モダンというより綺麗な前半2015-11-02

ピアノの川北祥子です。今月のカフコンスは「フルートとファゴットの競演vol.3〜モダン編」、1曲目はショッカーのトリオ「ソナタ・スーフル」です。「ショッカー」といえば思い浮かぶのが某ライダーのアレですが、山本さんも江草さんも学部生時代にあの「ショッカー」を演じたことがあるそうで心強い限りです(?)というか管楽器科ってスゴイ...

そんな某ショッカーのイメージとは違い、フルーティストのショッカーさんの作品はいつも綺麗でお洒落で、ポップなのにクラシックで、演奏しても聴いてもとにかく楽しい!ので、今世紀の作品としてモダンと言えるかどうかなんて事は忘れて素直に楽しんでしまうのが吉と思います!

曲名も洒落ていて、スーフル Souffleとは空気や息を吐く/吹くこと(そうして膨らんだものはスフレ)、各楽章は言葉遊び的に、Batter(打つことや野球のバッター、揚げ衣やケーキ種、浮かれ騒ぐことetc.)、 Matter(物事、物質、内容、本質、問題etc.)、Patter(パタパタ/パラパラ/ドキドキ、呪文、早口etc.)と名付けられています。凝りすぎで訳せないのは困りますが...

ちなみにフルートの山本さんによれば、実は途中に「すごく嫌な指使い」があるそうです。教育的配慮なのか同業者へのイタズラなのか... 楽しく綺麗な曲のどこにそんな箇所が隠されているのかにもご注目ください(笑)

そして2曲目、ガベーユの「フルートとファゴットのためのソナチネ」は、今回のメインで一番のオススメです。2匹の小動物がじゃれあって遊んでいるかのような可愛らしく楽しい曲ですが、実は全3楽章が共通の音型からできていたり、とても手の込んだ作りで、管楽器の室内楽のジャンルでも出色の作品と思います。前回の候補曲にも挙がりながら温め続けて満を持しての登場です!(と、自分は降り番なので煽っておきます。)

ところで前回書き出した生年月日で自分との相性を占ってみたところ、一番相性が良かったのはショッカーさんで、なんと98%でした!名演になるようガンバリます!(そういう相性じゃないかも?) 相性が最低だったのは65%のガベーユさん。降り番でよかったです...


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今月の演奏メニュー

2015年11月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第118回
フルートとファゴットの競演vol.3〜モダン編

ゲイリー・ショッカー(1959-)「ソナタ・スーフル(2002)」
ピエール・ガベーユ(1930-2000)「ソナチネ(1962?)」※fl. fg.
ビル・ダグラス(1944-)「ワルツ(2008)」
チック・コリア(1941-)「トリオ(1968頃)」
ダニエル・シュナイダー(1961-)「ワールズ・ビヨンド(2002)」

山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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モダンというよりジャジーな後半2015-11-04

再びピアノの川北祥子です。前半2曲はそれぞれ3楽章10分超えのソナタとソナチネで、後半は4〜6分のジャジーな小品が3曲並びます。

前半はフルート奏者ショッカーから始めたので、後半はファゴット奏者ダグラスの作品からいきます。ダグラスは作曲家、ファゴット奏者、ピアノ奏者で、ジャズ方面でも活躍、かと思えば合唱曲でも有名だったり、ヒーリングミュージック的な作品やアルバムも出していたり、教育者として学生のための室内楽作品やリズムのトレーニング用教材も書いていたり、という多才で謎なオジサンです。

室内楽作品の多くは、元々学生のために書いたものを自分のコンサートのレパートリーに昇格させているようで、「ワルツ」もジャズ気分や絡み合うリズムが楽しいのと同時に、ソルフェージュや初見の試験ふうでもありファゴットには高音の♭Eもあり、という油断ならない1曲です。打倒ダグラス教授!

4曲目のチック・コリアは説明不要なジャズの大御所、「トリオ」は活動初期の1968年に録音、1972年のアルバム「インナースペース」で発表された作品。次々に繋がれていく彼独特のフレーズはファンにはお馴染みかもしれませんが、そんな中でファゴットがとても新鮮に響きます。特に序盤の7拍子のファゴットはお聴き逃しなく! フルートの即興風ソロやカデンツァにもご注目を。ピアノは最後に妙な事をします...

最後はクラシック界に戻ります。サックス奏者シュナイダーは、作曲家としてもジャズテイストの作品で人気の、今回一番若い54歳。同年代のショッカーがキレイ系ならシュナイダーはカッコイイ系、クラシック界にもジャズテイストのこんなにカッコイイ曲が!ということで、チック・コリアと並べて勝手に対決させてみることにしました(笑)

ちなみに曲名「Worlds beyond」のイメージを聞いてみたところ、山本さんはトイストーリーのバズの決め台詞「To infinity and beyond!」、江草さんは「幽遊白書」=beyond人間界!、というスケールの大きな回答でした。2人に比べるとちょっと地味ですが、私はミッションインポッシブル系の主人公が「暗躍」するイメージで、大爆発を背に涼しい顔で去っていく主人公のようなカッコイイ演奏を目指したいと思います。(指のimpossibleな箇所が多々あるので、無事Mission accomplishedできますように... )


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今週末の演奏メニュー

2015年11月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第118回
フルートとファゴットの競演vol.3〜モダン編

ゲイリー・ショッカー(1959-)「ソナタ・スーフル(2002)」
ピエール・ガベーユ(1930-2000)「ソナチネ(1962?)」※fl. fg.
ビル・ダグラス(1944-)「ワルツ(2008)」
チック・コリア(1941-)「トリオ(1968頃)」
ダニエル・シュナイダー(1961-)「ワールズ・ビヨンド(2002)」

山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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三日前に綴るショッカー氏との想い出2015-11-05

こんにちは。

フルートとファゴットの競演vol.3が3日後に迫ってまいりました。
フルート、ファゴット、ピアノという編成はマイナーなのかと思っていましたがベートーヴェンも作品を残していますし、近現代の作曲家も意外とたくさん作品を残しているのですね!

今回演奏するプログラムにショッカー作曲のトリオがありますが、今年の8月、日本フルートコンヴェンションという世界からフルーティストが集まるフルートのお祭りのような催しがありました。そちらでショッカーさんにお会いすることができ、少しレッスンもしていただきました。ご本人とお話するのは初めてだったのですが、とても不思議なオーラを醸し出している方でした。笑 そして何か面白いことを見つけては、あ、今度これ曲にしよっと♪と呟いていたり。ショッカー作品はタイトルの面白いものが多いですが、こうして思い付いた事をぽんぽん曲にしているんだなーと勝手に想像しました。リサイタルのプログラムは全て自作曲でたまに腰を振ったりしながら演奏してらっしゃいました。真似しようかな。(いや、実は既に取り入れてます。身体固まりそうな時の脱力に効果的だったりします。)

それでは11/8、お待ちしております^_^

山本葵


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今週末の演奏メニュー

2015年11月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第118回
フルートとファゴットの競演vol.3〜モダン編

ゲイリー・ショッカー(1959-)「ソナタ・スーフル(2002)」
ピエール・ガベーユ(1930-2000)「ソナチネ(1962?)」※fl. fg.
ビル・ダグラス(1944-)「ワルツ(2008)」
チック・コリア(1941-)「トリオ(1968頃)」
ダニエル・シュナイダー(1961-)「ワールズ・ビヨンド(2002)」

山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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