歌う魚と跳ねる魚と金魚2024-02-16

(※金魚坂さんは既に休業に入られていますが、23日(金祝)のカフコンスは予定通り開催いたします。11時から通常通りのカフコンス、13時からは第2部「お別れコンサート」です。)

来週23日は「魚たちのカフェ」。フルートは現存の作曲家による、歌う魚、跳ねる魚、金魚の曲を演奏します。曲はもちろんのこと、作曲家自身もそれぞれ個性的です。

前半はフルート独奏のための2曲です。フランスの「フルーティスト・ピアニスト・即興演奏家・作曲家・写真家・デザイナー・詩人」クリスチャン・ルデレジール(1958-)は「彼ら(魚)は人類の意見に譲歩しない哲学者、思想家」と語り、魚の音楽・写真・グラフィック作品などを発表しています。「歌う魚(2006)」の楽譜にも魚が描かれ、楽譜自体がグラフィックデザインのようです。

「魚は跳ねる(1999)」は「Fish are jumpin ~♪ 」という歌(ガーシュイン「サマータイム」)を連想させるタイトル通りのブルース。作曲者のロバート・ディック(1950-)はアメリカの「革新的なフルーティスト・作曲家」「即興演奏家・著者・教師・発明家」で、フルートの特殊奏法のテキストを書いたり、歌口がスライドする特殊な頭部管を開発したりもしています。

金魚坂カフコンス最後の曲はフルートとピアノのための「夏の雨の中の金魚(1979)」です。アン・ボイド(1946-)は日本やインドネシアの音楽に強く影響を受けた作品で知られるオーストラリアの作曲家。また「音楽とランニングの才能に恵まれた女性」でもあり、チャリティーマラソンの「感動的な長距離ランナー」としても有名だそうです。雨の日の金魚坂を思い出しながらお聴きいただけたらと思います。


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来週の演奏メニュー

2024年2月23日(金祝) 11時開演(10時40分開場) 11時50分終演予定
於:本郷・金魚坂 / 1ドリンクつき 1,500円

cafconc第163回
魚たちのカフェ

ドビュッシー「金色の魚」/バーナーズ「金色の魚」ピアノ
アーン「魚獲り」/ケックラン「魚獲り」ソプラノとピアノ
プーランク「鯉」/デュレ「鯉」ソプラノとピアノ
ルデレジール「歌う魚」/ディック「魚は跳ねる」フルートソロ
グリニョン「魚の修道院」/サティ「夢みる魚」ピアノ
ヴィエネル「イワシ カワカマス」/コスマ「お気楽な魚」ソプラノとピアノ
ボイド「夏の雨の中の金魚」フルートとピアノ
ほか

石橋美時(フルート)
渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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同日13時から 第2部「金魚坂お別れコンサート」も開催します!

13時開演(12時40分開場) 14時半より懇親会 15時終了
懇親会1ドリンクつき 1,500円 (※午前のご来場者は1000円)

曲目:
ケージ「ア・ルーム」
ケックラン「紅茶」
バッハ「愛により(マタイ受難曲より)」
バッハ「パルティータ BWV1013」
レスピーギ「最後の陶酔」
バーンスタイン「音楽なんて嫌い」
ボルヌ「カルメン幻想曲」
サティ「あなたが欲しいの」
ほか 予定

出演:
石橋香緒里 石橋美時 江草智子 海出彩菜
川北祥子 柳沢亜紀 渡辺有里香 ほか 予定

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鯉と鰯と魳2024-02-12

(※金魚坂さんは本日2月12日をもって休業されますが、23日(金祝)のカフコンスは予定通り開催いたします。11時から通常通りのカフコンス、13時からは第2部「お別れコンサート」です。)

2/23のカフコンスは「魚たちのカフェ」。当初考えていた「お寿司屋さんのお品書きのようなプログラム」は組めませんでしたが、歌曲には鯉と鰯と魳が登場します。

前半の4曲は19世紀と20世紀のフランス歌曲で、同じ詩に書かれた2曲ずつです。魚の曲を集めてみると、魚が跳ねたり水に光が反射したりといった表現が様々で面白いのですが、アーン(1874-1947)とケックラン(1867-1950)の「魚獲り」(1899頃、1897)は、同じバンヴィルの詩でも別の風景かと思うほど違った印象です。水の表現もアーンは波、ケックランは水しぶきに重点が置かれているように思えます。

魚の歌や詩は意外になかなか見つからず、アポリネールの「動物詩集」(26編)も「鯉」だけでした。フランス6人組のプーランク(1899-1963)とデュレ(1888-1979)による歌曲集はどちらも1919年の作で、プーランクは抜粋で書いてデュレに献呈、デュレは全詩に作曲しています。ドビュッシーでは日本とフランスで鯉のイメージが違うのかと思いましたが、この2人の「鯉」は私たちの思う鯉そのものです。

後半はデスノスの詩による言葉遊びが楽しい5曲です。これまで少しずつ演奏してきたヴィエネル(1896-1982)の「おはなしのうた(1954-5)」(全30曲)も魚の曲は「イワシ」「カワカマス」の2つだけでしたが、「おはなのうた(1957)」には赤い魚が登場する「ゼラニウム」と青い魚が登場する「ラベンダー」があり、コスマ(1905-69)作曲の「お気楽な魚(1967)」も並べてみました。お気楽にお聴きください!


