地下鉄博物館・第29回メトロコンサート「秋の小夜曲(セレナード)コンサート」2005-10-22

於:地下鉄博物館(10:30-11:30/14:30-15:30)

*曲目

モーツァルト「アイネクライネナハトムジーク k.525」(弦楽四重奏)
  第1楽章 アレグロ
  第2楽章 ロマンツェ アンダンテ
  第3楽章 メヌエット アレグレット
  第4楽章 ロンド アレグロ

グノー「セレナード」「アヴェマリア」(ソプラノ、ピアノ)
マスネ「タイスの瞑想曲」(ヴァイオリン、ピアノ)
ドビュッシー「月の光」(ピアノ)
ブラーガ「天使のセレナード」(ソプラノ、ヴィオラ、ピアノ)

モーツァルト「ディヴェルティメント ニ長調 K.136」(弦楽四重奏)
  第1楽章 アレグロ
  第2楽章 アンダンテ
  第3楽章 プレスト

(マスカーニ「カヴァレリアルスティカーナより アヴェマリア」全員)


*出演

漆原直美(ヴァイオリン)
清岡優子(ヴァイオリン)
冨田大輔(ヴィオラ)
夏秋彩(チェロ)

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

アンサンブル・カフコンス ensemble caf'conc'
カフェで一杯のコーヒーを味わうように、本格的な室内楽を気軽に愉しんでいただこうというプロジェクト。2003年より定期カフェコンサートを開催中。

こっち見てるふりして実は寝てるリンリンさん(上野動物園)2005-10-26

こっち見てるふりして実は寝てるリンリンさん(上野動物園)
(旧BBSのパンダ写真を移転しました。)

バリトンカフェ(カフコンス第21回)2005-10-30


*曲目

ロッシーニ『チェネレントラ』より「重大な秘密です」
Gioacchino Rossini (1792-1868)
"La Cenerentola" (1816)
Un segreto d'importanza

「ラッパを吹き鳴らせ」によるヘクサメロン変奏曲 (1837) より
変奏 1 Ben Marcato(タールベルクによる)
変奏 6 Largo(ショパンによる)
*ピアノソロ

ベッリーニ『清教徒』より「ラッパを吹き鳴らせ」
Vincenzo Bellini (1801-35)
"I Puritani" (1834-5)
Suoni la tromba

タールベルク「ドンパスクアーレ」による幻想曲 op.67 より
なんと優しい(エルネストのセレナード)
*ピアノソロ

ドニゼッティ『ドン・パスクアーレ』より「静かに間髪を入れず」
Gaetano Donizetti (1797-1848)
"Don Pasquale" (1842)
Cheti, cheti, immantinente

(同「静かに間髪を入れず」最後の部分bis)


*出演

青山貴(バリトン)
藪内俊弥(バリトン)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 オペラといえばソプラノとテノールが主役というイメージだが、バリトンは脇役に過ぎないのだろうか?
 『チェネレントラ』のダンディーニは王子に扮する召使い、マニフィコは娘をなんとかして王女にと躍起になる父親、こんな芸達者なバリトン達がいてこそ物語はさらに面白く発展するのではないか。そしてバリトンといえばテノールの恋敵である。『清教徒』のリッカルドは苦悩の末に恋敵を助ける決心をするが、この「苦悩」もバリトンの十八番、聴かせ場なのだ。ジョルジョ(バスバリトン)のような「年配の識者」もオペラには欠かせない。『ドン・パスクアーレ』では、ソプラノとテノールのカップルを脇に追いやり、パスクアーレ(バス)とマラテスタが大活躍である。
 本日の二重唱集をお聴きいただけば、バリトンこそオペラの真の立て役者なのだと感じていただけるに違いない。もっともこの三本のオペラも、ヒロインとテノールがめでたく結ばれる、という結末なのだが…


*歌詞大意

『チェネレントラ』二幕一場「重大な秘密です」
(フェレッティ台本)

*原作は「シンデレラ」だがオペラでは王子が召使いに扮し、召使いが王子に扮して花嫁探しをしており、ドン・マニフィコ男爵と二人の娘は偽の王子(実は召使いダンディーニ)をちやほやし、継娘チェネレントラは偽の召使いに思いを寄せる。この二重唱はダンディーニが自分は召使いだと打ち明ける場面。

ダンディーニ(青山):
重大な秘密です、面白い謎を明かしましょう。
想定の範囲外の事でびっくりするでしょう。

マニフィコ(藪内):
瞬きもせず、息も殺してお聞きします。
石のように動かず、一言も逃さずに。

ダンディーニ:
賢明な人物は助言が上手です。
もしあなたの娘の一人と結婚するとしたら、あなたの処遇は?

