フルート・オーボエ・ピアノのためのトリオ2022-11-27

マデリーン・ドリング特集の1曲目は「フルート・オーボエ・ピアノのためのトリオ」です。マデリーンの夫ロジャー・ロードは「マデリーン自身は歌曲やピアノ作品、そして私のために書いたオーボエ作品で記憶されたいと望んでいたと思う」と語っていましたが、現在マデリーンはまさにこのトリオの2楽章の美しいオーボエソロで知られていると言ってよいでしょう。

この曲はロジャーが所属していた室内楽グループ「ムジカ・ダ・カメラ」の演奏会のために書かれ、1968年の同演奏会で初演された後、同年の(おそらくロンドン響のフロリダツアーに際して)デイトナ国際室内楽フェスティバルで、ロジャーとロンドン響フルート奏者ピーター・ロイド、当時の首席指揮者アンドレ・プレヴィンのピアノでアメリカ初演され、楽譜も1970年に出版されました。(12/2追記:初演のフルートはロイヤルオペラハウスオーケストラのHarold Clarke、ピアノはHubert Dawkes)

夫妻の友人でロンドン響にも所属したフルート奏者ウィリアム・ベネットはこの曲を「この編成の最高傑作の一つ」と評しましたが、一方で当時は「批評家たちは無調を敬う作品でなければ却下した(中略)彼女が愛したのは高度に洗練された調性音楽だった」(ロジャー談)という状況でもありました。「イギリスのプーランク」という呼び名にも僅かながら皮肉が感じられます。

しかし50年経った今では、この20世紀の魅力的な作品がいつ書かれたのかはもう問題でなくなってきています。「お洒落」レベルではなく「高度に洗練されている(highly sophisticated)」ことを分かっていただけるような演奏を目指したいと思います (と自分にプレッシャーを…)。


--------------------------------------------------

来月の演奏メニュー

2022年12月11日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第153回
マデリーン・ドリング〜生誕100年に先駆けて

ドリング「フルート・オーボエ・ピアノのための三重奏曲」
同「シェイクスピアによる歌曲集」より
  Willow song / Blow, blow thou winter wind /
  Come away, death / The cuckoo / It was a lover
同「オーボエ・ファゴット・ピアノのための三重奏曲」

中村淳(フルート)
荒木良太(オーボエ)
江草智子(ファゴット)
柳沢亜紀(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

--------------------------------------------------

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログのタイトルにもなっているカフェコンサートの名前は?(カタカナ5文字でお答えください。)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://cafconc.asablo.jp/blog/2022/11/27/9543949/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。