ブラジルとスペインの鳥2019-04-01

今週末のカフコンスは「鳥」特集。まず前半はフランスとスペインのオペラからの2曲です。

フェリシアン・ダヴィッド(1816-76)はエキゾティックな作品で知られるフランスの作曲家。オペラ「ブラジルの真珠」(1851)3幕の「愛らしい小鳥」も、(ブラジル風音楽ではなくとも)やはりどこか南国や極彩色の鳥たちを思わせるアリアです。

ポルトガルの提督がブラジルで見初めた娘ゾラを連れて帰国しようとしていますが、彼女には若い恋人がいました。ゾラは小鳥ミゾリの声にひととき心和まされます(が、彼女の悲しみは癒えません)。ちなみにミゾリは「輝くアズールとルビー色の羽根」と歌われており、ブルーバード系の鳥のようです。

近代スペインの作曲家エンリケ・グラナドス(1867-1916)の「ゴイェスカス」(1916)は、スペインを代表する画家ゴヤの絵画からの着想による同名のピアノ曲集(1909)をもとに改作された、スペインを舞台にしたオペラ。第3景の「マハとナイチンゲール」は、夜の中庭で恋人を待つ若い娘ロザリオが、決闘による恋人の死を予感しながら、美しく神秘的なナイチンゲールの声を聞き、「お前の歌は愛の賛美歌だ」と歌うアリアです。

なお今回、この「マハとナイチンゲール」は、昨年逝去されたソプラノ歌手、嶺貞子先生への追悼の意をこめて演奏いたします。


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今週末の演奏メニュー

2019年4月7日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第137回
outside my window〜フルートとソプラノの競演

ダヴィッド「愛らしい小鳥」
グラナドス「マハとナイチンゲール」(sop,pf)
ショッカー「outside my window, BIRD」(picc,pf)
マルタン「三つのミンネリート」
ヘッド「鳥の歌」

柳沢亜紀(ソプラノ)
中村淳(フルート)
川北祥子(ピアノ)

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故 嶺貞子先生を想う2019-04-02

嶺貞子先生は、日本においてイタリア古典歌曲や近代歌曲の演奏を確立された方でした。

先生には学部1年生〜大学院修了までの7年間、大変お世話になりました。人としての礼儀や、歌に対する姿勢には、大変厳しい方でした。叱られた思い出は数多く、「歌に愛がないね」のひと言のみ、というレッスンも少なくありませんでした。何故こんなにお叱りを受けるのか? 生意気にも師匠に向かって「人の感じ方は十人十色です」と反抗し破門されそうになったこともありました。しかし、そんな門下生たちが口を揃えて、「先生の歌を聴くと、もう何も言えない」と打ちのめされ、納得させられたものでした。

そんな師匠の数ある演奏のなかで、とても印象に残っているのがグラナドスの「マハとナイチンゲール」です。¡Amor!と叫ぶ場面で、両手を広げ、空を仰いで歌われる姿と、ホールに満たされるその神秘的な声の響きは、自分が今どこにいるのかさえ分からなくなるほど感動的でした...

師匠の演奏には遠く及びませんが、追悼の意を込めて演奏したいと思います。(柳沢亜紀)


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今週末の演奏メニュー

2019年4月7日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第137回
outside my window〜フルートとソプラノの競演

ダヴィッド「愛らしい小鳥」
グラナドス「マハとナイチンゲール」(sop,pf)
ショッカー「outside my window, BIRD」(picc,pf)
マルタン「三つのミンネリート」
ヘッド「鳥の歌」

柳沢亜紀(ソプラノ)
中村淳(フルート)
川北祥子(ピアノ)

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中世ドイツとイギリスの鳥、そしてシークレット2019-04-05

明後日のカフコンス「鳥」特集、プログラム後半は近代歌曲2曲です。

フランス系スイス人の作曲家フランク・マルタン(1890-1974)の「3つのミンネリート」(1960)は、12〜3世紀の中高ドイツ語で書かれた愛の歌。第1曲「ああ愛する人」では恋に悩む娘にフルートの鳥の声が寄り添い、第3曲「菩提樹の下で」では「彼と私が何をしていたかは小鳥しか知らないわ」というコケティッシュな歌にピッコロの鳥が絡みます。ということで、鳥の歌ではないもののプログラムに加えたところ、第2曲「女が一人で立っていた」にも「鷹が木を選ぶように私も彼を選んだ」という歌詞があったので、いちおう「鳥」コンプリートとなりました。

イギリスの作曲家マイケル・ヘッド(1900-76)の「鳥の歌」(1966?)は、森を歩き、四季折々の風景と鳥に思いを馳せる、という、BBCの8K番組が似合いそうな詩に作曲されています。親しみやすい歌が有名なヘッドですが、この曲は演奏会用の大作。ゴージャスなフルートとソプラノの競演をお楽しみください。

ちなみに今回のタイトル「outside my window」は、ピッコロで演奏するゲイリー・ショッカー(1959-)の「outside my window, BIRD」(2009)からとったもので、グラナドスやマルタンの「恋に悩む娘と、窓の外の鳥」のイメージにもぴったりなのですが、実はショッカーはまたちょっと違う内容です。どう違うのかは当日のお楽しみということで。


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明後日の演奏メニュー

2019年4月7日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第137回
outside my window〜フルートとソプラノの競演

ダヴィッド「愛らしい小鳥」
グラナドス「マハとナイチンゲール」(sop,pf)
ショッカー「outside my window, BIRD」(picc,pf)
マルタン「三つのミンネリート」
ヘッド「鳥の歌」

柳沢亜紀(ソプラノ)
中村淳(フルート)
川北祥子(ピアノ)

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