カステルヌオーヴォ=テデスコ風に…2019-12-02

12月になりました。今月のカフコンスは今年2月に亡くなったプレヴィン(1929-2019)の追悼特集ですが、冒頭にはカステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968)の「アンドレ・プレヴィンの名によるタンゴ(1953)」を演奏します。なお楽譜はカステルヌオーヴォ=テデスコを研究されているtakataka様からお借りしました。takataka様、ありがとうございます。

tango on the name of previn

このタンゴは、カステルヌオーヴォ=テデスコが作曲の弟子プレヴィンの名前の綴りを音に置き換えて作曲したもので、同様に様々な人に宛てて書かれたピアノやギター曲が「グリーティングカード」という曲集にまとめられています。文字から音への置き換え方は次の通り↓


音名だけでなく音の高さ(オクターブの違い)もそのまま用いるので跳躍が多いですが、なんとプレヴィンは短い名と姓の両方にオクターブが2つずつ含まれています!奇跡的な偶然にカステルヌオーヴォ=テデスコさんが小躍りしていそうです。気になって自分の名前も試してみたところ、名と姓で全く違う雰囲気になりました(WがなかったのでV2つで代用)↓


KAWAKITAはジグザグな跳躍ですが、KとAが多いことで統一感や調性感があるかも。プレヴィンの力強さには及ばないもののタンゴにもできそうです。それに対してSACHIKOは綺麗な上行形!HIKの半音階(Jが無いため)もいい感じ!

ということで「ルソー作曲むすんでひらいて〜カステルヌオーヴォ=テデスコ風SACHIKOの名によるオスティナートつき」を試作しました。チェレスタやハープで演奏すれば官能的な19世紀末の音楽に、和声つきブラスなら20世紀の新古典になりそうです(笑)


みなさまもぜひご自身のお名前でお試しになってみてください!


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今月の演奏メニュー

2019年12月15日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第143回
アンドレ・プレヴィン・メモリアル

カステルヌオーヴォ=テデスコ「プレヴィンの名によるタンゴ」pf
プレヴィン「ピーチ」fl/pf
同「オペラ・欲望という名の電車」より sop/pf
同「ファゴットソナタ」fg/pf
ほか

柳沢亜紀(ソプラノ)
石橋美時(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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ピーチという名の小品2019-12-09

今週末のカフコンスでは、2月に亡くなったアンドレ・プレヴィンを偲び、ノリにノった90年代(60代)の「欲望という名の電車」「ファゴットソナタ」と、70年代(40代)のあまり知られていない小品「ピーチ」「インヴィジブル・ドラマー」を演奏します。

フルートとピアノのための「ピーチ Peaches(1978)」はプロコフィエフの緩徐楽章を思わせるような新古典的小品。プレヴィンの室内楽というと変拍子やリズムのカッコいいものが多く(以前に演奏した三重奏や今回のファゴットソナタも含め)、つい「やはりジャズ奏者」と思ってしまいますが、考えてみるとそれらもクラシカルだったことに気付かされます。

映画音楽やジャズ、クラシック界でも指揮、ピアノ、作曲、と「音楽で何人分もの人生を堪能した」プレヴィンさん、他で活躍しすぎて作曲の分野が忘れられがちなのか、作品一覧すらまだ整備されていません。「私は単に音楽を書くことを楽しむ人間だ。書いたものの多くはけっこう良い音がするが、自分の死後に演奏されるなどという思い違いはしていない ー ただ来週演奏してほしいだけだ。」と語ったプレヴィンさんらしいとも言えますが…

「ピーチ」も作曲の経緯や曲名についての情報は見つけられませんでした(美術のモティーフとしての桃と推測する人もいるようです)。ただただ「sounds pretty good」な5分間を味わっていただけたらと思います。


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今週末の演奏メニュー

2019年12月15日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第143回
アンドレ・プレヴィン・メモリアル

カステルヌオーヴォ=テデスコ「プレヴィンの名によるタンゴ」pf
プレヴィン「ピーチ」fl/pf
同「インヴィジブル・ドラマー」より pf
同「オペラ・欲望という名の電車」より sop/pf
同「ファゴットソナタ」fg/pf

柳沢亜紀(ソプラノ)
石橋美時(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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見えない鼓手?2019-12-10

プレヴィンの「インヴィジブル・ドラマー〜ピアノのための5つの前奏曲(1974)」はピアニストのアシュケナージに贈られた小品集。指揮者とピアニストとしては協奏曲で、ピアニスト同士としては2台ピアノで共演していたアシュケナージが、プレヴィンの弾く即興ジャズピアノに興味を持ってリクエストしたもので、これで作曲家と演奏家という関係にもなり、その後84年にはアシュケナージのためにピアノ協奏曲も作曲されました。(協奏曲はプレヴィン指揮で録音されていますが「インヴィジブル〜」は録音がないようで残念です...)

ちなみにプレヴィンが高校時代にMGMと契約したきっかけも、クラシック畑のピアニストのために即興ジャズ風の楽譜を書くことだったそうです。(映画音楽の仕事には、それ以前にも師のカステルヌオーヴォ=テデスコのアシスタント的に参加?)

不思議なタイトルは、この曲集が自由な即興に聞こえるとしても、拍、小節、テンポ等がきちんと存在していることを指すようです。(という説明があると「Peaches」についても知りたくなるところです…)


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今週末の演奏メニュー

2019年12月15日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第143回
アンドレ・プレヴィン・メモリアル

カステルヌオーヴォ=テデスコ「プレヴィンの名によるタンゴ」pf
プレヴィン「ピーチ」fl/pf
同「インヴィジブル・ドラマー」より 第2番 pf
同「オペラ・欲望という名の電車」より sop/pf
同「ファゴットソナタ」fg/pf

柳沢亜紀(ソプラノ)
石橋美時(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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