オーヴェルニュの風景2017-05-19

「オーヴェルニュの歌」の主役が羊飼い だとしたら、「山にて」は自然や大地が主役かもしれません。

カントルーブは、故郷オーヴェルニュの民謡にオーケストラ伴奏をつけた「オーヴェルニュの歌」について、「無伴奏で歌う農民の周りには自然や大地の伴奏があり、芸術家にしか聞こえないその伴奏を音楽に書き表すことによって、必要な雰囲気を呼び起こすことができる」と語っています。習作のヴァイオリン組曲(ソナタとも呼ばれる)「山にて」も、幼い頃から「聴いて」きた故郷の風景を音楽に書き表しているように思えます。

そして「オーヴェルニュの歌」ではその中心に必ず「人」がいますが、「山にて」は器楽曲だからか、風景が雄大すぎるのか、1楽章の最初に聴こえてくる民謡(風の、全楽章に共通するモティーフ)も、歌っている「人」はフォーカスされないようです(アイブズがヴァイオリンソナタ4番で「風景の一部として民謡・賛美歌を取り入れた」というのにも少し似ています)。

山の夜を描く2楽章はともかく、3楽章ではお祭りでたくさんの人が歌い踊り飲みまくっているのに(必死で弾きまくるのに)、やはり個人はフォーカスされないような、映画で激しいシーンをスローモーションで撮っているかのような印象です。

4楽章では途中に「Vers l'absente」という難解なタイトルが付けられていて、この曲の書かれる少し前に亡くなった母親に捧げたものではという説もあるようですが、私はオーヴェルニュにとっての「不在」と考えたほうがしっくりきます。「いつの日にか帰らん」にも共通するような。

...というのは全て個人の感想ですので、みなさまには思い思いの風景をイメージしていただけたら幸いです。

ところで私はオーヴェルニュの歌でも風景担当ですが、風景の中で鳴いている「犬」が一番のお気に入りです!(K)


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明後日の演奏メニュー

2017年5月21日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第126回
オーヴェルニュの山にて

カントルーブ「オーヴェルニュの歌」より *sop&pf
  バイレロ
  羊飼いの娘よ、もしお前が僕を好きなら
  犬よ、行け!
同「ヴァイオリンとピアノのための”山にて”」 vn&pf
  風の中で(前奏曲)
  夕べ
  祭りの日
  春の森にて〜在りしものへ

本郷幸子(ヴァイオリン)
川北祥子(ピアノ)
友情出演:渡辺有里香(ソプラノ)*

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