どの曲もオススメです!2015-04-13

ピアノの川北祥子です。

ドニゼッティのトリオは、屈託のない明るさと、喜劇の序曲のようなワクワク感が魅力(ベートーヴェンのトリオだと妙に真面目に取り組まなくてはならない気分になってしまうのは私だけ?)。オペラ作曲家がこの編成に書いてくれていたのも嬉しいですし、速筆の彼がサクサクと量産していたであろう室内楽作品群の中で、この楽譜が失われずに後世に残った事にも感謝です。(←残って当たり前な珠玉の作ではない、と言ってるつもりはないんですが...←言ってる?)

チック・コリアのトリオはアルバム「インナースペース」で発表された作品(トリオは1968年録音)。作曲や出版の経緯などは不明ですが、今回はADVANCE MUSIC社の楽譜で「譜面に書かれた楽曲」として演奏します。ジャズとファゴットは意外な組み合わせに思えますが、7拍子のファゴットのベースラインなどは他の楽器を想像できないハマり方! と同時にファゴットの持つ「クラシック」感が「20世紀後半の三重奏曲」の印象を強めていたりもして(フルートとピアノだけならジャズのコピー演奏に聴こえてしまうかも)、やはりこの編成で演奏すべき「譜面に書かれた楽曲」に感じます。えっとともかくファンとしてはクラシック奏者に演奏しうる彼の作品があって嬉しく、様々な拍子や音型の「チック・コリア節」を弾けて幸せです!

トリアーニのファゴットソロは、「ルチアによる」と銘打ちながら、主役ルチアよりも男声の旋律を中心に取り上げている所がファゴットらしくユニーク。普段なんとなく穏やかでユーモラスな印象もあるファゴットが、テノールのように熱唱したり、華麗な音型をカッコ良く吹いたり、と、私にはかなりオドロキだった1曲で、ぜひ皆様にもお聴きいただきたいです。

モラッキ&トリアーニのトリオは、ヴェルディの初期オペラによる超絶技巧作品。フルートとファゴットという珍しい組み合わせは、(後に両楽器の名奏者となる)2人の学生の共作で実現しました。160〜170年も昔のイタリアの学生が書いた、当時の流行の旋律による作品を、この極東の地で現代に演奏できるのも、楽譜が残っているからこその事、&このような再版されにくい譜面や作品の情報を入手しやすくなった近年のインターネットの発達にも感謝です。

なんだか話題が偏りましたが、クラシック奏者としては作品と楽譜もあって初めて演奏できるものなので... どれもオススメの4曲です!


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今週末の演奏メニュー

2015年4月19日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第115回
フルートとファゴットの競演 vol.2

ドニゼッティ「三重奏曲」
チック・コリア「三重奏曲」
トリアーニ「ドニゼッティのルチアの主題による嬉遊曲」*fg,pf
モラッキ/トリアーニ「ヴェルディの主題による協奏的二重奏曲」

山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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