パガニーニのコンチェルティーノ2018-05-21

今週末のカフコンスは「ホルンとファゴットの競演」。こんな特殊な編成だと近現代の作品になりがちな所、敢えてパガニーニ(1782-1840)のコンチェルティーノ(1831-2頃)を選んでみました。

パガニーニといえば超絶技巧のヴァイオリニスト。悪魔に魂を売った説とかご婦人方が失神したとか、それよりもご自身が(ヴァイオリン奏者でなければカプリスの編曲モノで)失神したとか、強烈なイメージを持っていらっしゃる方も多いのではと思いますが、この曲の1楽章Larghettoはまるでベッリーニのような美しさ、2楽章Allegro moderatoはロッシーニの楽しい序曲のようで、パガニーニがオペラを愛する18世紀生まれのイタリア人だった事を再認識させられます。そういえばシューベルトもパガニーニを「天使の声が聞こえた」と評していますし、ショパンの「パガニーニの想い出」も優美な印象ですね。

タイトルには「コンチェルティーノ、パガニーニからアンリへ」と書かれ、1831年または32年のパリ訪問の際に、パリコンセルヴァトワールの教授でオペラコミークの首席もつとめたファゴット奏者Antoine Nicholas Henry(1777-1842)に献呈、ホルンは同じくコンセルヴァトワール教授でオペラ座首席のLouis François Dauprat(1781-1868)を想定したものとされます。(曲はE-Durで、当時のフランスではまだナチュラルホルンが使われ、DaupratはE管を好んだとも言われるようですが詳細未確認。)

パガニーニは自作の譜面を公開しなかったため、その大部分が失われましたが、この作品は自分が演奏するものではないので管理がユルくて処分を免れたのかもしれません。といっても、需要も少ないのか、なんと1985年まで出版されなかったようですが...


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今週末の演奏メニュー

2018年5月27日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第132回
ホルンとファゴットの競演〜イタリアの協奏曲集

ベッリーニ「ホルン協奏曲」
ロッシーニ「ファゴット協奏曲」
パガニーニ「ファゴットとホルンのための小協奏曲」

江草智子(ファゴット)
笠間芙美(ホルン)
川北祥子(ピアノ)

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