モダンというよりジャジーな後半2015-11-04

再びピアノの川北祥子です。前半2曲はそれぞれ3楽章10分超えのソナタとソナチネで、後半は4〜6分のジャジーな小品が3曲並びます。

前半はフルート奏者ショッカーから始めたので、後半はファゴット奏者ダグラスの作品からいきます。ダグラスは作曲家、ファゴット奏者、ピアノ奏者で、ジャズ方面でも活躍、かと思えば合唱曲でも有名だったり、ヒーリングミュージック的な作品やアルバムも出していたり、教育者として学生のための室内楽作品やリズムのトレーニング用教材も書いていたり、という多才で謎なオジサンです。

室内楽作品の多くは、元々学生のために書いたものを自分のコンサートのレパートリーに昇格させているようで、「ワルツ」もジャズ気分や絡み合うリズムが楽しいのと同時に、ソルフェージュや初見の試験ふうでもありファゴットには高音の♭Eもあり、という油断ならない1曲です。打倒ダグラス教授!

4曲目のチック・コリアは説明不要なジャズの大御所、「トリオ」は活動初期の1968年に録音、1972年のアルバム「インナースペース」で発表された作品。次々に繋がれていく彼独特のフレーズはファンにはお馴染みかもしれませんが、そんな中でファゴットがとても新鮮に響きます。特に序盤の7拍子のファゴットはお聴き逃しなく! フルートの即興風ソロやカデンツァにもご注目を。ピアノは最後に妙な事をします...

最後はクラシック界に戻ります。サックス奏者シュナイダーは、作曲家としてもジャズテイストの作品で人気の、今回一番若い54歳。同年代のショッカーがキレイ系ならシュナイダーはカッコイイ系、クラシック界にもジャズテイストのこんなにカッコイイ曲が!ということで、チック・コリアと並べて勝手に対決させてみることにしました(笑)

ちなみに曲名「Worlds beyond」のイメージを聞いてみたところ、山本さんはトイストーリーのバズの決め台詞「To infinity and beyond!」、江草さんは「幽遊白書」=beyond人間界!、というスケールの大きな回答でした。2人に比べるとちょっと地味ですが、私はミッションインポッシブル系の主人公が「暗躍」するイメージで、大爆発を背に涼しい顔で去っていく主人公のようなカッコイイ演奏を目指したいと思います。(指のimpossibleな箇所が多々あるので、無事Mission accomplishedできますように... )


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今週末の演奏メニュー

2015年11月8日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第118回
フルートとファゴットの競演vol.3〜モダン編

ゲイリー・ショッカー(1959-)「ソナタ・スーフル(2002)」
ピエール・ガベーユ(1930-2000)「ソナチネ(1962?)」※fl. fg.
ビル・ダグラス(1944-)「ワルツ(2008)」
チック・コリア(1941-)「トリオ(1968頃)」
ダニエル・シュナイダー(1961-)「ワールズ・ビヨンド(2002)」

山本葵(フルート)
江草智子(ファゴット)
川北祥子(ピアノ)

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