マランボ2023-10-02

今週末のカフコンス「ミゲル・デル・アギーラ作品集」の1曲目は、ファゴットとピアノによる「マランボ」です。

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 新しい作品を書き始める前、私にはよく、何もない空白の想像の空間が見え、作曲するにつれて、そこに物、出来事、感情、そしてもちろん私自身の音楽が溢れ始める。時にそれは風景でなく、人の内面的な考えや感情で、「マランボ」の場合、音楽はその両方に切り替わる。
 私たちはアルゼンチンのパンパの村の中央広場にいて、そこでは祝賀会が行われ、主人公(独奏楽器)は過去の記憶と、会に参加するか孤立するかの決断に葛藤している。教会の鐘が記憶を呼び起こすと、彼は遠くから聞こえる鳥や虫の声を伴奏にして一人で歌い、やがて彼のそばで行われていたダンスに参加する。このダンスのリズムの特徴は南米のガウチョのマランボ・ダンスからインスパイアされた。ここでの私の音楽は私の記憶の中にあるこれらのダンスを抽象化して私自身の音楽言語とリズムで表したもので、この場合は16分の12拍子と16分の7拍子が交互に配置される。ダンスの途中で再び鐘が鳴るとファゴットは再び孤立する。皆から離れて表情豊かな歌を歌い、それは激しさを増して、不協和音の鐘が感情の頂点を引き起こすと暗闇に消えていく。突然、夢から覚めたようにダンスが再開される。今回は中断することなく勢いを増し、喜ばしく、人生を肯定するエンディングを作り上げる。

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マランボは古くからあるアルゼンチンの舞踊で、男性だけが参加でき、手拍子と、足をタップダンスのように使って激しく踊るそうです。速いパッセージや複雑なリズムなど技術的に高難度な点が目立ってしまいがちですが、様々な感情を呼び起こされるストーリー性にも注目してほしいです。ファゴット独特のスタッカートを打楽器のように使ったリズムや、広い音域をフルに使ったメロディーを楽しんでいただければと思います。
(江草)


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今週末の演奏メニュー

2023年10月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第160回
ミゲル・デル・アギーラ作品集〜作曲家を迎えて
WORKS OF MIGUEL DEL AGUILA
~ welcoming the composer to cafconc

「マランボ」 ファゴット/ピアノ
MALAMBO op.115 (2016/19) bassoon/piano

「ボトルの中の音楽」 ピアノ
MUSIC IN A BOTTLE op.67 (1999) piano

「サマーソング」 オーボエ/ピアノ
SUMMER SONG op.26 (1988/96) oboe/piano

「タンゴトリオ」 オーボエ/ファゴット/ピアノ
TANGO TRIO op.71 (2002/15) oboe/bassoon/piano

荒木良太(オーボエ)  Ryota ARAKI, oboe
江草智子(ファゴット) Satoko EGUSA, bassoon
川北祥子(ピアノ)   Sachiko KAWAKITA, piano

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