ヴァイルのキャバレーソング2014-06-19

キャバレーソング企画には欠かせないヴァイル(1900−50)ですが、今回は酒場よりも「雨の日のカフェ」に似合いそうな2曲を選んでみました。いずれもパリ時代に、マレーネ・ディートリヒの委嘱を受けて作曲されましたが、実際にはディートリッヒは歌わなかったようです。

詞はそれぞれジャン・コクトーとエーリッヒ・ケストナーの詩に基づきます。「雨が降る(1933)」はコクトーが片言のドイツ語で書いた詩をヴァイルが完成させたというもの。「窓ガラスはただ"雨が降っている"と告げる」なんていう歌詞を、雨の降る窓ガラスをバックに歌えますかどうか。今日現在の天気予報では22日は「曇時々雨、降水確率70%」...

ケストナーは1927〜33年頃のベルリン時代、まず批評家として数々のキャバレーを訪ね、やがて自分も歌詞を手がけ(この頃「スラバヤジョニー2」というパロディ作品も書いたそう!)、戦後にはミュンヘンにキャバレーを立ち上げました。カフェで恋人への別れの手紙を書く女の歌「別れの手紙(1933)」は、ケストナーの詩「Der Scheidebrief」に基づくものとされ(原詩未確認)、夜の世界を渡り歩きカフェで執筆していたというケストナーの、「児童文学作家」とはまた別の顔を見ることができます。


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今週末の演奏メニュー

2014年6月22日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第109回
雨の日のカフェ〜カフェコンセールの歌姫vol.6
(*日本語字幕付き原語演奏)

ヴァイル「雨が降る/別れの手紙」
ツェムリンスキー「キャバレーソング」
  太陽横丁/ボンバルディル氏
シャミナード「宝石箱/隣人/素敵な気分」
タンスマン「ブルース形式の前奏曲 第1番」*piano-solo
ブリテン「キャバレーソング」
  教えて 愛って何?/葬儀のブルース/ジョニー/カリプソ
ほか

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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