Donizetti!1997-02-27

stravinsky ensemble サロンコンサート 5
1997年2月26-27日 於:榎坂スタジオ

*プログラム

Gaetano Donizetti (1797-1848)
ドニゼッティ:

*「ランメルモールのルチア」 LUCIA DI LAMMERMOOR

ルチアによるアンダンテ(タールベルク作曲)
 (川北)
残酷でいまわしい激情を Cruda, funesta smania
 (エンリーコ:吉川/男声合唱)

 3幕のオペラ、スコット原作、カンマラーノ台本、初演1835年ナポリ。円熟期に書かれた悲劇の圧倒的成功作。
 16世紀末、スコットランド領主エンリーコは妹ルチアが一族の敵エドガルドを愛していると知って、「お前は残酷でいまわしい激情を私の胸に呼び起こした」と憎悪の気持ちを歌い、兵士達の「エドガルドが城内に忍び込んだ」という報告に、「汚れた炎は私の血で消してやる」と、さらに怒りをつのらせる。兄に政略結婚を強制され、ルチアは婚礼の夜発狂して新郎を刺し殺す。花嫁衣装を血に染めたルチアはエドガルドとの幸福な結婚を夢見ながら息絶え、その事を知ったエドガルドも悲嘆にくれて自殺する。

*「アンナ・ボレーナ」 ANNA BOLENA

あの懐かしいお城へ私を連れていって Al dolce guidami
 (アンナ:柳沢)

 2幕のオペラ、ロマ-ニ台本、初演1830年ミラノ。史実をもとに脚色したドニゼッティ最初の悲劇で初期の成功作。
 16世紀イギリス、国王ヘンリー8世は王妃アンナ付きの女官に愛情を寄せ、ついにはアンナを罠に陥れロンドン塔に監禁する。アンナは錯乱状態で「あの懐かしいお城へ私を連れていって」と歌い、新王妃を迎える祝砲と鐘の音の鳴り響く中、処刑される。

*「クラリネット練習曲第一番」 STUDIO PRIMO PER CLARINETTO
 (大成)

*「ドン・パスクアーレ」 DON PASQUALE

用意はいいわ Pronta io son
 (ノリーナ:藤永/マラテスタ:吉川)
静かに間髪を入れず Cheti, cheti, immantinente
 (マラテスタ:吉川/パスクアーレ:青山)
愛していると言いに帰って Tornami a dir che m'ami
 (斎藤/大成)

 3幕のオペラ・ブッファ、アネッリ原作、ルッフィーニ台本、初演1843年パリ。喜劇の集大成とも言われる晩年の傑作。
 大金持ちで独身のドン・パスクアーレ老人は、親友で主治医のマラテスタが花嫁を紹介してくれるというので、それが仕組まれた悪戯だとも知らず興奮している。一方マラテスタは花嫁役のノリーナと入念な打ち合わせ中。「首をかしげ口をすぼめて」「恥じらう小娘のふりをするのね」「うまいぞ」「さあ急いで行きましょう」「あの老いぼれを振り回してやろう」。しおらしい花嫁を迎えパスクアーレは有頂天になるが、結婚の署名が終わるや否やノリーナはじゃじゃ馬に変身する。平手打ちまで食らい、さらに逢引きの証拠も見つけたパスクアーレは、「そっと静かに庭に降りて現場をおさえよう」とマラテスタに相談し、「待っていろ、わしの復讐はもうすぐだ」「哀れな奴だ、墓穴を掘るのも知らないで」と愉快な早口の二重唱となる。さて逢引きの現場へ行ってみるとノリーナと若い男が「愛していると言いに帰って」と濃厚な愛の二重唱を歌っている。が、よく見れば彼はパスクアーレの甥エルネストでノリーナはその恋人だった事が分かり、かつがれたと知ったパスクアーレが寛大に二人の結婚を許して幕となる。

*「連隊の娘」 LA FILLE DU REGIMENT (LA FIGLIA DEL REGGIMENTO)

