モラッキ/トリアーニ「ヴェルディの主題による協奏的二重奏曲」2013-12-02

今回のメインは、生誕200年のヴェルディ(1813-1901)のオペラの旋律による「協奏的二重奏曲」。ヴェルディと同時代の管楽器の名手、フルート奏者モラッキ(1828-68)とファゴット奏者トリアーニ(1829-1911)の共作です。

19世紀には様々な楽器の名手(ヴィルトゥオーゾ)が自作で妙技を披露し、オペラの旋律も好んで用いられました。この二重奏も典型的な超絶技巧作品で、「ミラノ・スカラ座の首席奏者を務めたトリアーニが、熟知するヴェルディ作品を題材にして書いた演奏会用大作」と想像したくなるところです。

が、この曲が作曲された1850年頃、なんと2人はまだミラノ音楽院で学ぶ学生でした(この時スカラで吹いていたのは2人の師で音楽院教授のRabboniやCantù)。既に彼らはそれぞれ独奏曲をいくつか作曲しており、モラッキの代表作「スイスの羊飼い」も学生時代の作。この二重奏は卒業の年に書かれ、作曲教授カニョーニに献呈されました。

引用されているのは「群盗(1847)」「第一回十字軍のロンバルディア人(1843)」「マクベス(1847)」など、ヴェルディ初期のオペラで少々なじみは薄いですが、これぞヴェルディ節!というメロディ満載、超絶技巧も満載の「若き名手たちが国民的英雄ヴェルディに挑んだ意欲作」です。

曲自体はヴェルディ作品の借用で、カニョーニの助言もあったかもしれませんが、注目すべきは「学生の彼らがこれを吹けた」という点。このような超絶技巧作品は「超難曲を見事に演奏して技巧を誇示する」ために書かれるわけで、つまり彼らは学生にしてこの難曲をたやすく演奏できる名手だったのですね。どれほど難曲なのかは是非カフコンスでお確かめ下さい...(笑)


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今月の演奏メニュー

2013年12月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第106回
フルートとファゴットの競演〜ヴェルディ生誕200年記念

ブレヴァル/ドヴィエンヌ「協奏交響曲ヘ長調」より
ジョリヴェ「クリスマスのパストラール」
モラッキ/トリアーニ「ヴェルディの主題による協奏的二重奏曲」

佐々木萌絵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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