チェコの三重奏~リクエストシリーズvol.1(カフコンス第59回)2009-03-08

*曲目

ヨセフ・スーク「エレジー」
Josef Suk (1874-1935)
Elegie op.23 (1902)

ベドルジハ・スメタナ「三重奏曲 ト短調」
Bedrich Smetana (1824-1884)
Trio op.15 (1855)
  1.Moderato assai
  2.Allegro ma non agitato
  3.Finale: Presto

(ドヴォルザーク「三重奏曲 第1番 op.21 第3楽章前半」)


*出演

島﨑祐子(ヴァイオリン)
船田裕子(チェロ)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 本日はリクエストシリーズvol.1と題し、Reiさんからリクエストをいただいたスメタナのトリオと、同じチェコのスークの作品をお聴きいただきます。
 スークの「エレジー」は詩人ゼイエル(1841-1902)の追悼式典のために書かれた小品で「ゼイエルの"ヴィシェフラド"の印象による」という副題を持つ。この頃のスークはドヴォルザーク的作品から脱却していく時期で、既に独特の色彩感と叙情性が現れている。(なお「スーク三重奏団」で知られるヴァイオリン奏者ヨセフ・スークは同名の孫。)
 スメタナの「三重奏曲」も、標題こそ持たないが幼くして亡くなった愛娘の冥福を祈って書かれたとされ、穏やかなスークに対してこちらは悲劇性に満ちている。ワーグナー(直前に「タンホイザー」がチェコ初演された)やリスト(翌年から着手する交響詩の手本としていた)など、ドイツロマン派の影響が濃いものの、後に「チェコ音楽の父」と呼ばれたスメタナの出発点といえる初期の重要作である。

※スメタナのリクエストを下さったReiさんからのコメント:
「まず冒頭のヴァイオリンのG線による力強い始まりはこれからの曲の流れを示唆するフレーズ。絶対に聴き逃さないでください!悲しげなメロディーの中でそれぞれの楽器が旨味のある掛け合いと絶妙な動きをしているのでもう全てが聴き所。スメタナの心の揺れを感じながら聴いてほしいです。」