今日は何の日?2011-06-22

デュフィの石版画「屋根の上の牛」
今日6月22日は作曲者ダリウス・ミヨー(1892.9.4エクスアンプロヴァンス - 1974.6.22ジュネーヴ)の命日。7/10のカフコンス「カフェコンセールの歌姫vol.5」ではミヨーの「屋根の上の牛」(1919年)をメインにとりあげます。

「屋根の上の牛」は、2年間のブラジル滞在からパリに帰ったミヨーがブラジルの様々な音楽の印象をロンド風にまとめたもので、本人はこの曲がチャップリンの映画の伴奏に使えるのではと考えましたが、反対したコクトーはすぐさま自分でパントマイム・バレーに仕立てました。コクトーによる筋書きは、禁酒法時代のアメリカのバーで人々が酒を飲み、踊り、騒いでいるが、警官がやって来るとバーはミルクホールに変わって、客はミルクを飲みながら田園劇を演じ...というもの。初演は「陽気な見せ物」として大当たりしましたが、「滑稽な音楽を作る旅まわり作曲家」と決めこまれてしまったミヨーは、自伝で「ただ魅惑されたブラジルのリズムの思い出に陽気な楽しみの音楽を作ってみようと思っただけなのにです。神に誓って、まさか笑わすためにとは…。」とボヤいています。

また、奇妙なタイトルは元々ブラジルの俗歌の題名からとられましたが、後年、ミヨーらの通うバーが店名を「屋根の上の牛」に(ミヨーとコクトーの快諾を得て)変えると、(バレエがバーを舞台にしていたこともあって)曲名の由来がこのバーの名だと誤解されるようになり、このこともミヨーは自伝でボヤいています。(この自伝、いろいろボヤきつつ、書名は「幸福だった私の一生」なのがステキ。)

さて7/10の「屋根の上の牛」は、ミヨー本人の編曲によるヴァイオリン協奏曲「"屋根の上の牛"によるシネマ幻想曲」というバージョンに、オネゲル作の壮大なカデンツァも一部加えて演奏します。ところでミヨーが最初に音楽を本格的に学んだのはヴァイオリン(7歳から、それまでのピアノは自己流)、09年にパリへ出て国立音楽院で最初に学んだのもヴァイオリンで、19年頃には自作のヴァイオリンソナタ等を弾いていたようですが、こんな超難曲も自分で演奏できたのでしょうか??


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来月の演奏メニュー

7月10日(日)11時~ 於:笹塚Blue-T(中国茶つき1,500円)
カフェコンセールの歌姫vol.5

サティ「シテールへの船出」vn.pf.
同「カフコンスのための歌」より
   乗合バス/優しく sop.pf.
ドゥーセ「イゾルディーナ」pf.
ミヨー「劇場のための6つの歌」sop.pf.
同「屋根の上の牛」vn.pf.

渡辺有里香(ソプラノ)
道橋倫子(ヴァイオリン)
川北祥子(ピアノ)

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