故 嶺貞子先生を想う2019-04-02

嶺貞子先生は、日本においてイタリア古典歌曲や近代歌曲の演奏を確立された方でした。

先生には学部1年生〜大学院修了までの7年間、大変お世話になりました。人としての礼儀や、歌に対する姿勢には、大変厳しい方でした。叱られた思い出は数多く、「歌に愛がないね」のひと言のみ、というレッスンも少なくありませんでした。何故こんなにお叱りを受けるのか? 生意気にも師匠に向かって「人の感じ方は十人十色です」と反抗し破門されそうになったこともありました。しかし、そんな門下生たちが口を揃えて、「先生の歌を聴くと、もう何も言えない」と打ちのめされ、納得させられたものでした。

そんな師匠の数ある演奏のなかで、とても印象に残っているのがグラナドスの「マハとナイチンゲール」です。¡Amor!と叫ぶ場面で、両手を広げ、空を仰いで歌われる姿と、ホールに満たされるその神秘的な声の響きは、自分が今どこにいるのかさえ分からなくなるほど感動的でした...

師匠の演奏には遠く及びませんが、追悼の意を込めて演奏したいと思います。(柳沢亜紀)


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今週末の演奏メニュー

2019年4月7日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第137回
outside my window〜フルートとソプラノの競演

ダヴィッド「愛らしい小鳥」
グラナドス「マハとナイチンゲール」(sop,pf)
ショッカー「outside my window, BIRD」(picc,pf)
マルタン「三つのミンネリート」
ヘッド「鳥の歌」

柳沢亜紀(ソプラノ)
中村淳(フルート)
川北祥子(ピアノ)

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