行かなくてはなりません Il faut partir
 (マリー:浦野)
私を愛しているですって? Che! voi m'amate?
 (マリア:浦野/トニオ:岡本)
なんという幸運! Qual destino!
 (トニオ:岡本/男声合唱)

 2幕のオペラ・コミーク、サンジョルジュとバヤール台本、初演1840年パリ。伊語版はバッシ翻訳、初演1840年ミラノ。
 ナポレオン戦争時代のスイス、戦場で拾われ連隊で育ったマリアは、命を助けてもらった若者トニオに恋い焦がれていたが、トニオもまた彼女への愛から連隊を追って来る。再会した二人は互いに愛を打ち明け、「情熱的な告白で心は愛の喜びに満たされる」と歌う。トニオは連隊に入隊し結婚を認めてくれと頼む。隊長は「マリアも君を愛しているなら許そう」と答え、トニオは「何という幸運、僕は彼女の夫、そして軍人さ」と喜び歌うが、そこにマリアの母を名乗る公爵夫人があらわれ、連れて行かれる事になったマリアは「行かなくてはなりません」と悲しむ。しかし彼女の住む城を連隊が攻略して二人は愛を再確認し、夫人も結婚を許す。

*「フルート、クラリネット、ピアノのためのトリオ」 TRIO
Larghetto ~ Allegro
 (斎藤/大成/川北)

*「愛の妙薬」 L'ELISIR D'AMORE

美しいパリスのように Come Paride vezzoso
 (ベルコーレ:26日宮本・27日青山)
すばらしい妙薬! Caro elisir!
 (アデイーナ:柳沢/ネモリーノ:高田/ベルコーレ:宮本・青山)
人知れぬ涙 Una furtiva lagrima
 (ネモリーノ:岡本)
フィナーレ・この薬は何でも直します Ei corregge ogni diffetto
 (ドゥルカマーラ:吉川/全員)

 2幕のメロドランマ、スクリーブ原作、ロマーニ台本、初演1832年ミラノ。全盛期に書かれた人間喜劇の最高傑作。
 舞台は素朴な農村、内気な青年ネモリーノは美しいアディーナに憧れているが告白する勇気がない。一方恋敵の軍曹ベルコーレは「美しいパリスが林檎を捧げたようにあなたに花を捧げます」と彼女を口説いている。ネモリーノはインチキ薬売りのドゥルカマーラから愛の妙薬(実はただの安ワイン)を買い、一日たてば好かれるようになるという効能を信じて飲む。ワインのせいで陽気に「ラララ」と歌っているとアディーナがやって来て「どうして声もかけてこないのかしら」「明日になれば僕に惚れるのさ」という二重唱となり、そこへベルコーレも来て「いつ結婚する?」「一週間のうちに」とあてつけるがネモリーノは「明日になればわかるさ」と笑い、そんな態度にアディーナは怒り出す。しかし急に出発することになったベルコーレが今日中に結婚すると言い出しネモリーノはあわて、金がないので兵隊になり、前金で妙薬をもう一瓶買う。アディーナはそれを知り、自分の愛を得るためにと感動で涙ぐむ。陰から見ていたネモリーノは「人知れぬ涙。僕を愛しているのだ。神様、もう死んでも構いません」と歌い、ドゥルカマーラは懲りずに「この薬の中には健康、美しさ、陽気、幸運、お金、その全てがあるのですよ」とインチキを並べ立てながら、「私にも一瓶」「大先生万歳」と叫ぶ村人達、「彼の事は決して忘れない」と感謝する恋人たちの中を大威張りで去る。


*出演

青山貴 basso
浦野妙子 soprano
大成雅志 clarinetto
岡本泰寛 tenore
川北祥子 piano
斎藤和志 flauto
高田正人 tenore
藤永和美 soprano
宮本益光 baritono
柳沢亜紀 soprano
吉川誠二 baritono

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