カフェコンセールの歌姫vol.2(カフコンス第37回)2007-04-22


*曲目

プーランク「愛の小径」
Francis Poulenc (1899-1963)
Les chemins de l'amour (1940)

同「ギターに寄せて」
A sa guitare (1935)

オーリック「春」
Georges Auric (1899-1983)
Printemps (1935)

同「ムーランルージュ(赤い風車)」*vn,pf
Moulin rouge (1952)

ヴァイル「セーヌ哀歌/ユーカリ」
Kurt Weill (1900-50)
Complainte de la Seine (1934)
Youkali (1933/35)

*ヴァイオリン曲リクエストコーナー
3位(5票)ドヴォルザーク/クライスラー「わが母の教え給いし歌」
1位(9票)ラフマニノフ/クライスラー「パガニーニ狂詩曲第18変奏」
2位(6票)クライスラー「中国の太鼓」

プーランク「トレアドール」*sop,vn,pf
Toréador (1918/32)

(プッチーニ「トスカ より 歌に生き恋に生き」*sop,vn,pf)


*出演

安陪恵美子(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)
ゲスト:島﨑祐子(ヴァイオリン)


*プログラムコメント

 「歌姫」シリーズ前回はカフェやキャバレーのための作品を集めましたが、今回は劇中歌として作曲された歌曲を中心に選曲してみました。前回の終曲「愛の小径」と本来ハープ伴奏の「ギターに寄せて」「春」は女優イヴォンヌ・プランタンに贈られた歌。オーリックは映画音楽でも知られ「ムーランルージュ」はグレコらシャンソン歌手にも歌われ親しまれています。「セーヌ哀歌」はシャンソン歌手リス・ゴーティに書かれたシャンソン、「ユーカリ」は劇音楽「マリーギャラント」中の「タンゴ・ハバネラ」に後から歌詞をつけたもの。「トレアドール」はシャンソンに熱中していた若きプーランクがほぼ即興で作曲したという、彼の百数十曲に及ぶ歌曲の最初を飾る作品です。


*歌詞大意

「愛の小径」(ジャン・アヌイ『レオカディア』)

海へ続く小径には
私たちの足どりが残っていた
散った花々 木々の下に響くこだま
私たち二人の明るい笑い声
ああ 幸せな日々 過ぎ去った輝く歓び
私は心の中に何の跡も見つけられないままに行く

* 私の愛の小径 私はいつもあなたを探す
失われた小径 あなたはもうなく こだまは響かない
絶望の小径 思い出の小径
出会った日の小径 素晴らしい愛の小径

もしいつかそれを忘れなければならないのなら
人生がすべてを消し去るだろう
私は願う 私の心に一つの思い出が
ほかの恋よりも強く残るよう
小径の思い出 震えながら 狂おしく
あの日私はあなたの手を燃えるように感じた

* 私の愛の小径〜

「ギターに寄せて」(ピエール・ド・ロンサール『王妃マルゴ』)

* 私のギターよ 私はおまえに歌う
その一つが 私を裏切り
私が断ち切り 私が魅惑され
私が受け取った愛を

おまえの和音で 私は熱情を鎮める
美しい不幸から生まれた 尽きない炎を

* 私のギターよ〜

「春」(ピエール・ド・ロンサール『王妃マルゴ』)

美しい春を眺め 私は確信する 大地と海が若やぐのを
そして時と愛を感じる この世に生まれた子供のように

時はますます美しく私達を目覚めさせ 大地をますます緑濃くする
そして愛は魅力を武器にして 私たちの心をからかう

彼はいたる所に光を注ぎ その力で従える
人間 獣 鳥 そして水も彼に忠誠を誓う

美しい春を眺め 私は確信する…

「セーヌ哀歌」(モーリス・マグル)

* セーヌの底には 黄金がある
錆びた船が 宝石が 凶器が…
セーヌの底には 死がある
セーヌの底には 涙がある…

セーヌの底には 花々がある
泥で育った花々が…
セーヌの底には 心がある
人生に苦しみすぎた心が…

砂利 灰色の生き物…
下水溝の中心から吐き出された毒…
誤解で捨てられた指輪
スクリューで胴から切り離された足…

不毛の子宮の呪われた果実
愛されず堕された無垢…
大都会に吐き出されたもの…
セーヌの底にはそんなものがある…

おお慈悲深いセーヌ 残骸の行きつく所
泥土のシーツの寝台
灯台も港もない廃物の流れ
死体安置所と橋に子守唄を歌う歌手

貧者を迎え 女を迎え
酔払いを迎え 狂人を迎え
彼らのすすり泣きを波音に混ぜて
彼らの心を砂利の中へ運ぶ…

* セーヌの底には〜

「ユーカリ」(ロジェ・フェルネ)

