陶酔と試験2024-07-16

7月20日(土)「鳥たちのカフェ」の最後の曲は、メシアン(1908-92)の名作「クロツグミ(1952)」です。鳥の声を表すフルートソロ部分と、「愛の眠りの庭(トゥーランガリラ交響曲 第6楽章)」からの引用といわれる緩徐部分が2回繰り返された後、フルートの鳥とピアノのセリー(音列)によるクライマックス、というシンプルかつ効果的な構成で書かれています。

パリ音楽院のフルートの試験用に委嘱を受けてごく短期間で作曲したそうで、既作のアイディアを用いた作品とも言えるのですが、鳥の声の要素は既作と比べてリアルで多彩。これが引き金となったのか、完成の1ヶ月後には鳥の本の著者を訪ねて鳥類学を学び、よりリアルな鳥の声の採譜を追求するようになります。翌1953年からはメシアンの「鳥の10年」と呼ばれ、「鳥たちの目覚め」「鳥のカタログ」などの鳥作品がこの時代に書かれました。(写真は「鳥のスケッチ」の楽譜の表紙。)

「愛の眠りの庭」が使われていても陶酔感よりどこか緊張感を感じる気がしますが、元々が試験曲なので教育的課題が詰め込まれていて、つい真剣になってしまうからかもしれません…(笑)


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今週末の演奏メニュー

2024年7月20日(土) 10時30分開演 (10時10分開場 11時30分終演予定)
於:本郷・金魚坂 (新店舗) / コーヒーまたは中国茶つき 1,800円

cafconc第164回
鳥たちのカフェ

デーヴィス「鳥の歌」 ソプラノ・フルート・ピアノ
ドップラー「森の小鳥」 フルート・ピアノ
グノー「ツグミ」 ソプラノ・ピアノ
アーン「ナイチンゲールがリラの花から」 ソプラノ・ピアノ
シャミナード「マドリガル」 ソプラノ・ピアノ
エマニュエル「ソナチネ ”田園”」 ピアノ
ヴィエネル「カッコウ/リンゴの花/フクロウ」 ソプラノ・ピアノ
コスマ「コロラドの鳥」 ソプラノ・ピアノ
ルーセル「ロンサールの二つの詩」 ソプラノ・フルート
メシアン「クロツグミ」 フルート・ピアノ

石橋美時(フルート)
渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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