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来週の演奏メニュー

2024年2月23日(金祝) 11時開演(10時40分開場) 11時50分終演予定
於:本郷・金魚坂 / 1ドリンクつき 1,500円

cafconc第163回
魚たちのカフェ

ドビュッシー「金色の魚」/バーナーズ「金色の魚」ピアノ
アーン「魚獲り」/ケックラン「魚獲り」ソプラノとピアノ
プーランク「鯉」/デュレ「鯉」ソプラノとピアノ
ルデレジール「歌う魚」/ディック「魚は跳ねる」フルートソロ
グリニョン「魚の修道院」/サティ「夢みる魚」ピアノ
ヴィエネル「イワシ カワカマス」/コスマ「お気楽な魚」ソプラノとピアノ
ボイド「夏の雨の中の金魚」フルートとピアノ
ほか

石橋美時(フルート)
渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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同日13時から 第2部「金魚坂お別れコンサート」も開催します!

13時開演(12時40分開場) 14時半より懇親会 15時終了
懇親会1ドリンクつき 1,500円 (※午前のご来場者は1000円)

曲目:
ケージ「ア・ルーム」
ケックラン「紅茶」
バッハ「愛により(マタイ受難曲より)」
バッハ「パルティータ BWV1013」
レスピーギ「最後の陶酔」
バーンスタイン「音楽なんて嫌い」
ボルヌ「カルメン幻想曲」
サティ「あなたが欲しいの」
ほか 予定

出演:
石橋香緒里 石橋美時 江草智子 海出彩菜
川北祥子 柳沢亜紀 渡辺有里香 ほか 予定

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金色の魚たち2024-02-08

(※金魚坂さんは2月12日をもって休業されますが、23日(金祝)のカフコンスは予定通り開催いたします。11時から通常通りのカフコンス、13時からは第2部「お別れコンサート」です。)

2/23のカフコンスは「魚たちのカフェ」。ピアノ曲では、有名なドビュッシー(1862-1918)の「金色の魚(1907)」をはじめとする全くバラバラな4曲を選んだのですが、どれもドビュッシーと共通点やつながりがみつかりました。

金魚はフランス語で「赤い魚(poisson rouge)」で、「金色の魚(Poissons d’or)」というのはドビュッシーが持っていた蒔絵の箱に描かれた鯉を指します。曲は日本人からすると鯉よりももっと小さな俊敏な魚に感じられますが、ドビュッシーは蒔絵の鯉から着想を得たのであって、その鯉を描写したわけではないのでしょう。

独学で作曲を学んだイギリスの男爵バーナーズ卿(1883-1950)の「金色の魚(1915)」は、良い意味でセオリー通りの無調の作品で、作曲の助言を受けていたストラヴィンスキーに贈られています。添えられた自作の仏語の詩は金魚を思わせ、英語の「goldfish(金魚)」をそのまま仏語に訳した可能性もありそうです。

スペインの作曲家グリニョン(1899-1962)の「魚の修道院(1940年代頃)」は「映像(Imatges)」という曲集に収められています。出版の際につけられたタイトルかもしれませんが、印象派的な小品集ということでドビュッシーの「映像(Images)」(第2集の終曲が「金色の魚」)に倣ったものと想像できます。

サティ(1866-1925)の「夢みる魚(1900-01)」はお得意の奇抜なタイトルではなく、友人ド・ラトゥール(ジムノペディ等は彼の詩から着想された)の同名の作品のために大真面目に書かれたピアノ曲。作曲中に思い悩んだサティはドビュッシーにも相談、ドビュッシーが後年「金色の魚」に同じモティーフを使用したと言われます。


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今月の演奏メニュー

2024年2月23日(金祝) 11時開演(10時40分開場) 11時50分終演予定
於:本郷・金魚坂 / 1ドリンクつき 1,500円

cafconc第163回
魚たちのカフェ

ドビュッシー「金色の魚」/バーナーズ「金色の魚」ピアノ
アーン「魚獲り」/ケックラン「魚獲り」ソプラノとピアノ
プーランク「鯉」/デュレ「鯉」ソプラノとピアノ
ルデレジール「歌う魚」/ディック「魚は跳ねる」フルートソロ
グリニョン「魚の修道院」/サティ「夢みる魚」ピアノ
ヴィエネル「イワシ カワカマス」/コスマ「お気楽な魚」ソプラノとピアノ
ボイド「夏の雨の中の金魚」フルートとピアノ
ほか

石橋美時(フルート)
渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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同日13時から 第2部「金魚坂お別れコンサート」も開催します!

13時開演(12時40分開場) 14時半より懇親会 15時終了
懇親会1ドリンクつき 1,500円 (※午前のご来場者は1000円)

曲目:
ケージ「ア・ルーム」
オッフェンバック「タルト・ア・ラ・クレーム」
バッハ「愛により(マタイ受難曲より)」
バッハ「パルティータ BWV1013」
レスピーギ「最後の陶酔」
バーンスタイン「音楽なんて嫌い」
ボルヌ「カルメン幻想曲」
サティ「あなたが欲しいの」
ほか 予定

出演:
石橋香緒里 石橋美時 江草智子 海出彩菜
川北祥子 柳沢亜紀 渡辺有里香 ほか 予定

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