※なお、今回は夏休み企画ということで子供料金を設定しました。この回に限り「中学生まで1,000円・高校生以上1,500円」となります。夏休みの自由研究にも是非どうぞ!


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今月の演奏メニュー

8月7日(日)11時~ 於:笹塚Blue-T
(中国茶つき 中学生まで1,000円/高校生以上1,500円)

音で演じる「ブレーメンの音楽隊」

ホフマイスター「三重奏曲ニ長調 "にわとり・かっこう・ろば"」
ティッシュハウザー「ブレーメンの音楽隊」

岩原敏美(フルート)
関美矢子(オーボエ)
荒木こずえ(クラリネット)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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