ヴォカリーズアンケート(2)2023-05-26

明後日のカフコンス「ヴォカリーズ集vol.7〜イタリア編2」の歌手2人にヴォカリーズについて聞いてみました。今日は宮本芽衣編です。

◆ヴォカリーズについて

 人間の声がより器楽的な感覚で用いられる、特異で素敵な音楽だなと、歌う度に思います。一人一人違う持ち声と曲の雰囲気を擦り合わせて演奏するということに、ヴォカリーズ曲の音楽性の幅広さも感じます。

◆ヴォカリーズの面白さは?

 歌詞が無い分、和音や音形など音符から読み取れる要素が多く、1曲の中での世界観がより明瞭に感じられるところが面白いと思います。言葉の塊でなく音楽のまとまりで歌う必要があり、自分が楽器になった意識が強くなるところに、難しさと楽しさを感じます。

◆「新しいスタイルのヴォカリーズ集」、
 どこが「新しい」と思いますか?

 コンコーネやコールユーブンゲンのように、一冊を通してテクニックを身につける目的の教本とは異なり、様々な作曲家が思い思いに曲を書いていることが、大きな違いかと思います。もちろん曲ごとに作者の意図は感じますが、曲を分析して練習して初めて気がつく、ある意味無意識下での訓練要素もあります!

◆選曲について

 トスティは歌曲でも馴染みがあり、綺麗な旋律の中に生じる心のゆらぎや影に魅力を感じます。和音の移り変わりを美しく表現出来たらと思って選びました。
 チレアは脈打つような前奏から始まり、一曲を通して推進力を持ち続けます。私は鼓動のような力を感じています。声の持つエネルギーをお届けしたいです。
 ザンドナイはとても複雑な旋律で構成されています。ピアノ伴奏と繰り広げられる神秘的な世界観が、場面によってコロコロと変化していく曲です。

◆特におすすめの曲は?

 3曲目のザンドナイです。人間の声が持つ独特の響きとピアノとの調和が美しく、歌うことがとても楽しいです。楽器のようでありながら、肉声だけが成しうる空間との調和に挑戦したいと思っています。

◆今回「ア」しか歌わないことについて

 歌詞がつくとしたら、と想像することはありますが、「ア」だけで歌うのも、とても面白いです。歌詞があると言葉の意味に音の色が左右されがちですが、音の並びから世界観を想像することが新鮮で、歌詞のない歌ならではの向き合い方があるように感じます。


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明後日の演奏メニュー

2023年5月28日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第156回
ヴォカリーズ集vol.7〜イタリア編2

ラフマニノフ(生誕150年)「ヴォカリーズ」
ポッツォーリ(生誕150年)「ヴォカリーズ(低声用)」
マリピエロ(没後50年)「ヴォカリーズ(高声用)」
*柳沢

トスティ「練習曲 第16番」
チレア「ヴォカリーズ(中声用)」
ザンドナイ「ヴォカリーズ(高声用)」
*宮本

ヴィッタディーニ「ヴォカリーズ(高声用)」
ペドロッロ「ヴォカリーズ(中声用)」
マリヌッツィ「ヴォカリーズ(高声用)」
*柳沢

(ラフマニノフとトスティを除く7曲は
リコルディ社『新しいスタイルのヴォカリーズ集』より)

柳沢亜紀(ソプラノ)
宮本芽衣(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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