春日和~邦楽の香り(カフコンス第60回)2009-04-12

*曲目

一. 山田検校「ほととぎす」

二. 沢井忠夫「陽炎(かげろう)」

三. 吉沢検校/松阪検校 手事増補「春の曲」


*出演

設楽千聡代(箏/唄)
樋口千清代(箏/三絃/唄)


*歌詞

「ほととぎす」

夏の夜の、あくるまはやみかりそめに、
見るほどもなき月影を、をしむとすれどいねがての、
枕にかこつほどをさへ、たえて忍べと訪れぬ、
うしやつらさの人ならば、うらみも果てむかにかくに、
雲井に遠き待乳山(まつちやま)、心せきやの里吹く風に、
雨もつ空のさつきやみ、やみは綾瀬の川舟に、
うきねしつつも聞かまほし、
かくばかり、待つとはなれも白ひげの、
森の下露くさぐさに、世のみやび男のあこがれて、
君待つ夜半にかはらぬは、ただひと声のほととぎす。

「春の曲」

鶯の、谷より出づる声なくば、
春くることを誰か知らまし

深山(みやま)には、松の雪だに消えなくに、
都は野辺の若菜摘みけり