ガラコンサート(器楽編)2023-01-05

今週末1/8のカフコンスは20周年記念のガラコンサート。2人の若いフルーティストのソロとデュオを中心に、年長者たちは「20にちなむ」というお題で演奏いたします。

器楽の3人が選んだのは「20歳の青年を主人公とした詩が書き添えられている」「題名が20年」という作品です。

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アイアランド「桜の木」(ピアノ)

アイアランドの「桜の木」の楽譜には、20歳の青年を主人公としたA.E.ハウスマンの詩「一番愛おしい木」の一節が書き添えられています。人生70年のうちの20年はもう戻ってこない、桜を見るのに50回の春では足りない、という詩です。(ちなみに詩人は40歳手前、作曲家は60歳手前の頃の作品。)

桜餅を愛でる日本人として海外のチェリー味には共感できないことが多いのですが、このイギリスの詩と曲には日本の桜と通じるものを感じます。2分間の風景をお楽しみいただけたらと思います。(川北)

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ピアソラ「20年前」「20年後」(クラリネットとファゴット)

今回のカフコンスは二十に触れる曲をとのことで、アストル・ピアソラ作曲の「20年前」と「20年後」を抜粋してクラリネットとファゴットのデュオで演奏させていただきます。ジャズバリトンサックス奏者のジェリー・マリガンとピアソラ自身の演奏によってレコーディングされた1974年のアルバム“SUMMIT”に収録されている二曲です。

ピアソラはこの頃に「リベルタンゴ」を完成させており、それを聴いたマリガンがとても感銘を受けアルバム共作に至ったようです。最初は二人が半分ずつ作曲するはずだったのがマリガンが作ってきた曲をピアソラがほぼ却下してしまい、マリガンの曲は一曲のみ収録されています。収録時もマリガンは、ジャズ畑の人ということで譜面が読めなかったり正確でなかったりということもあったようですが。

ピアソラは最初にこの「20年前」と「20年後」を作り、それぞれA面とB面の最初に配置しておりアルバム全体がノスタルジックなトーンと時の流れを感じるような構成に。タンゴとジャズのコラボレーション、マリガンの深いバリトンサックスの響き、今でも愉しめる名盤です。選曲しながら私もこのアルバムを聴き入ってしまいました。(大橋)


大学生の時からカフコンスに参加し、第◯回、◯周年、令和改元などさまざまな節目をお客様と一緒に、その時々のユニークなプログラムでお祝いできたことを嬉しく思います。今回は20周年の記念にアストル・ピアソラの「20年前」「20年後」を二重奏で演奏いたします。

バンドネオンとバリトンサックスの共演は2人がイタリアで活動していたことから実現したようですが、マリガンは「ピアソラが、私の演奏を初めて聴いて以来、20年もの間、私とアルバムをつくることを夢見ていたことがわかった」と懐古しています。20年というタイトルはそこから来ているのかもしれません。

2分ずつの短い演奏ですがクラリネットとファゴットの共演を楽しんでいただければ幸いです。(江草)


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今週末の演奏メニュー

2023年1月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円
※今回に限り12時過ぎに終演予定です
開催日は成人の日の前日の日曜日ですのでご注意ください!


cafconc第154回
カフコンス成人の日・20周年ガラコンサート

*中村淳(フルート)
ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」

*渡辺有里香(ソプラノ)
ドビュッシー「星の夜」
プーランク「リボンの飾り」(全3曲)

*石橋美時(フルート)
ダマーズ「演奏会用ソナタ」

*川北祥子(ピアノ)
アイアランド「桜の木」

*柳沢亜紀(ソプラノ)
ドリング「シェイクスピアによる歌曲」より
吹け 冬の風よ/来たれ 死よ/緑の木陰で

*大橋裕子(クラリネット)江草智子(ファゴット)
ピアソラ「20年前」「20年後」

*石橋美時・中村淳(フルート)
ドップラー「アンダンテとロンド」

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