歌詞のない歌2018-10-04

プロコフィエフ(1891-1953)の自伝には「1920年12月、カリフォルニアとシカゴで歌詞のない五つの歌(op.35)を書いたが、それらのフォーマットは非実用的だと判明し、後に(23年)ヴァイオリニストの助言を受けて、ヴァイオリンとピアノ用に作り直した」とあります。

プロコフィエフは「フルートソナタop.94(1943)」も翌年にヴァイオリンソナタに改作しており、こちらもヴァイオリニストのリクエストに加えて、なかなか演奏されなかった事が理由の一つだと言われます。結果的には両バージョンが大人気作になりましたが、1年で見切り(?)をつけるとは、短気だったんでしょうか?心配しすぎというかちょっと早すぎる気もします。

声楽作品は声質・音域・言語で演奏者を選ぶので、3つの円で集合を表すヴェン図の真ん中の重なった部分の人しか歌えません(ヴォカリーズではロシア語の壁はなくなるが「ア」で表現するという壁はまた高い)、しかも当時は「現代作品」という壁も加わり、敬遠されて当たり前(そのへんはさらに非実用的なオペラ「3つのオレンジへの恋op.33(1919)」でも充分わかっていたはず)。そして今も「歌詞のない五つの歌」があまり演奏されないのは、ズバリ難しすぎるからです!

どんな風に難しいかは今週末のカフコンスでご確認ください。渾身の演奏で皆様をお待ちしております...

(プロコフィエフはヴァイオリン版のほか、後に2番のチェロとオーケストラ用バージョンを書き、他4曲もシチェドリンが編曲。ちなみにカステルヌオーヴォ=テデスコのヴォカリーズには、op.53のカサドらによるチェロ版、ヴァイオリン版、op.55にもヴァイオリン版あり。ケックランのヴォカリーズパートにもクラリネットで演奏可能との記載がありますが、これは出版社が勝手にそうしているのかと。)


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今週末の演奏メニュー

2018年10月7日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第133回
ヴォカリーズ集vol.5〜歌詞のない歌

プロコフィエフ「歌詞のない五つの歌」sop,pf
エネスコ「カンタービレとプレスト」fl,pf
カステルヌオーヴォ=テデスコ「ヴォカリーズ・エチュード」sop,pf
ケックラン「リリアンのアルバム 第1・2集」より
 和解のワルツ pf /スイミング fl,pf /
 スケーティング・スマイリング sop,fl,pf /幸せへ向かう道で sop,fl,pf

柳沢亜紀(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:中村淳(フルート)

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