マニフィコ:
(顧問は確実だ!)身に余るご厚情!
閣下、いや陛下、お聞き下さい。
いつも広間には30人の正装の給仕人、116頭の馬、
公爵、伯爵、元帥たち大勢の招待客、ジェラートつきの宴会、
そして馬車に6人の従僕をご用意します。

ダンディーニ:
では隠さずお答えします、私達はあまりにかけ離れていると。
私は宴会には不馴れで、いつも残り物を食べ、
上流階級の人達には近寄らず、召使いたちとつき合い、
いつも自分の足で歩きます。

マニフィコ:からかうのですか?

ダンディーニ:本当の事です。

マニフィコ:ではどうして?

ダンディーニ:
作り話です、王子とは嘘、私は仮面をかぶった役者、
しかし本物の王子が仮面を取りました。
私は本当の職に戻ります。私は召使いのダンディーニ。
ベッドを直し、衣装にブラシをかけ、鬚や髪の手入れを。

マニフィコ:
鬚や髪の手入れ! この侮辱、この屈辱、
本物の王子がこの勘定を払ってくれるだろう。

ダンディーニ:
おお、ご心配なく、何もしてくれません。
ともかくすぐ出て行って下さい。

マニフィコ:出て行きません。

ダンディーニ:出て行くのです。

マニフィコ:私は男爵だ。

ダンディーニ:ステッキをどうぞ。

マニフィコ:また会わなくては。また話さなくては。

ダンディーニ:また会いましょう。また話しましょう。

マニフィコ:
脳の中のコントラバスが、音を立てながら落ちて行く。
下へ下へと、頂上からどん底へ、地の果てまで!
なんという敗北、なんという墜落!
ほらあいつだと誰もが言い、町中で笑い者にされるのだ。

ダンディーニ:
あわれな悪党! さぞショックだろう、
頂上からどん底へまっ逆さまに突き落とされて。
閣下、落ち着いて下さい、かみそりや石鹸や櫛をご所望なら、
私は巻き毛にしたり鬚を剃るのは得意ですよ、
ハ、ハ! ご覧なさい、あの大馬鹿者を!

『清教徒』二幕四場「ラッパを吹き鳴らせ」
(ペーポリ台本)

*清教徒派城主の娘エルヴィラと王党派の騎士アルトゥーロの党派を越えた婚礼の日、エルヴィラは他の女性と逃げるアルトゥーロを見て錯乱する。彼が元王妃の逃亡に手を貸したのだという真実を知るリッカルド(清教徒派でエルヴィラを慕う)は退役大佐のジョルジョに諭されアルトゥーロを救う決心をするが、翌朝の王党派との戦闘では祖国のために闘うことを誓う。

ジョルジョ(藪内):
君は君の敵を救わなければならない。
君は彼を救うことができる。

リッカルド(青山):できません…

ジョルジョ:望まないのか。

リッカルド:望みません。

ジョルジョ:彼を救いなさい!

リッカルド:ああ、できません。彼は死ぬでしょう…

ジョルジョ:君は女囚が逃走した時のことをよく覚えている。

リッカルド:はい…

ジョルジョ:全てアルトゥーロの罪なのか?

リッカルド:あなたの言葉はまるで…

ジョルジョ:真実だ。

リッカルド:率直にお話しください…

ジョルジョ:もう十分に話した。

リッカルド:
彼の極刑は議会の要求です。
アルトゥーロの大胆な反逆は鎮められるべきです。
私は彼を憎んでも怖れてもいません、
しかし卑劣な者は滅びるでしょう。

ジョルジョ:
いや! 罪の苦悩が今君をおそっている…ああ、恐れよ!
後悔と恐怖が君の人生を崩壊させるだろう。
もし敵が君の手で倒されたなら、
別の魂が君につきまとうだろう。

リッカルド:誰が?

