ハートマン家の一族2017-02-21

3月のカフコンスは「デンマークのクラリネット〜ゲーゼ生誕200年記念」と題して、19世紀デンマークのエミール・ハートマンのトリオをメインに、ゲーゼとヴィンディングのクラリネット曲も演奏しますが、なんとこの3人は義兄弟です。

ヨハン・ペーター・エミリウス・ハートマン(1805-1900)は、シュポアやシューマンに認められ、パリでショパンとも交流を持ったという国際派作曲家。妻エンマ(1807-51)も作曲家で、その間に生まれた「話すより先に作曲した神童」エミール(1836-98)は、父の教えを受けた後ドイツへ留学、帰国後は教会のオルガン奏者からスタートして、バレエ、オペラ、交響曲、合唱曲、室内楽、器楽、とあらゆるジャンルで成功をおさめました。

にもかかわらず、いつまでも「ハートマン父子」と呼ばれてしまうエミールですが、さらにエミールの姉ソフィー(1831-55)が、父の後輩でエミールの師でもあったゲーゼ(1817-90)と結婚、妹クララ(1839-1925)がエミールの親友でライバルでもあったヴィンディング(1835-99)と結婚したため、身内にデンマークを代表する作曲家がずらりと揃い、そのプレッシャーから精神を病んでいたとも言われます。

しかし今回演奏する「セレナード op.24(1877)」を通して感じられるのは、むしろ幸福感というか、音楽が豊かに溢れ出ているようなイメージ。全3楽章はそれぞれ牧歌、ロマンス、ロンドと名付けられ、曲はドイツロマン派ベースでありながら、フランス的(父親経由)でもあり、また北欧の物語も思わせます。1月のクロイツァーに続いて「素晴らしい三重奏曲なのにどうしてあまり演奏されないのか不思議」ですが、エミールはそんな過小評価にも苦悩していたかもしれません...

それにしてもドラマ化できそうな一族ですね!(なおエミールの誕生日は本日2月21日と2月1日の2説あるようです。そして彼自身の結婚については記述を見つけられませんでしたが、息子は画家との事。)


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次回の演奏メニュー

2017年3月26日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第125回
デンマークのクラリネット〜ゲーゼ生誕200年記念

ヴィンディング「幻想小曲集 op.19」より
ゲーゼ「幻想小曲集 op.43」
ハートマン「セレナード op.24」*

井上幸子(クラリネット)
井上直哉(ファゴット)*
川北祥子(ピアノ)

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