東京ドーム10シーズンキャンペーン「東京ドームであなたの夢かなえます」優秀賞受賞1997-11-30

(Jul. 1997 / special thanks to gingawanderer-Yumi)

*野球オペラ「マイティーケイシー」を東京ドームで上演したい <応募資料抜粋>

A Baseball Opera "The Mighty Casey" (1951)
全1幕3場(上演時間約80分)
William Schuman 作曲/Jeremy Gury 台本/
原作: E.L.Thayer "Casey at the Bat"

ストーリー
 第1場 - Before the game - 今日は州の決勝戦。絶好の野球日和。期待を胸に街の人々が球場へやってくる。そして我らがヒーロー、ケイシーの登場だ!
 第2場 - The game - ケイシーの恋人やファンの少年、そして沢山の観客が見守るなか、4対2で迎えた9回の裏。2アウトでいよいよ打順はケイシー。熱狂する観客、ケイシーは見送って2ストライク、そして運命の3球目!!しかし…。
 第3場 - After the game - 偉大な日の夕暮れ…(オーケストラの演奏のみ)

野球場を舞台に、試合そのものがオペラとなっている独創的な作品です。プレーする野球選手、観客はもとより、審判や警備員、売り子たち、ケイシーの恋人やファンの少年まで、試合を見ているすべての人々がそれぞれの心情を唄い、さまざまな視線のなかに野球の試合を浮かび上がらせていきます。

観客と唄い手が入り交じり、このオペラの観客もそのまま劇中の観客となり、オペラの出演者になるのです。本物の野球場で上演することで、今までにない劇場空間になると期待しています。

オーロラビジョンで、各選手(唄い手)の表情を実況ふうに映し、対訳の字幕も表示するなど、東京ドームならではの演出を盛り込むことができます。野球中継のようにテレビ放送したり…?

主役のケイシーは黙役。歌も台詞もないが一番のヒーロー。例えば松井選手にこの役をやってもらうのも夢のひとつです。

大衆的素材を得意とするW・シューマンの傑作として、米国では大変人気の高い作品ですが、おそらく日本では初演になると思われます。


*野球オペラ「マイティーケイシー」を東京ドームで上演したかった…

 ストラヴィンスキーアンサンブルでは93年の「子供と魔法」以来五感に訴えるオペラの魅力にとりつかれ次回上演作品を探してきました。それもありきたりの名作ではなくとてつもなく独創的な新しい感覚の作品を。探せばありとあらゆるオペラがあります。登場人物がみんな熊だとか、ジャンピングチャンピオンのカエルの話だとか、宇宙人、ドラキュラ、月旅行、タイムトラベル、等々。が、もちろん奇抜なだけの作品も多く、また特殊な設定のため大掛かりな装置や予算を必要とするものも諦めざるを得ませんでした。

 そんな中で候補に上がったのがバーンスタインの「タヒチ島の騒動」。題名こそ奇抜なものの、倦怠期の夫婦のある1日をとおして現代アメリカの苦悩を描いた、まるで辛口コメディー映画のような、洒落た会話がちりばめられた素晴らしいオペラです。しかし残念ながらキャストが2人だけということから断念、この「タヒチ島の騒動」の後半部分は、95年「BERNSTEIN!」にて演技・衣装・小道具と簡単な照明の演出付きで演奏しました。(なお同コンサートではタキシード姿のまま「ジェットソング」の踊りも披露、SMAPばりのカッコ良さだったともっぱらの噂です?)

 再び作品探し。何かめちゃくちゃおもしろい作品はないのか?そんなある日「A Baseball Opera」の文字が目に飛び込んできたのです。野球オペラ?一体何なんだ?冗談なのか?しかし楽譜を読むうちに、この「マイティーケイシー」が現代的な設定の中にオペラの要素を巧みに盛り込んだ最もオペラらしい作品であることを確信しました。キャッチャーとピッチャーがサインの確認をする2重唱、審判に抗議する監督(星野監督を思わせる)のアリア、美しい祈りのアリアは「どうかケイシーまで打順が回りますように」という歌詞だし、珠玉のコラールも三振の嘆き、全てが野球場で繰り広げられるのになぜか最高にオペラ的で、オペラの魅力を存分にまた新鮮に伝えてくれる作品なのです。そして劇中劇とも言える試合シーンの興奮。考えてみれば野球の試合は最高のドラマです。あの1球ごとに手に汗握る興奮、誰もが説明無しに共感できるそんなドラマが他にあるでしょうか?また娯楽的な題材でありながらも、打球の行方はオーケストラの音楽とコーラス演じる観衆の演技で表現されるなど、奇を衒った装置等を一切必要としない点も作品の芸術性を高めていると言えます。時は奇しくもメイクドラマに湧く96年、私達はどんどんこの作品に惹き付けられながらも、資金難という壁に立ちはだかられたまま時は過ぎて行ったのでした。

 そして翌97年に見つけた東京ドームの公募。ドームでやってみたいイベントの募集、最優秀に輝けばその夢を実現プラス賞金100万円!結果を待つ3か月間、もう私達の夢が膨らみまくったのは言うまでもありません。野球オペラを球場でできたらもっと面白い!本物のマウンドでピッチャーのアリアが歌えるかも?ケイシー役は松井選手だ!… 結果は最優秀賞(1点)の次の優秀賞(3点)、メイクミラクルならず。そして私達の夢は今も実現していません… -お客様の中に「それじゃあ私が制作費を出してあげよう!」という方はいらっしゃいませんか?ご連絡お待ちいたしております。(Nov. 1997 / S.K.)