ジョルジョ:
よいか、若者よ、君は二人の犠牲者を出した!
彼らの影が君にどこまでもつきまとうだろう!
もし闇の中で苦悶しため息をつく白く軽い幻を見たなら、
私はあなたのために死んだと叫び彷徨うエルヴィラであろう。
空が暗く荒れる時、苦悩に震える影を感じたなら、
君を追いつめ、死者の怒りで脅かすアルトゥーロであろう。

リッカルド:
もしエルヴィラの悲しむ幻が現れ、私を追いつめるなら、
祈りとため息が私に慈悲をもたらすでしょう。
もしアルトゥーロの血まみれの幻が地獄から現れるなら、
私の大きな怒りで再び地獄へ永遠に突き落とすでしょう。

ジョルジョ:
リッカルド! リッカルド!
私の苦悩が君の立派な心を目覚めさせるよう…

リッカルド:
あなたの涙の勝利です。見て下さい、私の目は濡れています。

リッカルド/ジョルジョ:
祖国を愛する者は慈悲を誇りとするのだ!

リッカルド:
おそらく暁に敵は攻撃するだろう…
もし彼がそこにいたら…
ジョルジョ:もし彼がそこにいたら?…彼は死ぬだろう。

リッカルド:彼は死ぬだろう…そう、死ぬだろう…

ジョルジョ:
私の手はまだ冷たくない! そう、君と共に闘うだろう。

リッカルド:
もし彼が闘いを挑んで来たら、彼はこの手で死ぬだろう。

ジョルジョ:恐れの声となれ…祖国よ、勝利よ、名誉よ!

リッカルド/ジョルジョ:
ラッパを吹き鳴らせ、そして私は勇敢に力の限り闘う!
死に立ち向かうことは素晴らしい、自由!と叫びながら!
祖国のために恐れを知らず、血に染まった栄冠を獲得し、
名誉の汗と慈悲の涙を拭うのだ。暁に!

『ドン・パスクアーレ』三幕四場「静かに間髪を入れず」
(ドニゼッティ/ルッフィーニ台本)
 
*金持ちで独身のドン・パスクアーレ老人は、親友で主治医のマラテスタから若くしおらしい妹を花嫁にと紹介され、それが仕組まれた悪戯とは知らず有頂天、しかし結婚の署名を終えた途端じゃじゃ馬に変身した花嫁に平手打ちされる。パスクアーレは彼女の密会の手紙を見つけ復讐をマラテスタに相談する。

パスクアーレ(青山):
静かに間髪を入れず庭に降りよう、
仲間を引き連れ、茂みを包囲しよう。
哀れなカップルは私の合図で捕えられる、
一刻も無駄にせず裁判官の所へ連れて行こう。

マラテスタ(藪内):
どうだろう、ちょっと聞いてくれ、二人だけで行こう、
茂みの中で二人だけで待ち伏せ、折をみて姿を現す。
そして当局へ引き渡すと脅したりなだめたりして、
二人に手を切る事を約束させるのだ。

パスクアーレ:
そんな方法では裏切りに対して罰が軽すぎる。

マラテスタ:
よく考えてくれ、私の妹だ。
デリケートな問題だ。慎重によく考えて。
醜聞を広げるぞ、恥をさらすぞ、
納得できないね、よくない、何か別のやり方を探そう。

パスクアーレ:
この家から出て行かせるのだ、相談はもう結構。
熟考もなにも、私の家にもう彼女はいらない!
どうでもよい、納得もなにも、私は平手打ちされたままだ。
どうだろう…

マラテスタ:思い付いたぞ!

パスクアーレ:すばらしい! 早く言ってくれ!

マラテスタ:
茂みの中に身をひそめて待ち伏せよう、何もかも聞き取れる。
裏切りが間違いなければ即刻彼女を追い出すのだ。

パスクアーレ:
すばらしい、大変結構、満足だ…
待っていろ、かわいい花嫁、私の復讐はもうすぐだ。
苦しめてやる、もうこっちのもの、一瞬でがっくりするぞ。
今にわかる、たとえ画策して、笑い、ため息し、涙しても、
今度こそ私の勝利、お前は罠にかかるがままになるだろう!

マラテスタ:
(哀れな奴、復讐を夢見て、不幸が待ち受けるとも知らず。
怒りに震えても無駄、籠に閉じ込められて逃げられない。
企てても無駄、空中に城を建てるようなものだとも知らず、
こんな簡単な事がわからない、自分も罠にはまることを。)