悲愴? ― 2011-09-07
今回のメインはグリンカ(1804-57)の「悲愴三重奏曲(1832)」。グリンカといえば「ロシア音楽の父」ですし、ロシアの「悲愴」というとラフマニノフの三重奏などが思い浮かびますが、この「悲愴」にはそれほどの「ロシア」や「悲愴」は感じられない気もしませんか?
そこで調べてみると、グリンカは1830年に療養(病弱&心気症?)を兼ねてイタリアに留学し、最盛期のベルカントオペラに触れ、オペラファンタジー作品などを次々に作曲して人気を得たものの、次第にロシア人としてのアイデンティティに目覚め、1834年の帰国後、最初のロシア的オペラと言われる「イワンスサーニン」に取りかかった...とのこと。
イタリアでグリンカが1832年の「悲愴」をイタリア風に作曲したのか、ロシア人として作曲したのかはわかりませんが、イタリアやドイツの手法で書かれた前期ロマン派の(サロン的な?)作品と考えれば、ロシア感は薄くて当然なのかもしれません。
タイトルの「悲愴」は、自筆譜に「私は愛をその苦しみによって初めて知った」という詩の一節が記されていることから失恋の悲愴と考えて良いならロマンティックなのに、グリンカ本人はなんと「(処方された膏薬の悪影響で)私は食欲もなく、眠れなくなり、絶望的な状況に陥っていたが、そのことが上記の三重奏曲に表現されている」と回想録に書いているのだそうです。
本当にそうだったのか、仮に惚れっぽいグリンカが失恋にふれたくなかったのだとしても、成功作をそんな風に語るなんて...(-_-;) この回想録については、グリンカの音楽に敬服していたチャイコフスキーでさえ「作者は善良で感じの良い人であるが、同時に空疎でつまらない平凡な人間という印象を与える」と酷評したそうです。
人間が平凡で回想録が酷でも、ロシア的でもそうでなくても、悲愴でもそうでなくても、表したのが恋でも健康状態でも、この「悲愴」が偉大な作曲家の名曲であることには変わりないのですが...
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*今月の演奏メニュー
9月11日(日)11時~ 於:本郷・金魚坂
コーヒーつき 1,500円
クラリネット・ファゴット・ピアノによる三重奏
ベートーヴェン「二重奏曲 第1番」
グリンカ「悲愴三重奏曲」
他
大橋裕子(クラリネット)
小山佳子(ファゴット)
池山洋子(ピアノ)
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そこで調べてみると、グリンカは1830年に療養(病弱&心気症?)を兼ねてイタリアに留学し、最盛期のベルカントオペラに触れ、オペラファンタジー作品などを次々に作曲して人気を得たものの、次第にロシア人としてのアイデンティティに目覚め、1834年の帰国後、最初のロシア的オペラと言われる「イワンスサーニン」に取りかかった...とのこと。
イタリアでグリンカが1832年の「悲愴」をイタリア風に作曲したのか、ロシア人として作曲したのかはわかりませんが、イタリアやドイツの手法で書かれた前期ロマン派の(サロン的な?)作品と考えれば、ロシア感は薄くて当然なのかもしれません。
タイトルの「悲愴」は、自筆譜に「私は愛をその苦しみによって初めて知った」という詩の一節が記されていることから失恋の悲愴と考えて良いならロマンティックなのに、グリンカ本人はなんと「(処方された膏薬の悪影響で)私は食欲もなく、眠れなくなり、絶望的な状況に陥っていたが、そのことが上記の三重奏曲に表現されている」と回想録に書いているのだそうです。
本当にそうだったのか、仮に惚れっぽいグリンカが失恋にふれたくなかったのだとしても、成功作をそんな風に語るなんて...(-_-;) この回想録については、グリンカの音楽に敬服していたチャイコフスキーでさえ「作者は善良で感じの良い人であるが、同時に空疎でつまらない平凡な人間という印象を与える」と酷評したそうです。
人間が平凡で回想録が酷でも、ロシア的でもそうでなくても、悲愴でもそうでなくても、表したのが恋でも健康状態でも、この「悲愴」が偉大な作曲家の名曲であることには変わりないのですが...
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*今月の演奏メニュー
9月11日(日)11時~ 於:本郷・金魚坂
コーヒーつき 1,500円
クラリネット・ファゴット・ピアノによる三重奏
ベートーヴェン「二重奏曲 第1番」
グリンカ「悲愴三重奏曲」
他
大橋裕子(クラリネット)
小山佳子(ファゴット)
池山洋子(ピアノ)
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