イタリア編+ラフマニノフ2023-05-20

5/28のカフコンス「ヴォカリーズ集vol.7〜イタリア編2」では、イタリア・リコルディ社の「新しいスタイルのヴォカリーズ集」を中心に演奏します。この曲集はイタリアの作曲家16人がそれぞれ「高声用」「中声用」「低声用」の3曲を作曲し、全48曲をまとめて1929年に出版されたものです。演奏曲目は記事の末尾の「演奏メニュー」をご覧ください。

最初の3曲は今年が記念イヤーにあたる3人です。イタリア編と言いつつ、生誕150年のラフマニノフをスルーするのはもったいないということで前座にしてしまったのは、贅沢というか無謀というか…(ちなみにラフマニノフの「ヴォカリーズ」が書かれたのは1915年。)そして「新しいスタイルのヴォカリーズ集」からは、同い年のポッツォーリによるエネルギッシュな5拍子の低声用と、没後50年のマリピエロの古雅な高声用を取り上げます。

次の3曲は学部3年生の宮本芽衣さんによる演奏で、まず「新しいヴォカリーズ」に対する19世紀の教材の例としてトスティの練習曲集から第16番。練習曲といっても歌詞をつけたら素敵な歌曲になりそうな、トスティらしい美しい曲です。「新しいスタイルのヴォカリーズ集」からは、曲集で最年長(トスティとは20歳差)にもかかわらずモダンなチレアの中声用と、ザンドナイ(さらに20歳近く年下)の対位法的な高声用。今回は選曲から宮本さん本人におまかせしました。20歳にしては渋い選曲にもご注目ください(笑)

最後は敢えてあまり知らなかった3人を並べました。ヴィッタディーニの高声用は華やかなワルツ、ペドロッロの中声用は復古的、マリヌッツィの高声用は近代的、と個性豊かです。この3人のほか、あまり知られていない作曲家はだいたいオペラの作曲家・指揮者という肩書きで、1930年頃のイタリアオペラと言われてもあまり思い浮かばないので、やはり情報が少ないのかと思います。器楽曲、管弦楽曲や歌曲の多い作曲家のほうが(日本でも)有名ですが、器楽中心と言われる人も実はオペラをたくさん書いているところはさすがイタリアですね。

以上全9曲、「新しいスタイルのヴォカリーズ集」からは7曲を演奏しますが、前回の4人7曲と合わせても9人14曲、まだまだ全16人48曲には程遠く、アルファーノ、レスピーギ、ピツェッティ、カゼッラといった有名どころも残っていますので、イタリア編第3回にもご期待ください!


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今月の演奏メニュー

2023年5月28日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第156回
ヴォカリーズ集vol.7〜イタリア編2

ラフマニノフ(生誕150年)「ヴォカリーズ」
ポッツォーリ(生誕150年)「ヴォカリーズ(低声用)」
マリピエロ(没後50年)「ヴォカリーズ(高声用)」
*柳沢

トスティ「練習曲 第16番」
チレア「ヴォカリーズ(中声用)」
ザンドナイ「ヴォカリーズ(高声用)」
*宮本

ヴィッタディーニ「ヴォカリーズ(高声用)」
ペドロッロ「ヴォカリーズ(中声用)」
マリヌッツィ「ヴォカリーズ(高声用)」
*柳沢

(ラフマニノフとトスティを除く7曲は
リコルディ社『新しいスタイルのヴォカリーズ集』より)

柳沢亜紀(ソプラノ)
宮本芽衣(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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