メトネル「ヴォカリーズ組曲」2013-08-06

メトネル(1880-1951)の「ヴォカリーズ組曲op.41-2」(1927)は、昨年取り上げた「ソナタ・ヴォカリーズop.41-1」(1922)と同じ作品番号にまとめられた姉妹作で、「組曲」もゲーテの詩「聖なる場所」のキーワードが各曲の表題となっています(序奏、精霊の歌、秘密、美神の行幸、詩人の話したこと)。

メトネルは「ソナタ」と「組曲」の間の25−6年頃にもこの詩による単独の歌曲を作曲していますが、前2作が長調で神秘的な幸福感にあふれているのに対し、「組曲」だけは短調を基調とした物悲しい印象。詩人が女神たちの世界を垣間見た瞬間の幸せと悲恋の結末?と考えてもみたのですが、詩やストーリーを追わずに表題から自由な想像を巡らす事ができるのも歌詞のない面白さかもしれません。

そんな抽象性や、言葉や詩の行に拠らない自由なフレーズ、大胆な旋律線、ピアノと対等に重ねる単なる音型、等々、器楽では当たり前の事も声楽ではちょっと新鮮です。演奏側は勝手の違う難しさが山積みですが、歌詞なしの20分間、抽象の世界を楽しんでみたいと思います。


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今週末の演奏メニュー

2013年8月11日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第103回
ヴォカリーズ集vol.4〜組曲とブルース

メトネル「ヴォカリーズ組曲op.41-2」(全5曲)
ヴィエネル「3つのブルース」
トゥリーナ「ヴォカリーズ」(全6曲)

柳沢亜紀(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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