モーツァルト「ホルン五重奏曲K.407による三重奏曲」2013-06-01

モーツァルト(1756-1791)のホルン作品の殆どは親友ロイトゲープ(1732-1811)のために書かれています。ロイトゲープはモーツァルトが子供の頃から家族ぐるみで親しくしていたホルン奏者で、二人がウィーンで再会した1781年以降、五重奏曲(82年末頃?)や4曲の協奏曲(83〜91年頃?)などのホルン作品が集中的に作曲されました。ロイトゲープは24歳も年下のモーツァルトに「ロバのライトゲープ(ザルツブルグ訛)」と呼ばれたり、楽譜に「がんばれ」「ほら外れた」といたずら書きされるようなイジラれキャラの一方で、わざと演奏困難に作曲するというイジリによる難曲群も平気でこなしてしまう名手だったと言われます。

「ホルン五重奏曲K.407」は後の協奏曲のための試作でもあったようで、協奏曲的なホルンの技芸や華やかさも特徴ですが、室内楽ならではのヴァイオリンとの掛け合いも魅力です。「ホルンVS弦楽四重奏(ヴァイオリン2・ヴィオラ・チェロ)」ではない「ホルン・ヴァイオリン・ヴィオラ2・チェロ」という編成は、弦楽五重奏(モーツァルトのものはヴァイオリン2・ヴィオラ2・チェロ1)のヴァイオリン1本をホルンに変更したものと考えられ、ホルンとヴァイオリンのデュエットの図式を際立たせる(ホルンVSヴァイオリン、+ヴィオラ2・チェロ)と同時に、ホルンを含む中音域の響きを充実させています。

そして約100年後に、その図式と、おそらくブラームスのホルン三重奏曲(ホルン、ヴァイオリン、ピアノ)の編成も意識して書かれたと思われるのが、Naumann編曲の三重奏版。編曲といってもホルンとヴァイオリンのパートはほぼ原曲通り、ヴィオラとチェロの部分をピアノに担当させるという、原曲に沿ったものです。

*オリジナル
mozart

*Naumann編(↑の2段目にあたる部分です)
naumann

そしてさらに約100年後の私たちは、この三重奏版をホルン・サックス・ピアノで演奏してみることにしました。モーツァルトもNaumannもきっと「その楽器、初めて見るけどいい音だね!」と喜んでくれるんじゃないかと思うのですがどうでしょう?


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今月の演奏メニュー

2013年6月16日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第102回
ホルンとサックスの響き

モーツァルト「ホルン協奏曲第3番K.447」より 第1楽章 hr.pf.
ノイリンク「バガテル」hr.pf.
バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」より sax.
モーツァルト「ホルン五重奏曲K.407による三重奏曲」hr.sax.pf.

笠間芙美(ホルン)
伊藤あさぎ(サクソフォン)
川北祥子(ピアノ)

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