ガラコンサート(ソプラノ編)2023-01-03

今年最初の1/8のカフコンスは20周年記念のガラコンサート。2人の若いフルーティストのソロとデュオを中心に、年長者たちは「20にちなむ」というお題で演奏いたします。

ソプラノ2人が選んだのは「20歳で出版」「20歳で作曲」「20歳で本人の伴奏により初演」された作品です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ドビュッシー「星の夜」/プーランク「リボンの飾り」(ソプラノとピアノ)

「星の夜」はドビュッシーが20歳の時に全作品中はじめて出版された作品だそうです。曲の感じからは、過ぎ去った恋の相手の瞳を星に例え、まだ熱い思いを秘めているような美しくロマンティックな曲、と思って歌っているのですが、実は作曲されていない詩の一節がありました。それを読むとどうやら恋の相手は死んでしまっているようで、そうなると雰囲気が変わってくると思うのですが、わざわざ作曲しなかったということは死の雰囲気を払拭したかったのでしょうか。今回はドビュッシーが描いた初期のメロディアスな作品そのままのイメージで歌いたいと思います。

「リボンの飾り」はプーランクの歌曲の代表作のひとつである「動物詩集」とともに20歳の時に作曲された初期の作品です。ドビュッシーの歌曲作品がだんだんと老成していくのに対し、プーランクの歌曲作品は後期になるにつれ変化するというより、もともといくつもの作風を抱えていて、詩に合わせてモードを選んでいるように思います。「リボンの飾り」も50歳で作曲されたと言われても全く疑わないでしょう。

ジャン・コクトーの詩は文章というより単語の羅列で、そこにつけられたのはメロディーというより音の並びです。単語は連想ゲームやしりとりのように次の単語に繋がり、全3曲の題名もしりとりになっています。もともとヴァイオリン・コルネット・トロンボーン・パーカッションと歌のアンサンブルで、それは彩り豊かに詩を飾りますが、ピアノとのアンサンブルでも十分に想像を駆り立てる一曲となっています。(渡辺)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ドリング「シェイクスピアによる歌曲」より(ソプラノとピアノ)

今年生誕100年のイギリスの作曲家マデリーン・ドリング(1923-77)の、先の12月の特集でも取り上げました「シェイクスピアによる歌曲」から、今回は彼女が20歳の学生の時(1944年の誕生日前)に大学内で自身のピアノにより初演した3曲をお送りします。初演はバリトンで歌われたので低声用に書かれ、男性の詩が選ばれています。

「吹け 冬の風よ」は、吹き荒れる風に「凍りつけ!」と歌うスピード感のある男声らしい曲です。辞世歌「来たれ 死よ」は無伴奏で始まり、1人で逝く覚悟を感じさせます。「緑の木陰で」は転調めまぐるしく、陽気でおどけた曲調です。

シェイクスピアの劇中ではリュートを弾きながら歌う小唄のイメージがありますが、ドリンクの歌曲はまるでアリアのようにドラマティックなものとなっています。(柳沢)


--------------------------------------------------

今週末の演奏メニュー

2023年1月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円
※今回に限り12時過ぎに終演予定です
開催日は成人の日の前日の日曜日ですのでご注意ください!


cafconc第154回
カフコンス成人の日・20周年ガラコンサート

*中村淳(フルート)
ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」

*渡辺有里香(ソプラノ)
ドビュッシー「星の夜」
プーランク「リボンの飾り」(全3曲)

*石橋美時(フルート)
ダマーズ「演奏会用ソナタ」

*川北祥子(ピアノ)
アイアランド「桜の木」

*柳沢亜紀(ソプラノ)
ドリング「シェイクスピアによる歌曲」より
吹け 冬の風よ/来たれ 死よ/緑の木陰で

*大橋裕子(クラリネット)江草智子(ファゴット)
ピアソラ「20年前」「20年後」

*石橋美時・中村淳(フルート)
ドップラー「アンダンテとロンド」

--------------------------------------------------