それは世界のほぼ果て 私の放浪の小舟は
波にまかせてさまよい ある日私をたどり着かせた
その島はとても小さく そこに住む妖精は
優しく私達を島に誘った

* ユーカリ それは私達の憧れの国
ユーカリ それは幸せ それは喜び
ユーカリ それはすべての悩みのない場所
暗闇が晴れるように私達を導く星 それがユーカリ

** ユーカリ それは交わした誓いの尊重
ユーカリ それは美しい愛を分け合う国
それはすべての人間が心に持つ希望
私達がみな明日に待ち望む救い

*** ユーカリ それは私達の憧れの国
ユーカリ それは幸せ それは喜び
しかしそれはただの夢 ただの戯言
ユーカリなどどこにもない

そして人生は私達を連れ回し 日々疲れさせる
しかし人間の哀れな魂は いたる所に忘却を探し
地上を去る時には 神秘を見つける事を知っている
私達の夢の隠されたユーカリのような場所に

* ** *** ユーカリ〜

「トレアドール」(ジャン・コクトー)

ヴェニスのペピタ女王 おまえが楼の下を歩くと
ゴンドラ乗り達がみな言う 気をつけろ トレアドール
おまえの心は誰も支配できない おまえは大宮殿に眠り
傍では付添の老婆が見張る トレアドール

勇者の中の勇者トレアドール サンマルコ広場で
怒り狂う雄牛が地を流し おまえの剣で息絶えても
金のバウタの下のおまえの心が抱くのは誇りではない 
なぜなら一人の若い女神におまえは焦がれる トレアドール

* 美しいスペイン女 ゴンドラの上で
おまえははしゃぎ回る カルメンシータ
マンテラの下 きらめく瞳
燃える唇 それがペピタ

死闘が行われる聖エスコリアルの日は明日
運河は船であふれ トレアドールを歓迎する
ヴェニスの美女は一人ならず
 おまえの運命を知ろうと胸ときめかす
しかし彼女達のレース飾りを相手にせず
 おまえは苦悩する トレアドール

なぜなら姿が見えないから オレンジの木陰に隠れ
ペピタは一人窓辺に おまえは復讐を企てる
おまえはマントの下に短剣を持ち 嫉妬に心を苛まれ
波音の中で一人 おまえは涙する トレアドール

* 美しいスペイン女〜

なんと多くの騎士 観客が 闘牛場を埋めたことか!
彼らははるばるお前を喝采しに来た トレアドール
彼は闘牛場に入る 貴族より冷静に
しかし彼はほとんど前進できない 哀れなトレアドール

彼は皆の注目の中で死ぬ憂鬱な夢の中
くい込む角を感じる 悲しく悩める額に
なぜならペピタがそのまなざしと体を
老総督にあずけて見せつけ トレアドールを笑うから

* 美しいスペイン女〜


*リクエストコーナー曲目リスト

ヴァイオリン演奏曲は、当日開演前の投票(1人3票、1曲に複数票投票も可)で決定しました。

*曲目リスト*

1.チャルダッシュ(モンティ)
2.愛のあいさつ(エルガー)
3.タイスの瞑想曲(マスネ)
4.スペインのセレナード(シャミナード/クライスラー)
5.夢のあとに(フォーレ)

6.愛の喜び(クライスラー)
7.愛の悲しみ(クライスラー)
8.美しきロスマリン(クライスラー)
9.中国の太鼓(クライスラー)
10.シンコペーション(クライスラー)

11.G線上のアリア(バッハ「管弦楽組曲第3番」より)
12.ロンディーノ(ベートーヴェン/クライスラー)
13.ロマンス イ長調(シューマン「3つのロマンス」第2曲)
14.メロディ(チャイコフスキー「懐かしい土地の思い出」より)
15.母の教え給いし歌(ドヴォルザーク/クライスラー)

16.ノクターン第20番(ショパン)
17.パガニーニ狂詩曲第18変奏(ラフマニノフ/クライスラー)
18.間奏曲(マスカーニ「カヴァレリアルスティカーナ」より)
19.私のお父様(プッチーニ「ジャンニスキッキ」より)
20.誰も寝てはならぬ(プッチーニ「トゥーランドット」より)